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59インスリン50年歴の小児期発症1型糖尿病患者さんが増加
内潟安子  東京女子医科大学 糖尿病センター教授
2012年07月
もっと受賞されてもよい方がいらっしゃる?
 31回のこのコーナーで、50年間インスリン注射を継続した方に賞が受賞されることを書きました。リリーインスリン50年賞です。名前が刻印された純銀のメダルがいただけます。
 インスリン注射は途中中断していても合計年数が50年あれば、申請することができます。

受賞するなんて晴れがましいことはキライだ、と言って申請しない方もいらっしゃいますので、たぶん、もっと、日本には受賞されてもよい方がいらっしゃると思います。  下図は、リリーインスリン50年賞の年度別受賞者数などを記載したものです。

2003年からの受賞者の人数
 第9回(2011年)までに全国で40名の方が受賞されています。データ非公開の方もおられますので詳しくはわかりませんが、少なくとも小児期発症1型糖尿病の方が12から13名以上おられると思います。日本の小児サマーキャンプ卒業生で50年賞受賞の対象になり始めたのが2009年です。
 1型糖尿病ですから、1日もインスリン注射を止めることなく、50年間インスリン注射をしたということです。
50年前のインスリン治療は
 50年前は、今とたいぶ異なっています。
 インスリン注射の針は使い捨てではありません。インスリンはビンの中に入っています。
 注射の針をビンの口のゴムに突き刺し、ビンからインスリン液を吸出し、その注射器で注射します。よって一度ゴムを突き刺した針でまた皮膚に注射することになるので、針先の鋭さはなくなっていきます。その針を何回も使用します。
 針の太さは、採血する針くらいの太さです。皮膚に刺すと"ぶすっ"と音がしたとのこと。
 インスリン注射の針、注射器は何度も使用するので、自宅で水を張ったアルミの弁当箱に入れて、煮沸して、使用します。

 インスリン製剤も、今のように速効型や超速効型インスリンは、まったく手に入りません。レンテインスリンというインスリンを使用します。これは、今の30Rインスリンのようなものです。
 朝1回、レンテインスリンを大量に注射します。よって、30Rのようなインスリン製剤ですから、高血糖になってもすぐ下げることができないので、平生、高血糖にならないようにします。

 いつでも血糖測定ができないのです。測定機器がよくないので、測定しても信用できません。また、測定機器は高価ですので、だれもが持ってはいません。のどが乾いたりトイレに行きたくなったら高血糖だ、と判断する程度です。血糖値で判断できない時代でした。

 朝1回のインスリン注射でしたから、高血糖にならないために、朝食はしっかりと、昼はほどほどに、夕食は軽く食べるようにしていました。食後の高血糖をできるだけ避けるというように、自分自身で工夫してこられたようです。

50年前のインスリン治療は
 リリーインスリン50年賞受賞された方々にはインスリン注射開始50年以上を経て、元気に暮らして居られる方が大勢おられます。

 第1回目のつぼみの会サマーキャンプ参加者の対談「サマーキャンプ卒業生、元気です」が「さかえ」(Vol.52、No.5)の記事になっています。第1回に参加された方々は失明してもいませんし、視力もばっちり、透析もしておられません。

 このような方々にどうして大きな合併症がないのか、じっくりと伺いたいと思っているところです。

リリーインスリン50年賞 https://www.diabetes.co.jp/csr/award/default.aspx
©2012 内潟安子


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