糖尿病の用語辞典


膵移植
 膵臓移植のこと。脳死移植によって行われます。国内ではまだあまり多くは実施されていません。糖尿病の人への臓器移植としては膵移植以外に、腎症が進行した人に腎臓移植が行われることがあります。腎移植は脳死状態のドナーからだけでなく、心停止後のドナーからも移植可能です。膵臓と腎臓を同時に移植することを、膵腎同時移植といいます。
 なお、臓器移植に伴う免疫反応を軽減するため、膵臓全体を移植するのではなく、インスリンを分泌するランゲルハンス島の細胞だけを移植する「膵島移植」も行われています。

推算糸球体濾〈ろ〉過量 糸球体濾過量

随時血糖値
 食事の前または後などに関係なく採血した時点での血糖値のこと。随時血糖値がふつうよりも高ければ糖尿病の可性が考えられます。一方、随時血糖値が正常であったとしても、糖尿病の可性がないとは言い切れません。

膵性糖尿病
 慢性膵炎や膵臓がんなどの膵臓の病気が原因で起きる糖尿病で、二次性糖尿病の一種です。インスリン分泌とともに、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌も低下することが多いため、高血糖だけではなく低血糖も起きやすくなったり、低血糖状態が長引きやすくなることがあります。

 

 

膵臓
 胃の裏側にある臓器で、消化酵素である膵液を分泌するほか、血糖値を上げるグルカゴンや血糖値を下げるインスリンを分泌します。グルカゴンは膵臓内のランゲルハンス島にあるα細胞で、インスリンはβ細胞で作られています。糖尿病の原因の一つは、β細胞の機低下によって、インスリン分泌が減少することです。

膵島 ランゲルハンス島

睡眠障害
 眠れない、目覚めが早い、熟睡感を得られないといった不眠症や、睡眠時無呼吸症候群などのこと。睡眠時無呼吸症候群と肥満の関連はよく知られていますが、近年、糖尿病や高血圧の患者さんは不眠症になりやすく、不眠症のために血糖値や血圧が高くなることがわかり、注目されています。

ステロイド薬
 腎臓の副腎皮質から分泌されているステロイドホルモンを人工的に合成した薬。炎症や免疫力を抑える作用があり、アレルギーや関節リウマチ、血管炎などさまざま病気の治療、あるいは臓器移植後の拒絶反応の抑制などに使われます。近年、糖尿病黄斑症の治療にも眼球内注射薬として用いられるようになりました。なお、ステロイド薬は効果が強い反面、副作用の頻度も高いことが知られていて、内服や点滴などで全身投与した場合、血糖値が上昇することがあります。ステロイド薬の副作用による糖尿病をステロイド糖尿病といい、二次性糖尿病の一種です。

スモールデンス低比重リポ蛋白
 動脈硬化を促すため“悪玉”と呼ばれる低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの中でも、サイズが小さく酸化されやすいリポ蛋白のこと。動脈硬化を促す作用が非常に強いため“超悪玉”と呼ばれています。糖尿病に伴いやすい高中性脂肪血症ではこのスモールデンス低比重リポ蛋白が増えます。

スルホニル尿素(SU)薬
 経口血糖降下薬の一種。膵臓のβ細胞に働きかけて、インスリンの分泌を促し、血糖値を下げます。インスリン分泌力が残されている2型糖尿病の人に処方されます。なお、インスリンが分泌されることで太りやすくなるので、食事療法や運動療法の徹底が大切です。

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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