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血糖管理不良で1型糖尿病患者の心疾患リスクが高まる理由
2019年02月
 1型糖尿病では、慢性的な高血糖状態が続くと心臓を攻撃する自己免疫反応が引き起こされ、こうした心臓の免疫反応が長期的な心血管疾患の一因となり得ることが、米ハーバード大学医学部の研究グループが実施した研究から示唆された。一方、2型糖尿病患者では、血糖コントロール不良と心臓の自己免疫反応との間に関連はみられなかったという。研究の詳細は「Circulation」2018年11月26日オンライン版に掲載された。

 研究を率いた同学部付属ジョスリン糖尿病センターのMyra Lipes氏は「1型糖尿病患者は一般集団よりも心疾患を発症するリスクが高いことが知られているが、その理由は明らかになっていなかった」と話す。

 今回の研究は、1型糖尿病患者を対象に血糖コントロールと合併症の進展について検討した大規模な臨床試験(DCCT;Diabetes Control and Complications Trial)データを用いたもの。強化インスリン療法で血糖値を厳格に管理した患者83人(平均HbA1c値7.0%以下)と、従来治療を行った患者83人(同9.0%以上)を対象に、心臓自己抗体の有病率などを比較検討した。また、その後の長期にわたる観察研究(EDIC;Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications Study)から、中央値26年間の追跡期間中の心筋梗塞や脳卒中、心不全、心臓バイパス手術などの心血管疾患イベントの発生を調べた。

 なお、研究開始時点で、全ての参加者に心疾患の既往はなく、血圧値とコレステロール値は正常であったほか、1型糖尿病の長期的な合併症として知られる網膜症や腎症などもみられなかった。

 その結果、平均HbA1c値が高かった患者群では、心臓自己抗体レベルが高く、これが後に、冠動脈石灰化や心筋梗塞、心臓バイパス手術、死亡などと関連する可能性が示された。一方、2型糖尿病患者では、血糖コントロール不良と心臓自己抗体レベルとの間に関連はみられなかった。

 Lipes氏は「血液そのものが免疫反応を引き起こしているのではなく、高濃度の血糖が心筋を損傷し、免疫系がこの傷害に過剰反応するのではないかと考えられる」と説明する。ただし、同氏によれば、心血管疾患などの合併症は、自己免疫反応が起こってから数年後、場合によっては何十年も後に生じるものだという。生物学的な原因を特定するには、さらなる研究が必要だが、「これらの解明は、高リスク患者を特定し、心臓病を予防する新しい方法の開発につながる可能性がある」と同氏は付け加えている。

 1型糖尿病と2型糖尿病のどちらの患者も心疾患リスクが高いことが知られているが、その原因は糖尿病のタイプによって異なるようだ。研究には関与していない米コロラド大学内分泌学教授のRobert H. Eckel氏は「今回の研究から、1型糖尿病患者で心疾患リスクが高まるのは、心臓を攻撃する抗体がつくられることが原因である可能性が示された」と指摘する。同氏は「こうした現象は全ての患者で起こるわけではないが、良好な血糖コントロールを保つことは心臓のタンパク質に対する抗体の産生を抑制することが分かった」と説明している。

 こうした結果を踏まえ、Eckel氏は「この研究は、1型糖尿病患者における血糖管理の重要性を強調するものだ」と述べ、「これまで血糖コントロールの目的は、失明や腎機能の低下を防ぎ、神経が正常に機能し続けることとされてきた。しかし、今後は、血糖管理を行うことで心臓に対する自己免疫反応を防ぐことにもつながることが分かった」と同氏は述べている。

[HealthDay News 2018年11月26日]

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