いま1型糖尿病は トップページへ メールマガジン無料登録
46学校ではインスリン注射は保健室で・・・
2009年04月
 小学生の高学年になると、1型糖尿病のお子さんのほとんどは4回注射になっているかもしれません。
 4回注射になると、昼食前に学校で注射することが必要となります。
自分でできるなら
 東京女子医大の糖尿病センターでは、2回とか3回注射でうまくいかなくなってそろそろ4回注射の時期かなと思われるとき、自分でできるなら、4回注射をおススメしています。無理に4回注射するのをお願いはしておりませんが、もちろん3回注射でうまくいっている場合は、3回注射のままでいいですね。
 3回注射でやっていても、学年が上がれば上がるほど生活が複雑になり、塾や課外活動、部活などで、夕食時間が遅くなりがちです。
 よって、夕食までに、なにかつまむこともあったり、部活仲間と一緒に何か食べるときもあるでしょう。これは友達付き合いだから、付き合いを大事にやっていきたいですね。もう間食の量が普通の食事の1回分になることもあります。血糖値をあまり乱すことなく、しっかりと食べていただきたいと思います。
 このような状況になりますと、頻回注射法のほうが、血糖値のコントロールをやりやすくなります。
 学年が上がると、そろそろなんでも自分でやってみたい、という自我が目覚めてきて、「自分で昼は注射できるよ」というようになってきます。
 この気持ちを大事にしたいな、といつも思っています。押しつけではなく自分からやってみる、という気持ちを大事にしたいです。
足慣らしに夏休みから
 「自分でできるかな?」、「できる?」と本人にしっかり聞いてから、頻回注射法に切り替えていきます。すこしでも、躊躇するようなら、無理強いはしません。
 また、足慣らしに、夏休みなど休み中だけ頻回注射をしてみる、というようなやり方でもいいですね。学校が始まったら、もとに戻す・・・。なんなら、日曜日など休みの日だけ4回注射にしてみる、というのもいいですね。
学校で注射すること
 当センターには小児慢性特定疾患(20歳未満の方ということ)に該当する患者さんが、たぶん全国でも1、2位を争うほど、多く、受診されています。よって、通学している小学校、中学校の数も多い、ということになります。
 数も多いのですが、都内だけでなく、関東甲信越に分布していますし、また小さい患者さんは全国からやって来られますので、小学校、中学校、また幼稚園も、全国に散らばっているといえます。
 全国の学校、幼稚園ともなりますと、それはいろいろありました。これまでにもいくつか、トラブルめいたこともありました。昼に注射する必要のあるインスリン療法に、学校側が慣れていなかったことが大きな原因でしょう。
 体育のときも普通でいいのに、どうしてよいか、わからないために「1人だけ帽子をかぶれ」と言われた学校もありました。もちろん、回避。
 養護学校でなければ通学はだめ、と言われて、こちらから学校に電話して説明して大丈夫になったことも、過去にはありました。夏のプールの課外活動もだめと言われたことも。しかし、お話しすると、学校の先生はわかってくれますね。
 最近では、全くといっていいほど、トラブルはありませんでした。
学校ではどこで?
 最近の学校の昼休み時間は短く、また給食なので、給食当番にでも当たったりしたら、それこそ時間が全くないようです。
 「保健室で注射したい」というお子さんもいますし、「教室でみんなが見ていても大丈夫、注射できる」というお子さんもいます。みな、それぞれです。
 みんなが見ることによって、「そうなんだ、○○ちゃんは注射してエネルギーをもらっているのだ」と理解するお友達も多いと聞きます。たとえ、低血糖になって変な行動をしてもお友達がかばってくれた、ということも聞きます。
 どんなに餓鬼大将がクラスにいても、注射しているお友達にはやさしいようです。自分がきらいな注射をいとも軽々とできるすごい子だ、というわけです。
 最近、教室内で、なんの問題もなく注射してできていたのに、「保健室で行うように」と学校側から言われたお子さんがいました。私はとてもびっくりしました。さっそく、校長先生に電話しました。「多くの学校に通学するお子さんを見てきましたが、このような学校ははじめてです」と柔らかくお伝えしました。何か教室で問題でもおこったのか、これはたいへんと思い、これもお聞きしましたが、「なにも問題はおきていない。予防的だ」という説明でした。「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」といいますが、「羹に懲りない前に膾を吹く」ような説明で、こんな学校もあることに、びっくりしました。
 是非、養護の先生や保健の先生にがんばってもらって、このような学校がなくなるように、お願いしたいと思います。
 教室内で注射できる勇気のあるお子さん達です。この気持ちを大きく伸ばしてあげてほしいと思います。

 このサイトをごらんになった養護の先生、保健の先生、是非、お声を上げてこのような学校がなくなるようにお願いします。もちろん、医師もがんばります。

参考 ○回注射とは?頻回注射法とは?
1日に何回インスリン注射するかという回数を表します。
2回注射法で代表的なものはあらかじめ2種類のインスリンが混ぜてある混合インスリン製剤を朝食、夕食前に注射する方法です。
3回注射法の代表的なものには、2回法で紹介した混合インスリン製剤の1日2回打ちに昼食前の超速効型(あるいは速効型インスリン)の1回、朝夕の混合型インスリン注射と間食時の超速効型(あるいは速効型インスリン)の1回、朝、昼の速効型(超速効型)インスリンと夕食前の混合型インスリン注射の方法があります。
1日4回以上のインスリン注射法を頻回注射法(インスリン強化療法)と呼び、朝食、昼食、夕食の食事の前に超速効型(あるいは速効型インスリン)を注射し、朝食、夕食、就寝前などに1回から2回の持効型溶解(あるいは中間型インスリン)の注射をするものです。

©2009 内潟安子


ジョンソン エンド ジョンソン

新着情報
インスリン50年歴の小児期発症1型糖尿病患者さんが増加
バックナンバー
59 インスリン50年歴の小児期発症1型糖尿病患者さんが増加
58 新薬ラッシュだけどやはり食事!
57 基本的な4回注射法の落とし穴 夕食が遅くなる
56 海外の糖尿病ケアにおける動き―2010年アメリカ糖尿病学会から
55 高血糖恐怖症と低血糖恐怖症
54 高校生まではうまくいっていたのに・・・
53 高頻度におこるか、低頻度におこるか
52 もう知っていたかもしれませんね
51 髪の毛が抜けるんです
50 飲みものなら胃に残らないし・・・
49 いつも注射している部位に注目!
48 何かに縛られている?
47 次回の目標HbA1c値を決めてみる?
46 学校ではインスリン注射は保健室で・・・
45 血糖値が高くなったらインスリン注射をすればいい?
44 ざっくりと「見計らい」する
43 治療的患者教育(TPE)と日本の若者の企画
42 家族の気づかいがかえってうっとうしい
41 悩んでいる自分はおかしい?
40 糖尿病の国際学会とドーンユース国際調査発表会2008
39 としごろの皆さんは、主治医の先生に声変わりや生理のことを話ししていますか?
38 SMBGの値に納得がいかない
37 糖尿病と妊娠に関するQ&Aの冊子ができました
36 日本糖尿病協会小児糖尿病対策委員会のこと
35 インスリンの副作用
34 吸入インスリンの道 けわし
33 インスリン注射してから血糖が下がるまで
32 食卓で大皿に盛って・・・
31 50年間、インスリン治療を続ける
30 指がうまく開きますか?
29 時差とインスリン注射量
28 IDF青少年憲章できあがる
27 海外での食事とインスリン注射量
26 海外へのインスリン製剤持ちだしは大丈夫?
25 血糖を連続的に自動的に測定する機器(CGMS)
24 血糖値が気になって思うように食べられない
23 夜間にひどい低血糖になってもわからないんです
22 運動後に血糖が上昇する?
21 低血糖症状は変わる
20 若年発症2型糖尿病にも目を向けて
19 Unite for Diabetes その2
18 なぜ血糖自己測定をするのか
17 インスリン注射によって“も”引き起こされるメタボリックシンドローム?
16 DCCT/EDICの結果は?
15 注射はほんとうに痛い?
14 国際糖尿病連合の「糖尿病に対して団結して立ち向かおう」キャンペーン
13 臨床試験について
12 インスリン治療にも危機管理を!
11 1型の食事はごく普通に食べること
10 高血糖と低血糖
09 吸入インスリンについて
08 インスリンポンプについて
07 劇症1型糖尿病を知っていますか
06 小児ヤング糖尿病と日本糖尿病協会、糖尿病療養指導士(CDEJ)
05 小児ヤング糖尿病治療の小児科から内科への移行の問題
04 高血糖になると多尿になるのはなぜ?
03 小児ヤング糖尿病の教材が完成
02 小児糖尿病には1型も2型も
01 小児糖尿病の治療の歴史