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52もう知っていたかもしれませんね
2010年01月
私は、ついぞ、知りませんでした。2008年のオリンピックのウエイトリフティングで優勝して金メダルの栄誉に浴したマチアス シュタイナー選手は、1型糖尿病であったのですね。ヨーロッパ糖尿病学会会場にきて、彼が来るというチラシがあり、はじめて、知りました。

彼はオーストリアで育ちましたが現在はドイツ人です。学会に参加していたドイツの糖尿病教育ナースが言うには、ドイツでは、自分が1型であることをすすんで話すことはないそうです。どちらかというと、隠しておくことが多いと。そういった環境の中で、彼が「自分が1型糖尿病である」と世間に公表したことはすばらしい、と彼女は言っていました。

もちろん、金メダルをとったから、言うことができたともいえます。しかし、逆に、金メダルをとる前から、彼は1型糖尿病なのだ、ということがわかると、なんだか病気を持ってがんばっている人なのだと、特にマスコミなどがそのことばかりを取材してしまって、本来の彼の実力であるウエイトリフティング界で強剛と競っていることから離れてしまう、このことを嫌っていたのかもしれません。ウエイトリフティングのことで取材を受けることだったら、彼はいつでもウェルカムと思います。

阪神タイガースの岩田投手もそうですね。2008年の成績はすばらしいものでした。前回のワールドベースボールクラシック(WBC)の、日本代表選手の1人としても選出されて、日本がWBCで優勝したことはいまだ記憶に新しいところです。彼の雄姿は、みなさんのクリニックにポスターとして貼られていることでしょう。ときどき、テレビでも彼が投げてるところが映りますが、真剣そのものですね。妥協を許さない顔です。

彼も糖尿病のみなさんへのエールをおくることには、いささかもやぶさかではない、なにかのイベントにも、たぶんオフになれば時間さえ許せば喜んで応じる気持ちを十分持っていることでしょう。

当方の外来にも、1型糖尿病ではあるが運動選手で日本代表の1人としてがんばっている若い方や、県大会でいつも優勝するような運動大好きの小中学生がおります。とても、さわやかです。こだわりがない。

エアロビクスの大村詠一クン(もうクンではありませんが)も、数年前にお会いしたことがありますが、さわやかですね。

ウエイトリフティング、野球のピッチャー、エアロビクス、それらが好きだから、そして、どうもそこに自分の才能があるらしいと、たぶん気づいて邁進しているだけ、ということでしょう。そこに、たまたま、1型糖尿病があったというだけ。

いい成績を大会で残すために、その一瞬のパフォーマンスに賭けるために、日々努力しています。高血糖だと良いパフォーマンスができない、からだのキレが悪い、と言っていました。なるほどと思いました。

彼らの血糖コントロールの仕方ですか? これは、それぞれ、いろいろな場面に遭遇してから経験的に学びとってくる、といったほうがいいでしょう。うまくいかないときは相談に乗りますが、基本的には自分でやり方を見出していっています。
©2010 内潟安子


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