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Dream Trustの活動

国際糖尿病支援基金が支援する団体
Dream Trust ―Trust that cares for diabetic children―

発足の経緯

ドリームトラストの誕生のきっかけとなった2つのショッキングな出来事

 インドでは、社会や文化、経済的事情の面において女性や少女に対して、はなはだしい差別が続いており、これが私たちの活動が女の子を優先させる理由となっています。

 このプロジェクトは、私どもが2人の糖尿病の少女を失った下記のような経験から始まりました。

 少女たちの両親は、単に、インスリンを与える経済的な余裕が無いという理由だけでインスリンをストップし、その結果、娘を死に至らせることになってしまったのです。

 カルパナ(kalpana)は、2歳の時に1型糖尿病と診断された5歳の少女でした。彼女は定期的に当クリニックに通っていましたが、ある日ひどいケトアシドーシスとショックによる昏睡状態でクリニックに運び込まれて来ました。どうにかクリニックに着いたもののそれが彼女に残っていた力のすべてでした。手当ての甲斐も無く死亡してしまいました。彼女の家庭は貧しいために、彼女にこれ以上インスリンを与える続けることが出来ず、絶望的な状態の中で、インスリンをストップし、それ以外の安易な方法を選択せざるを得なかったのです。

 私(Dr.Shard ドリームトラスト理事)は、驚くとともに怒りが込み上げてきました。しかし、母親の悲しみにくれる顔を見た時、自分自身の無力さ、またその事実を前にして敗北を認めざるを得ませんでした。

 カルパナは楽しい子で、1型糖尿病の子供たちのためのピクニックに毎年参加して、学習の進歩も早く、いつも心からエンジョイしている様子で、私たちもそんな彼女を見るのを楽しみにしていました。

 その彼女の姿を、ピクニックで見ることはもう2度とありません・・・・・・

 スーダ(Sudha)が8歳で私と会った時は、ちょうど1型糖尿病と診断された時でした。貧しく読み書きの出来ないスーダの両親に、インスリンが彼女が今後生きていくために重要なことを説明しました。この説明を注意深く聞いた後、父親がたずねました。

 「娘がこのさき生きていくためには、毎日インスリンを打たねばいけないのですか?」

 Dr:そうです。

 「もし、インスリンを止めたらどうなりますか?」

 Dr:昏睡を起こし、そのままにしておくと死亡します。

 父親は私の言ったすべてを理解した様子で、静かにうなづき、私自身は自分のカウンセリングの効果に満足していました。

 私はスーダの頭を軽くたたき、両親と一緒に帰しました。

 その1カ月後、私はスーダが死んだことを知りました。

 父親は、そのことがどのような結果になるかを十分に知りながら、あえてスーダのインスリンを中止したのです。

 貧しさゆえに、スーダは生きることが叶わなかったのです。

 カルパナ(kalpana)とスーダ(Sudha)のような悲しい例はそれだけではありません。ショックで心の痛む子供たちの例がもっと沢山あります。

 この事から、私(Dr.Shard)と妻(Swati)は、このような悲劇を防ぐための組織を作ることを決心し、ドリームトラスト(Dream Trust)が誕生したのです。

 しかし、このようなトラストを設立したものの、私たちだけの力ではとても及びません。一人でも多くの子供たちを助けるために、この記事をご覧になった皆さんに理解と協力を
を得て、この運動が広がることを希望しています。

 ドリームトラスト(Dream Trust)は、これまでのところ(2005年現在)80人の子供を含む200人以上の1型糖尿病患者を支援し、インスリンや注射器、試験紙などを無料で支給するとともに、健康状態を診て来ました。

DreamTrust のホームページへ
www.dreamtrust.org/
2005年02月

活動の狙いと目的

 ドリームトラスト(Dream Trust)の主な目的は、経済的に恵まれない1型糖尿病の患者さん、特に子供の患者さんの健康管理を支援することにあります。なかでも女性の糖尿病患者さんの支援には特に力を注いでいます。

糖尿病の子供たちが生き続けられるように支援する

 ドリームトラストは、インスリンが必要な2人の少女の死をきっかけに、5年前に設立されました。したがって、第1の目的は糖尿病の子供たちの生存を保障することです。最初は子供たちに、生き続けるために不可欠なインスリンを定期的に与えることから始まり、この結果、このような子供たちの死亡例はなくなりました。

病状を改善させる

 糖尿病の子供たちは、頻発するケトアシドーシスや糖尿病性昏睡、皮膚感染症(膿瘍)、肺結核、成長障害などの問題を抱えています。この主な原因は経済的理由によるインスリン治療の中断やインスリンを1日1回だけしか打たないことによる投与量の不足です。そして、これらのことが学校を中退せざるをえない状態にもつながります。

 私たちの過去数年の経験では、支援した子供たちは、成長障害、頻発するケトアシドーシスや昏睡、感染症などを減らす上で目覚しい効果をあげました。ほとんどの子供たちは、体重に合せたインスリンを、1日2〜3回打っており、学校への出席や自分自身に自信を持つようになったこと、更に、子供たちに対する両親の接し方さえも明らかに改善されてきました。

合併症を防止する

 これまで、1型糖尿病の患者さんは、網膜症、腎症、神経障害など最小血管の合併症にかかりやすく、コントロールの悪い1型糖尿病の患者さんに早期に多発するといわれてきました。

 DCCT(Diabetes Control and Complications Trial)は、これらの合併症を防ぐことが出来るとともに、もしすでに合併症が在ったとしても、1日4〜6回注射の強化インスリン療法や、血糖自己測定を行うことにより、血糖値を出来るだけ正常値に近づけ(ヘモグロビンA1c7%以下)厳しくコントロールすることで、その進行を遅らせることが出来ることを明らかにしました。

 ドリームトラストは現在、糖尿病をコントロールするために、子供たちにインスリンを提供していますが、現状では理想には程遠い状況です。

もし、更に資金があれば、血糖測定器や試験紙を与えたり、定期的にヘモグロビンA1cを測定することも出来ます。

 
Manda in 1992    Manda in 2001

社会復帰(職業訓練、雇用、結婚)

 社会的、経済的に恵まれない階層の1型糖尿病の子供たちは、教育を受ける機会が少なく、そのためより良い仕事につくチャンスも閉ざされています。

ドリームトラストでは、これらの子供たちが自立できるように職業訓練のプランがあります。
少女たちを取り巻く社会的、経済的問題の解決や、今もなお、お見合い結婚が主流のインドで、糖尿病であるということが原因で、両親だけでは結婚相手を見つけることが困難な状況を支援し、これまで9人の女性の結婚に力になることができました。

子供と親への教育と意識改革

 許可なく薬を替えたりインスリンを中止し、安易な治療法に頼ってしまう傾向が有るため、子供やその両親に対し、糖尿病やその合併症の可能性、治療法などを教育することは緊急を要します。
このため、ドリームトラストでは、子供とその両親を対象としたセミナーを定期的に行っています。

 また、毎年ピクニックが行われ、両親と子供が無料で招待され(交通費や食事も無料)レクレーションや教育プログラムに参加しています。



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2005年02月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    2,038万4,538円 
  • これまでに実行した支援金
    2,002万4,737円 

(2025年06月現在)

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