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糖尿病患者が抱える心の負担への対処法
2017年02月
 糖尿病患者は、つねに自身の健康状態や生活習慣に配慮せねばならず、また、治療に関する決断を即座に下さなければならないことも多く、これらはすべて心の負担につながりやすい。こうした糖尿病患者が抱える心の負担は「糖尿病による苦痛(diabetes distress)」と呼ばれており、とくにインスリンを使用する患者で多くみられ、うつ病とは異なるものだと専門家は指摘している。

 「糖尿病になった日は、まさに天からフルタイムの仕事を与えられたようなもの。これは特別な仕事であり、残りの人生に大きな影響を与え、しかも給与も休暇もない」と、米糖尿病行動研究所(サンディエゴ)所長のWilliam Polonsky氏は述べている。

 米国糖尿病協会(ADA)のAlicia McAuliffe-Fogarty氏は、「糖尿病患者は、糖尿病によって余計な心の負担を負わなければならない。仕事や家庭、金銭面に気を配りつつ、血糖値をチェックし、忘れずに服薬し、インスリン量を調整し、また、食事では炭水化物に気をつけなければならない。分刻みの義務を毎日果たしながら、すべてを正しく行ってもなお血糖値は上がり続ける」と説明している。

 Polonsky氏は、糖尿病患者が抱える心的負担は、つねに疾患を管理せねばならない負担からくる一連の精神的な応答だと説明しており、「やるべきことの多さと糖尿病への不安に圧倒されて、患者は糖尿病に直面すると無力さを感じてしまう。努力しているにもかかわらず、使用するインスリン量は増減し、自分の力が及ばないことに思えてくるためQOLにも悪影響が出る」と述べている。

 また、同氏によると糖尿病患者の約3割は、どこかの時点でこの心的負担による影響を受けており、うつ病の発症につながるケースも多いとしている。

 ADAも2017年版の糖尿病治療ガイドライン「Standards of Medical Care in Diabetes」の中で糖尿病患者の心的負担や精神面でのケアの重要性について触れ、すべての糖尿病患者で心的ストレスをスクリーニングし、ケアするよう推奨している。なお、ガイドラインの詳細は「Diabetes Care」1月1日号に掲載されている。

 Polonsky氏、McAuliffe-Fogarty氏はともに、糖尿病患者が抱える心的負担は血糖コントロールに悪影響を及ぼすため、早期発見・早期治療が重要であると一致した見解を示している。糖尿病による心的負担はうつ病よりも治療に大きな影響を及ぼし、抗うつ薬による改善効果は期待できないという。

 また、McAuliffe-Fogarty氏は、医師と相談して治療法を見直して変更を加えたり、糖尿病教育の専門家に相談して基本的な事項を再確認することも解決策の1つになるとしている。Polonsky氏はエビデンスに基づく最近の治療法で、多くの患者が糖尿病をうまくつき合っていけることが示されていると指摘。両氏ともに周囲のサポートも重要であり、親や配偶者が糖尿病の管理を手伝うことで、少しは患者の気が休まると述べている。

 患者の中には、深刻な心的負担を抱えている人もいる。糖尿病患者に併存するうつ病を発見し、診断するのは難しいが、糖尿病患者の4〜5人に1人はどこかの時点でうつ病を経験するという。McAuliffe-Fogarty氏は、食欲の低下や睡眠パターンの変化、趣味などの自分が好きだったことへの興味を失う、気分の落ち込みが長く続いたら、メンタルヘルスの専門家に相談するようアドバイスしている。

Dealing With Diabetes Distress

[2017年2月16日/HealthDayNews] Copyright© 2017 HealthDay. All rights reserved.

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