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38SMBGの値に納得がいかない
2008年08月
 血糖自己測定(SMBG)をしていると、得られた値に納得するときと、納得できないときがあります。みなさんはこのような経験はないでしょうか。
病院やクリニックで測定した値と自分で測定した値が違う
 病院で腕の静脈から採血して血糖を測定するときに、同時に自分の持っているSMBGの機器で自分の指先の血液(指頭血)から血糖値を測定することがあって、この2つの値に違いがあったりすると、自分の持っているSMBGの機器が故障しているのではないかと不安になることがあります。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

SMBGの機器は大きく2種類に分けられる
 指頭血で測定した血糖値については、病院で測る静脈血の血糖値に合うように換算する機器と、あくまでも指頭血の血糖値を表す機器の2種類があります。前者の機器を持っている人が後者の機器を持っている人と比較するような場面に出会うと、両者の血糖値が違うということになりえます。
 それでは、静脈血を用いて、同時にSMBGの機器と病院の大型の機械で測定すると、2つとも同じ値になるでしょうか。そうはなりません。静脈血を前者の機器を用いて測定すると、病院で測定する静脈血の血糖値より、低めになります。

指頭血と肘静脈血でも血糖値がずれることがある
 また、指頭と肘静脈の両方から同時に採血して、それぞれを病院の大型の機械で測定したら、同じ値になるかといえば、なりません。厳密には、指頭と肘静脈の間の血糖値に時差があります。

機器の測定誤差が関係することもある
 SMBGの機器の測定誤差は病院の大型血糖測定機械の誤差よりも大きいことも関係します(病院にある大型の測定機械は毎日正しい値が出るように検査の方々が調整している場合がほとんどです。また、複数台あればその間にも誤差のないように調整している場合がほとんどです)。
SMBGで得られた値がどうしても自分の感覚と合わない
 SMBGの機器を毎日使っていると、だいたい自分の感じている、思っている予想値に近いものが出るようになります。「100の真ん中あたりの数字」とか、「200を切るくらいの数字」とか、「300を超えたあたりの数字」など、大まかな、ざっくりとした感覚で感じている値に近い値が出てきます。異常な低血糖、異常な高血糖でなければ、ほぼ思った値がでてくるでしょう。

低血糖と思ったのに?
 ところが、自分は低血糖だなと思って、測定したら全く低血糖ではない、ということがありえます。これはなぜでしょう。血糖値を感じているのが自分の脳であり、指頭の血液が低血糖であることを脳に知らせているのではないからです。
 血糖値が「急に」下がってきたとき、脳のほうが先に低血糖を感じ、「あっ低血糖だ」と感じているのに、まだ指頭血のほうには低い血糖の血液が流れていないことがあります。あくまでも血糖値が「急に下がる」ということが起こらないと、このような状態はみられません。

ほんとうの血糖値とは?
 さて、このような場合は、どちらがほんとうの血糖値なのでしょう。私は、自分の脳が感じた「血糖の高い、低い」がほんとうのことではないかと思っています。実際に、低血糖症状は脳に起こっている症状ですね。
 自分の血糖値に対して抱いた自分の「気持ち」や「感じ」、これを大切にしてください。高いと思って測定したら高くない測定値が出た、よって「高くないのだ」と考えるのではなく、「高いと思ったのに」、「なぜ高いと思ったのだろう」、という感覚を大事にしましょう。
 「血糖値が低い」と思って測定したら「低くなかった」、しかし、繰り返し測定したら「だんだん低くなってきた」ということも実際に起こりえます。

SMBGを上手にいかすために
 低血糖に対策するときに、真の血糖値は脳内の血糖値だとするならば、SMBGの機器で得られる値をむしろ参考にする値だと思うくらいのほうがいいのではないでしょうか。
 ご自分の感じる、思う、予想するという行為を大切にして、大まかな数値を予想しながら測定しましょう。大きく違うときには、なぜそうなるかを考えてみましょう。そして、急激な低血糖のときには指頭血での測定値に遅れが出ることもあることを覚えておきましょう。
©2008 内潟安子


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