インスリン自己注射ガイド
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糖尿病3分間ラーニング

3. インスリンの効果を生かすためのチェックリスト-2

朝倉 俊成 先生
2007年07月

ポイント6 注射する場所は、説明された部分の中で、少しずつ変えましょう

 インスリンを注射したあと、体内に吸収されて作用を発揮するまでの時間は、注射する部位によって異なります。少し詳しく言うと、おなかが一番早く、次に腕、おしり、ふとももの順に遅くなります。患者さんへは医師から、処方するインスリンの特徴にあわせて、どこに注射するか説明があります。その説明を守ることが第一です。

 そして、その説明を受けた部分の中で、毎回、指2本の横幅ぐらい(2〜3センチ)ずらして注射します。いつも同じところに注射していると、皮膚が硬く変化してしまうからです。そのためにインスリンの吸収速度が変わってしまうこともあります。

ポイント7 注射針を根元まで刺しましょう

 インスリンを注射したあと、体内に吸収されて作用を発揮するまでの時間は、ポイント6でお話しした注射部位によって異なるほか、注射の深さによっても異なります。詳しく言うと、針先が深く筋肉まで達したような場合は吸収が早くなり、逆に浅すぎて皮膚の位置にとどまっていた場合は吸収に長い時間がかかるようになります。

 インスリン注射は皮下(皮膚と筋肉の間の脂肪)に注射します。注射針を根元まで刺すと、皮下注射になります。

 なお、通常は注射部位をつまみますが、これには針先が筋肉に刺さらないようにする意味があります。皮下脂肪が少なくて、根元まで刺したときに筋肉に刺さるような場合は、注射部位をつまんだり、針をやや斜めに刺すこともよいと思います。

ポイント8 注入ボタンを押し切ったあと、10秒ぐらいそのまま待ちましょう


このイラストは、日本イーライリリー社のパンフレット
「インスリン注射ワンポイントセミナー」から、許可を得て引用しました。

 注入ボタンを押し切ったあとも、しばらくは注射針の先からインスリンが出ています。この間に針を抜いてしまうと、インスリンが漏れ出して、設定した量をしっかり注射できません。

 注入ボタンを押し切ったあとに待つ時間は、注入器によって5秒や6秒、または10秒というものまでいくつか違いがあります。ただし、どの注入器でも、短いよりは長く待ったほうがより確実です。

補 足

 時計を見ずに秒数を数えると、ほとんどの人は実際の時間よりも短い時間しか待たないようです。10秒間しっかり待つためには、20カウントするくらいがちょうどよいかもしれません。

ポイント9
針を抜くまで、注入ボタンを押したままの状態を保ちましょう
(オプチクリックを使用する場合を除く)

 注入ボタンを押し切って10秒ほど待ってから針を抜くのですが、このとき、針先がからだから離れるまでは注入ボタンを押したままにします。針を抜く前に注入ボタンを離してしまうと、血液などがカートリッジのほうに逆流してしまうからです。

 ただ、オプチクリックの場合は注入ボタン(単位設定ダイヤル)から指を離し、注入ボタンが本体に入ったままで、元の位置に戻ってこないことを確認する必要があります(ポイント5参照)。

ポイント10 注射後は針を外しましょう

 注射後に針を付けたままにしておくと、針から空気がカートリッジに入ってしまうことがあります。また、針の中でインスリンが固まって針づまりを起こすことがあります。

補 足

 注射針は注射のたびに交換しましょう。感染症などの危険を減らすためです。また、使用済みの注射針の針先はつぶれて鋭利でなくなっているので、再使用すると、痛みを強く感じやすくなります。

ポイント11 針が付いていないとき、注入ボタンを押さないようにしましょう

 針が付いていない状態で単位ダイヤルを動かして注入ボタンを押すと、内部に強い圧力がかかって注入器が故障することがあります。

補 足

 注射をする前に試し打ち(空打ち)をすることはもちろんですが、その前に注入器の外観を観察して、かたちがおかしくなっていないか、カートリッジにひびが入ったりしていないかなどをチェックしてください。

ポイント12 適切なインスリンの保存方法を知っておきましょう

 インスリンの長期保存に最適な環境は、温度が2〜8℃で、光が当たらないところです。ただし、あまり温度が低すぎて凍ってしまうと、解かしてもインスリンの性状が変化しているので使えません。ですから、未使用のインスリンカートリッジや予備の注入器の保管場所として最適なのは、冷蔵庫の中、しかも、冷気の吹き出し口から離れていて、あまり冷たくならないところです。

 使用を開始した注入器は、冷蔵庫に出し入れすると結露して故障することもあるので、常温(室温)で保管します。インスリンの保存に最適な温度は2〜8度とはいうものの、これは長期間保存するときの話であって、使用を開始したインスリンを使い切るまでの期間程度であれば、常温でもまず問題ありません。

 ただし、みなさんご経験があるのではないかと思いますがに、窓を締め切った車の中や南向きの密室などをは、驚くほどの高温になることがあります。そのような場所に放置してしまうと、やはりインスリンの性状が変化してしまいますので、気をつけましょう。

ポイント13 注入器の使いやすさをチェックしましょう

 インスリン療法をしている患者さんは、日本だけでも70〜80万人います。その中には、目が悪くて単位設定ダイヤルの文字が見にくいと感じている方もいるでしょうし、注入ボタンを押すときに力が入らずに苦労している方もいるでしょう。カートリッジの交換に不安を感じている方も少なくないと思います。

 こういった方々が少しでも安全、確実にインスリン自己注射を続けられるように、すでにいろいろなタイプの注入器が用意されています。もしあなたが操作方法に困難や不安を感じているのであれば、一度、医師や看護師、そして薬剤師に相談してみてください。別のタイプの注入器に交換が可能かもしれませんし、同じ注入器でも、扱いやすい使い方のコツを教えてもらえるかもしれません。

2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した
「NGSP値」で表わされるようになりました。過去の記事はこの変更に未対応の部分があります。

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