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生活習慣病治療薬は精神疾患にも有用か
2019年01月
 一部のコレステロール低下薬や降圧薬、糖尿病治療薬は、統合失調症などの重篤な精神疾患の管理にも有用な可能性があることが、英ロンドン大学のJoseph Hayes氏らによる研究で示された。詳細は「JAMA Psychiatry」1月9日オンライン版に発表された。

 この研究は、2005〜2016年に、スウェーデンで抗精神病薬による治療を受けた15歳以上の統合失調症や双極性障害、非感情性精神病患者14万2 ,691人を対象としたもの。コレステロール低下薬と降圧薬、糖尿病治療薬の処方状況と精神疾患による入院および自傷行為との関連を調べた。

 その結果、これらの薬剤を処方されている期間では、処方されていない期間に比べて、精神疾患による入院および自殺企図を含む自傷行為リスクが低いことが分かった。特に、コレステロール低下薬のスタチンと降圧薬のCa拮抗薬、糖尿病治療薬のメトホルミンを処方されていると、これらのリスクは大きく低減することが明らかになった。

 ただし、Hayes氏は「この結果は、これらの薬剤が精神症状に直接的に作用することを証明するものではない」と述べている。専門家の一人で、米コロンビア大学医療センター心理学教授のTerry Goldberg氏も、今回の結果は関連性を示したに過ぎず、「因果関係を証明するものではない」と強調している。さらに、同氏は「可能性の一つとして、患者がこれらの薬剤を服用している間は、家族のさらなる支援などで服薬を守っているなど、全般的に適切な治療を受けていたことが影響した可能性も考えられる」と説明している。

 そこで、Hayes氏らは、精神疾患患者が降圧治療に用いられる利尿薬を処方されていた間にも、症状がさらに改善したかどうかを検証した。スタチンやCa拮抗薬、メトホルミンについては、精神症状にも有益な可能性を示すエビデンスがあるが、利尿薬についてはこうした報告はなされていない。同氏らは、もしこれらの薬剤を処方されていること自体が適切な治療や症状が安定したことの指標であるならば、利尿薬が処方された患者でも症状が改善するのではと考察した。しかし、解析の結果、利尿薬の処方と精神疾患による入院および自傷行為との関連はみられなかった。

 なお、Hayes氏によると、さまざまな精神障害は中枢神経系の炎症を伴うと考えられており、抗炎症作用を持つスタチンは精神症状を改善し、脳細胞をダメージから保護する作用を持つ可能性が動物実験で示されている。一方、メトホルミンは、精神疾患患者の脳がブドウ糖を使用する方法を介して症状改善に寄与している可能性がある。また、Ca拮抗薬は、心臓と血管だけでなく脳にもあるL型カルシウムチャネルを標的としており、動物実験で情動行動のコントロールの一助となる可能性が示唆されているという。

 Hayes氏は、研究の次の段階として、重篤な精神疾患患者を対象に、これらの薬剤の有効性や安全性を検討するランダム化比較試験の実施が必要だとし、「現在、世界的にもいくつかの研究が進行中だ」と付け加えている。

原文
Abstract/Full Text

[2019年1月10日/HealthDayNews] Copyright© 2019 HealthDay. All rights reserved.

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