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価格高騰で糖尿病患者の4人に1人がインスリンを節約、米調査
2018年12月
 インスリン製剤の価格高騰により、糖尿病患者の4人に1人が本来必要なインスリン治療を控えていることが、米イエール大学内科のKasia Lipska氏らが実施した調査で明らかになった。詳細は「JAMA Internal Medicine」12月3日オンライン版に発表された。

 研究グループは、過去6ヵ月以内にインスリン製剤を処方されていた1型糖尿病または2型糖尿病の患者計354人(うち1型糖尿病患者は123人)を対象に、インスリン製剤の使用状況についてアンケートを実施。回答が得られた199人(56.2%、うち1型糖尿病患者は83人)について解析を行った。

 その結果、全体の25.5%(51人)は、医療費が理由でインスリンの使用量を減らしたり、使用を止めたりしていることが分かった。また、こうした患者の割合は、18〜44歳未満では32%、44〜64歳未満では24%、64歳以上では21%であった。そのうち3分の1以上の患者は、インスリンを節約していることを主治医に告げていなかった。

 さらに、インスリンを節約しているのは、低所得層の患者に限られるわけではないことも明らかになった。医療費を理由にインスリン製剤の使用を控えている人の割合は、年収10,000ドル(約110万円)以下の人では約20%であったが、年収50,000〜99,000ドル(約560〜1100万円)の人でも38%以上に上っていた。さらに、医療費が理由で十分なインスリン治療が受けられていない人では、そうでない人に比べて血糖コントロールが不良となるリスクが高かった(オッズ比2.96、95%信頼区間1.14〜8.16、P=0.03)。

 Lipska氏は「1型糖尿病患者にとって、インスリン製剤は命綱とも言える薬剤だ。インスリンを使用しなければ数日のうちに死に至る可能性がある。また、失明や腎不全、透析導入、心疾患などの短期的あるいは長期的な合併症を防ぐため、2型糖尿病患者の5人に1人がインスリン治療を必要としている」として、患者の自己判断でインスリン治療を中断することの危険性を指摘している。

 同誌の付随論評を執筆したKaiser Health News編集長のElisabeth Rosenthal氏は「インスリン製剤の価格は近年、急激に高騰しており、患者にとって相当な負担になっている」と指摘する。同氏によると、最も広く流通している4種類のインスリン製剤の平均卸売価格は、2007年から2017年の間に3倍以上に上昇した。米国で最も流通しているインスリン製剤の1ヵ月当たりの卸売価格は、2010年から2015年の間に患者一人当たり258ドル(約2万8,000円)から1,100ドル(約12万4,0000円)近くまで上昇したという。

 また、半数以上の糖尿病患者がインスリン製剤だけでなく、インスリンポンプや血糖測定器、持続血糖測定器などの治療用デバイスにかかる費用を工面するのに苦労していると回答した。Rosenthal氏は「インスリン製剤やインスリンポンプ、血糖測定器の試験紙などにかかる費用は生涯にわたって続く。1型糖尿病の患者にとっては理不尽極まりない」と述べている。

 Lipska氏らは「この問題は患者個人の手に負えるものではない」として、「インスリン製剤を必要とする患者が無理なく購入できる価格となるよう、規制当局や医学界が問題解決に乗り出す必要がある」と提言している。

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Abstract/Full Text

[2018年12月13日/HealthDayNews] Copyright© 2018 HealthDay. All rights reserved.

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