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55高血糖恐怖症と低血糖恐怖症
2010年05月
血糖値の高い数字を見たら、すぐ下げたくなる高血糖恐怖症の方がいます。血糖を下げるために、もちろんインスリンを追加注射します。

その反対に、血糖値の低い数字をみるともうびっくりしてすぐ、後先を考えずに、何か甘いものをいっぱい食べてしまう方がいます。これを何度も繰りかえしてしまいます。
 頭では慌てなくてもいいのだと思うのですが、その場になると、食べ過ぎるほどに食べてしまいます。このような方は低血糖恐怖症といえましょう。

どちらの方も、軽いのなら問題ないのですが、極端な方もいらっしゃって、問題が起こってくることがあります。

高血糖恐怖症
高血糖を極端にきらうのをどこで学んだのかな? と疑問に思うほど、高血糖値をきらいます。理由は合併症を起こすからです。
 「先生、病院の壁に、HbA1c 7.0%以下にしなさいと書いてあるじゃないですか、どうしてすこしの高血糖を無視していいのですか」と言って、意識がなくなる低血糖症を何度もおこす方がいます。

糖尿病と診断されて最初に入院した病院で、ともかく糖尿病性合併症というのはこわいものだ、と教えすぎることも原因のひとつかもしれません。もともと、潔癖主義の性格があったのかもしれません。
 高血糖値が出たら、低血糖をおこすほどにすぐインスリンを追加して注射してしまうのですね。

しかしフシギなことに、低血糖をちょくちょくおこしていることをあまり主治医に言わないことが多いのです。だから、主治医は、そんなに低血糖をおこしていることを知らないことが多いですね。HbA1c値がいいので、「こんな調子でいきましょう」となってしまいます。
 そして、大きな低血糖をおこして病院に救急などで来院したときに、よく低血糖症をおこしていることがはじめて判明します。主治医、形無しです。

このような高血糖恐怖症の方には、CGMS(持続糖測定システム)の器械を装着することは避けるようにと、海外の学会でCGMSのシンポジウムで話していた学者がいました。高血糖にこだわりをもってしまうからだろうということでした。
 血糖測定が頻回になりやすいことも同じリクツでしょう。頻回に測定してできるだけ低くしようとしてしまいます。

私は、このようなクセのある方には、できるだけ測定回数を減らすように、がんばってもらいます。がんばる気持ちが必要です。測定したい!という気持ちを「押し殺してもらう」努力をしていただきます。

低血糖症を減らす
低血糖症を何度もおこしていると低血糖状態に慣れてしまい、低血糖症状が出にくくなるといわれているのはご存知でしょう。
 私は症状が出にくくなることもよろしくありませんが、もっともっとゆったりした生活(深呼吸でもしているような、楽に空気を吸ったり吐いたりする生活)をしていただきたいと思い、すこしでも血糖測定回数を減らしていただくように、お話しします。
 それに血糖測定自体はインスリン注射に比べて痛いのですね。
低血糖恐怖症
これは、高血糖恐怖症の反対の方です。とにかく自分にとって低い(と思われる)数字を見てしまうと不安になり、とにかく口になにか入れてしまう、不安がなくなるくらいに入れてしまいます。
 頭の中では、血糖値は下げておかねばならないとは理解しているのですが、低い数字を見ると、だめなのです。一般的に、HbA1c値は良くありません。

はじめての入院中に、低血糖はこわいものだ、とこれも押し付けるように教わってきたことも原因かもしれません。
 もともと何に対してもこわがりの性格なのかもしれません。自分ひとりで行動することがこわいという性格なのかもしれません。

この場合は、CGMSをつけることで良い方向に働く可能性が大きいです。「そうか低くなっても大丈夫なのだ」と自覚することができるからです。
 CGMSでなくても、ちょっと入院して血糖を下げてもらうのもいいかもしれません。血糖値を人工的にゆっくり下げていってもらうとちゃんと低血糖症状が出てくる、ということを学ぶことがいいかもしれません。

低血糖症状が出ない?
また、低血糖症状が出ないので自分は低血糖がわかりにくい人間なのだ、無自覚性低血糖症を起こしやすいのだという方もいます。しかし、よくよくお聞きすると、低血糖症状がちゃんと出ていることが多いですね。
 自分では、その症状を低血糖の症状だと認識していない、ことが多いのです。無自覚性ではなく、無認識性なのです。

以前にも書きましたが、低血糖症状は年々変化していきます。
 こんな症状も低血糖症状か?というようなこともあります。自分の体の観察、体の感じ方とでもいいましょうか、これを観察することがとても大切です。
 血糖自己測定よりも、大切かもしれませんね。
©2010 内潟安子


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