糖尿病の用語辞典


網膜
 眼球の奥に広がっている薄い膜状の組織で、瞳孔から眼球に入った光を感じとる部分です。カメラのフィルムに相当します。

 視覚障害の原因
〔厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克
 服研究事業「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に
 関する調査研究 平成24年度報告書」より〕
網膜症
 糖尿病の三大合併症の一つ。網膜は、細い血管が張り巡らされていて、高血糖による細小血管障害の影響を受けやすい組織です。細小血管障害によって網膜に虚血部分(血液が行き届いていない部分)ができると、そこから血管内皮増殖因子(VEGF)が放出され、正常では存在しない新生血管が網膜や硝子体に現れてきます。新生血管はもろいので、出血を起こしたりしてさまざまな悪影響を及ぼし、視覚障害を起こします。糖尿病性網膜症は成人の視覚障害の主要な原因の一つです。

網膜症の病期
 糖尿病性網膜症の病期の分類法は何種類かありますが、最もよく用いられているのは、単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の三つに分ける分類方法です。単純網膜症は異常が網膜に限局している段階、増殖網膜症は新生血管が発生しそれが網膜や硝子体〈しょうしたい〉に増殖した段階です。増殖前網膜症はこれらの中間です。単純網膜症は血糖コントロールを厳格に行うことで改善します。

網膜剥離
 網網膜に亀裂が入って剥がれたり、破れたりすること。剥離部分は光を感知できないので、そこに相当する視野が障害されます。網膜剥離にはいくつかの発生パターンがありますが、糖尿病では牽引性網膜剥離というタイプがよく起こります。これは、網膜症で発生した新生血管が硝子体〈しょうしたい〉に伸びてきて、硝子体に線維様造ができ、その収縮を介して網膜が引っ張られた結果、起きるものです。網膜剥離は発生後できるだけ早く治療することが後を左右します。

MODY 原因遺伝子異常が解明された糖尿病

[監修] 後藤 由夫 先生 (東北大学名誉教授)

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

Copyright ©1996-2024 soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
治療や療養についてかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。

このページの
TOPへ ▲