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多面的な強化介入で2型糖尿病患者の余命が延長
2016年09月
 微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病患者において、複数の薬物療法や生活習慣是正などの多面的な強化介入を約8年間行うと、従来の治療に比べて余命が延長するとの研究結果が報告された。

 この研究は「Steno-2研究」と呼ばれ、デンマークの微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病患者160人を対象としたもの。対象患者はすべて過体重で、1993年の研究開始時点における平均年齢は55歳であった。

 なお、米国糖尿病協会(ADA)によると、微量アルブミン尿とは、腎臓の濾過機能に障害が生じて尿中にアルブミンがわずかに漏れ出すようになった状態を指し、糖尿病腎症の初期にみられる兆候とされる。微量アルブミン尿は心血管リスク因子のひとつであり、これがあると他の糖尿病合併症のリスクも高まるという。

 対象患者を、従来の治療を継続する群と、薬物療法や生活習慣の是正を含む多面的な強化療法を受ける群にランダムに割り付け、約21年間観察を行った。強化療法群では、血圧、血糖、総コレステロールやトリグリセライドといった修正可能なリスク因子について、合併症や早期死亡の抑制を目指した治療目標を設定し、必要に応じてスタチンや降圧薬を処方した。

 また、強化療法では生活習慣の是正も重視し、食事療法や運動療法、禁煙指導を行った。対象患者にはコペンハーゲンにあるステノ糖尿病センターで約8年間の治療を受けてもらい、糖尿病教育を定期的に行った。

 その結果、追跡期間中の死亡例は強化療法群で38人、従来治療群では55人であり、また、強化療法群では余命が約8年間延長していることがわかった。強化療法群では、血圧や血糖、LDLコレステロールの各値は低下し、HDLコレステロール値は上昇するなど心血管リスク因子の改善がみられた。

 また、強化療法群では、従来治療群に比べて心疾患や脳卒中の発症が8年遅く、失明リスクも低かった。合併症のうち神経障害では改善は認められなかった。なお、強化療法によるベネフィットが明らかだったため、研究終了後、患者が希望すれば強化療法を継続した。

 研究指導著者であるコペンハーゲン大学(デンマーク)ノボノルディスク財団基礎代謝研究センターのOluf Pedersen氏は、「治療目標を設定した薬物療法や生活習慣是正への早期かつ強力な介入を行うことで、深刻な合併症をきたすことなく生きられる期間が延長することが示された」と述べている。

 米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏(本研究には参加していない)は、「この研究は重要なメッセージを伝えている。米国では2型糖尿病の初期治療は十分に行われているとはいえず、今回の研究で治療対象とされたすべてのリスク因子に対して、米国の患者の約8割は適切に治療されていない」と指摘している。

 同氏によると、今回の研究データを用いたサブ解析により、従来治療群と強化療法群の間でみられた差のほとんどはスタチンの使用で説明できる可能性が示されているという。一方で同氏は、強化療法のベネフィットが大きいことは確かだが、米国人で同様の結果が得られるかどうかには疑問を呈している。

 この研究は、「Diabetologia」オンライン版に8月16日掲載された。

Intensive Type 2 Diabetes Treatment Can Extend Survival: Study

[2016年9月7日/HealthDayNews] Copyright© 2016 HealthDay. All rights reserved.

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