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乳児期に風邪を引くと1型糖尿病になりやすい?
2016年05月
 生後6ヵ月以内に風邪を引いたり、その他の感染症にかかると、感染しなかった場合に比べて、小児期に1型糖尿病を発症するリスクが20%高いとする知見が、新しい研究で示された。

 これまでも1型糖尿病の発症に感染症が関与する可能性は指摘されており、一部の専門家らは長らく、ウイルス感染が1型糖尿病発症のきっかけとなるのではないかと疑ってきた。「今回の研究は、乳児期のイベントがその後の免疫システムの発達に大きな影響を及ぼすとの考えを支持するものだ」と、JDRF(旧青少年糖尿病研究財団)のJessica Dunne氏は述べている。

 しかし、感染症が1型糖尿病の発症にどのような役割を果たすのかは未解明のままだ。研究を率いた糖尿病研究所(ドイツ、ミュンヘン)のAndreas Beyerlein氏は、「感染症が1型糖尿病の自己免疫応答に影響を及ぼすメカニズムについては、さまざまなものが議論されているが、結論には至っていない」と述べ、今回の研究がこれらの因果関係を証明したものではない点を認めている。

 基礎研究では、複数のウイルスがさまざまなメカニズムで膵β細胞に影響を及ぼすことが知られている。たとえば、ある種のウイルスは細胞を破壊し、別のあるウイルスは、免疫系細胞が膵β細胞を誤って認識し、攻撃するように仕向けるように働く。同氏によると、これらの結果、1型糖尿病患者には、インスリンを産生するのに十分な量の膵β細胞が残されないことになるという。

 今回の研究は、2005~2007年にドイツで出生した乳児の保険請求データを用いて解析したもので、研究期間中に約30万人の新生児が誕生し、中央値で8.5年間の追跡期間中に720児が1型糖尿病を発症した。対象としたすべての児のうち約93%が、生後2年以内に少なくとも1回、感染症にかかっており、1型糖尿病を発症した児ではその割合は約97%に達していた。

 感染症をカテゴリー(呼吸器系、胃腸、皮膚、眼)と原因(ウイルスあるいは細菌など)別に分類して検討したところ、生後6ヵ月以内に呼吸器感染症にかかると、感染しなかった場合に比べて、その後に1型糖尿病を発症するリスクが17%高かった。また、生後6ヵ月以内にウイルスに感染すると、感染しなかった場合に比べて1型糖尿病リスクは19%高かったという。

 Dunne氏は、「ウイルス感染は免疫系に誤った教育を施すようだ」と述べている。なお、米国疾病予防管理センター(CDC)によると、ウイルス感染は風邪や上気道感染の原因の多くを占めるという。

 さらに、同氏は「乳児期には多くの感染症を経験するもので、ある意味、これは正常な免疫システムを確立するのに重要な事象である可能性がある。感染症と免疫系の間には微妙なバランスがあるが、このバランスを解明したと結論づけるには時期尚早であり、いまのところ、感染症にかかった乳児を隔離する必要はない」と述べている。

 これにはBeyerlein氏も同意見で、「1型糖尿病の病態はいまだ解明されておらず、予防策も確立されていない」と述べ、子どもが1型糖尿病を発症しても、両親は自分自身を責めるべきではないとしている。

 この知見は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」5月3月号に掲載された。

Could Infant Colds, Other Infections Raise Type 1 Diabetes Risk?

[2016年5月3日/HealthDayNews] Copyright© 2016 HealthDay. All rights reserved.

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