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母乳育児で母親の2型糖尿病リスクが低減
2018年01月
 母乳育児は子どもの健康に良いだけでなく、母親にも2型糖尿病の長期的な予防効果をもたらす可能性のあることが、新たな研究で示された。「JAMA Internal Medicine」1月16日オンライン版に掲載された研究によると、母乳育児の期間が長いほど母親が2型糖尿病を発症するリスクは低下した。母乳育児を6カ月間以上行った女性は、全くしなかった女性と比べてその後の2型糖尿病リスクが半減することが分かった。

 これまでの研究で、母乳育児は子どもの感染症や1型糖尿病、2型糖尿病、一部のがんの発症リスクを低減させ、小児期に過体重や肥満になるリスクの低減とも関連する可能性があると報告されている。米国小児科学会(AAP)によると、母乳育児は母体にも影響を及ぼし、母乳育児を行うと妊娠前の体重に戻りやすくなるほか、分娩後の出血を抑えたり、乳がんや卵巣がんのリスク低減とも関連するとの指摘がある。

 今回の研究は、米大手保険会社カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのErica Gunderson氏らが、追跡期間が30年間に及ぶ観察研究(Coronary Artery Risk Development in Young Adults;CARDIA)に参加した若年女性のデータを分析したもの。研究開始時(1985〜1986年)に18〜30歳で糖尿病がなく、生児出産を1回以上経験した女性1,238人を対象に、追跡期間中の糖尿病の発症や妊娠と出産歴、母乳育児の状況について情報を収集して解析した。対象女性の平均年齢は24.2歳で、黒人と白人の女性が半々の割合であった。

 30年間の追跡終了時までに、182人が2型糖尿病を発症した。世帯収入や教育レベル、体重、食生活の質、運動習慣、薬物療法の有無など2型糖尿病に影響する複数の因子を調整して解析した結果、母乳育児を全くしなかった女性と比べて、母乳育児を行った期間が6カ月超12カ月未満だった女性は2型糖尿病リスクが48%低く、12カ月以上だった女性は47%低いことが分かった。なお、母乳育児を行った期間が6カ月以下だった女性は25%リスクが低下した。母乳育児によるこうした保護効果は、人種や妊娠糖尿病の既往歴の有無で差はみられなかった。

 この研究は因果関係を証明するものではないが、Gunderson氏らは「母乳育児により産後の母体の代謝が調節されて、より早期に正常に回復することが影響したのではないか」と推察している。別の研究では、母乳育児をする女性は中性脂肪(トリグリセライド)や血糖値の正常への回復が早いことが報告されており、その他にも母体のインスリン分泌が抑えられ、身体に蓄えられた脂肪がより使われやすくなる可能性も示唆されているという。

 米ニューヨーク・プレスビテリアン病院/ワイルコーネル医療センターのRekha Kumar氏も母乳育児は母体のインスリン分泌と糖代謝にベネフィットをもたらすという説に同意を示しており、「母乳育児はインスリンへの感受性を高める」と述べている。同氏はより大規模な研究でこの知見を再現する必要性があると指摘しつつも、これまであまり顧みられなかった母乳育児の母体への影響を示した点でこの研究はすばらしいものだと評価している。

 また、Gunderson氏は、2型糖尿病は心疾患の強いリスク因子でもあることから、母乳育児は2型糖尿病の予防だけでなく、心疾患のリスクの低減や医療コストの抑制にもつながる可能性を指摘している。

Breast-Feed Now, Stave Off Diabetes Later
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2668634

[2018年1月16日/HealthDayNews] Copyright© 2018 HealthDay. All rights reserved.

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