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血糖異常を感知する「糖尿病アラート犬」はどこまで有効か?
2019年01月
 イヌは血糖値の変化を嗅ぎ分けるとされるが、英ブリストル大獣医学部のNicola Rooney氏らが実施した研究で、高血糖や低血糖などの血糖値の異常を感知して飼い主に知らせるように訓練された「糖尿病アラート犬」は、約7割の異常血糖値のエピソードを感知できることが明らかとなった。詳細は「PLOS ONE」1月15日オンライン版に発表された。

 Rooney氏らは今回、英国のある慈善団体で訓練を受けた27匹の糖尿病アラート犬に関する飼い主の記録を解析した。その結果、4,000件以上の高血糖または低血糖エピソードのうち、糖尿病アラート犬は中央値で70%のエピソードを感知できていたことが分かった。高血糖(67%)よりも低血糖(83%)の感知に優れることも明らかになった。

 Rooney氏は「糖尿病アラート犬には、飼い主のQOLを向上させる非常に大きな可能性がある」と評する一方、「どの程度の能力を発揮できるかは、個々のイヌの気質や訓練、飼い主との相性などさまざまな要因に左右される」と指摘している。

 現在48歳のKathleen Simmonds氏は、1型糖尿病と診断されて30年以上になるが、糖尿病アラート犬のEmmaと暮らし始めて血糖管理は大幅に改善し、ようやく血糖値を気にせずに過ごせるようになったという。同氏は、「家族が安心できるようにとイヌを飼い始めた。家族は私が意識不明で倒れているのではないかと常に心配して、夫は旅行に行くことを躊躇し、子どもも安心して学校に行けなかった」と振り返る。ボーダーコリ―のEmmaは、一家に心の安らぎをもたらした。

 しかし、糖尿病アラート犬の正確さは、持続血糖測定(CGM)を上回るとは言い切れない。糖尿病アラート犬に関する試験を実施したことのある米バージニア大学行動医学センターのLinda Gonder-Frederick氏によると、これまで多くの研究が行われているが、結果はさまざまで一致していないという。同氏は「糖尿病アラート犬が最も患者に優しい血糖値モニターであることは間違いないが、24時間、年中無休で働かせるのは少し酷な話だ」と述べ、「イヌには驚くべき嗅覚が備わっており、その能力は疑いようがないが、科学的データが不足している」と指摘している。

 サービス・ドッグの育成機関である米メディカル・マッツのオーナーで、Emmaの訓練士であるJennifer Cattet氏によると、糖尿病アラート犬に最適な犬種は特にないという。同氏は「個々のイヌの気質によるところが大きく、社交的で自信があり、食べ物でモチベーションが上がるタイプの犬が望ましい。生まれつき人に寄り添うのが好きなイヌが理想だ」と話している。

 Rooney氏らの研究に参加した英国の慈善団体メディカル・ディテクション・ドッグのClaire Guest氏は「血糖を正しく感知したときに褒美をあげるのを厭わない人が飼っているイヌは、成績が良い傾向がみられる」と述べている。

 また、糖尿病アラート犬になれるイヌは、どの訓練施設でも半数程度にとどまっている。アラート犬の育成や訓練には多額の資金を必要とする。例えば、上述のEmmaの価格は、Simmonds氏によれば1万4,000ドル(約155万円)であった。一方、Rooney氏らの研究では、アラート犬の育成や訓練には約3万8,000ドル(約420万円)の費用がかかるとされている。しかし、メディカル・ディテクション・ドッグでは糖尿病患者にアラート犬を無償で提供している。

 さらに、Gonder-Frederick氏によれば、現在、糖尿病アラート犬に関する規制や訓練、成績に関する基準は設けられていないといった課題もあるという。

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Abstract/Full Text

[2019年1月15日/HealthDayNews] Copyright© 2019 HealthDay. All rights reserved.

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