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糖尿病網膜症や乳がん転移の診断にAI活用進む
2017年12月
 人工知能(AI)が糖尿病網膜症の診断と乳がんのリンパ節転移の画像判定に有用とする2つの研究結果が、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」12月12日号に掲載された。

 一つ目の研究では、機械学習の手法の一つであるディープラーニング(深層学習、DL)システムを採用したAIを活用することで、高い感度と特異度で糖尿病網膜症の検出が可能となることが示された。DLシステムとは、人間の脳の神経ネットワークを模倣した情報処理を行い、膨大なデータから自動的に学習するシステムを指す。

 シンガポール国立眼科センターのDaniel Shu Wei Ting氏らは、49万4,661件の網膜画像を用いて、糖尿病網膜症と緑内障、加齢黄斑変性などの眼科疾患の診断を行うDLシステムを構築し、これらの診断精度を検証した。

 その結果、DLシステムにより90.5%の感度と91.6%の特異度で糖尿病網膜症を検出できることが分かった。また、失明の恐れのある糖尿病網膜症検出の感度は100%、特異度は91.1%と、重症度が高い糖尿病網膜症患者は全て診断でき、重症度が高くない網膜症患者の91.1%は正しく陰性であると診断されていた。

 なお、このDLシステムによる緑内障検出の感度は96.4%、特異度は87.2%、加齢黄斑変性の検出ではそれぞれ93.2%、88.7%といずれも高かった。

 以上の結果から、Ting氏らは「多民族の糖尿病患者集団の網膜画像を用いても、DLシステムは糖尿病網膜症と関連する眼科疾患を高い感度と特異度で検出できることが明らかにされた」と述べている。

 次に、同誌に掲載されたラドバウド大学医療センター(オランダ)のBabak Ehteshami Bejnordi氏らによる別の研究は、乳がんのリンパ節転移の診断精度をAIと病理医で競った国際コンペ「CAMELYON16」を行ったもので、DLアルゴリズムの成績が11人の病理医よりも上回ったことが報告された。

 この研究では、転移のある49画像と転移のない80画像の計129のスライド画像の診断精度について、32件のDLアルゴリズムと11人の病理医で比較した。なお、一部の病理医の診断には時間制限が与えられた。その結果、10件のアルゴリズムは時間制限のある病理医よりも成績が良く、上位5位のアルゴリズムは時間制限のない病理医と成績に差はみられなかった。

 付随論評を執筆いた米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJeffrey Golden氏は「実臨床ではコンピューター・アルゴリズムと病理医を直接比較することは難しい上に、病理診断の分野でコンピューターを活用するには、まず組織標本をデジタル化したり、病理医がこの技術を使いこなせるようトレーニングする費用なども考慮しなければならない」と指摘しつつ、現時点ではAIは医師に取って代わるものではなく、医師の業務を補佐する支援ツールとして活用されるだろうと述べている。

Will 'AI' Be Part of Your Health-Care Team?
Abstract/Full Tex
Diagnostic Assessment of Deep Learning Algorithms for Detection of Lymph Node Metastases in Women With Breast Cancer
Development and Validation of a Deep Learning System for Diabetic Retinopathy and Related Eye Diseases Using Retinal Images From Multiethnic Populations With Diabetes
[2017年12月12日/HealthDayNews] Copyright© 2017 HealthDay. All rights reserved.

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