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小児期に抗生物質を繰り返し使うと1型糖尿病になりやすい
2016年08月
 小児期に抗生物質を繰り返し使うと、1型糖尿病を発症しやすくなる可能性がマウスを用いた研究で示唆された。

 ヒトにおける小児期の耳感染症治療に用いる際と同等な用量の抗生物質を、若齢マウスに3回投与した結果、投与しなかった場合に比べて1型糖尿病の発症率が上昇したと、研究を実施した米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター(ニューヨーク市)教授のMartin Blaser氏は述べている。

 同氏は、抗生物質の服用により腸内細菌叢のバランスが崩れた結果、T細胞などの免疫細胞機能が変化し、膵島細胞の炎症が亢進することが背景にあると説明している。これまでの研究で、1型糖尿病などの自己免疫疾患の患児では腸内細菌叢に変化が生じることが報告されているが、同氏は、今回マウスで認められた知見がヒトでも生じていると結論づけるのは時期尚早だとしている。

 JDRF(旧青少年糖尿病研究財団)のJessica Dunne氏は、腸内細菌叢の変化が1型糖尿病の発症になんらかの役割を担っている可能性はあるが、その詳細は不明で、1型糖尿病の発症要因についても、遺伝的、環境的な因子の関与は知られているが、正確な原因はいまだ明らかにされていないとしている。

 第二次世界大戦以降、1型糖尿病の患者数は20〜25年ごとに倍増しているが、「この増加のペースは遺伝的変化を原因とするには速すぎる」と、Blaser氏は指摘している。そこで、他の要因を探索したところ、そのひとつに「抗生物質の使用」が浮かび上がった。同氏によると、10歳に達するまでに平均で10コースの抗生物質による治療を受けているという。

 今回の研究は、1型糖尿病の素因をもつ非肥満のマウスモデルを用いて抗生物質の影響を調べたもの。ヒト小児の生後6カ月〜1歳に相当する若齢マウスに、抗生物質の服薬と休薬のサイクルを3回繰り返すパルス療法を行う群と、きわめて低用量の抗生物質による持続療法を行う群、抗生物質の投与を行わない群の3つに分けて比較検討した。

 その結果、パルス療法群のマウスは、抗生物質を使用しなかった群に比べて1型糖尿病の発症率が2倍に上り、腸内細菌叢の組成も大きく異なっていることが判明した。

 同氏らは、この原因解明にはさらなる研究が必要としており、マウスを用いた研究を継続し、将来的には1型糖尿病リスクの高い家系を追跡して、この予防と治療法の開発に尽力したいと述べている。

 しかし、Blaser氏、Dunne氏の両氏は、今回の知見をもとに子どもの抗生物質の使用を控えるべきではないと強調している。Blaser氏は、抗生物質の使用が必要とされるケースも多く、この必要性については担当医と十分に話し合うべきだと助言しており、Denne氏は「たとえば、抗生物質が効かないウイルス感染症などへの使用には慎重であるべきだ」と述べている。

 この知見は、「Nature Microbiology」オンライン版に8月22日掲載された。

Mouse Study Suggests Antibiotics in Kids Might Help Spur Type 1 Diabetes

[2016年8月22日/HealthDayNews] Copyright© 2016 HealthDay. All rights reserved.

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