日本糖尿病・妊娠学会

編集:日本糖尿病・妊娠学会
インターネット委員会  
編集委員会

Q3. お産のときにも合併症が起きるのですか?
2007年11月
 お産のときには、お母さん(母体)の血糖を定期的に測定し正常範囲に維持することと、胎児心拍数モニタリングで赤ちゃん(胎児)の健康状態を連続して確認することが重要です。
 経腟分娩中に最も高頻度に起きる異常は、胎児心拍数モニタリングの異常です。我々が行なった検討で、帝王切開の適応となる異常パターンの出現頻度を見ると、リスクの少ない一般妊婦さんでは約8%ですが糖尿病を持つ妊婦さんの場合には15〜20%に増加します。経腟分娩中であっても常に帝王切開に移行できる準備を整えておく必要があります。
 糖尿病を持つ妊婦さんでは、赤ちゃん(胎児)の推定体重が正常範囲であっても、頭に比べて肩幅が大きく、児頭の娩出後に肩が引っかかって娩出困難となる場合もあります。
 このような肩甲難産の頻度は低いものの、熟練した産科医の対処が不可欠であり、また赤ちゃんの娩出には母体に麻酔をかける必要が生じます。赤ちゃんも仮死状態で生まれる危険性があり、蘇生のための新生児専門医が必要となります。
 肩甲難産の正確な予測は困難なため、在胎週数あたりの標準体重に比して大きな胎児の場合には、肩甲難産の危険性を念頭に置いた管理が必要となります。
 帝王切開を視野にいれつつ禁食で経腟分娩を試みる場合には、十分な補液量と糖分の補充、血糖を正常に保つためのインスリン投与が必要です。糖分が不足するとお母さん(母体)はケトーシスに傾き、過剰で血糖が上昇すると赤ちゃん(出生児)がアシドーシスに傾くことが知られています。
(宮崎大学 鮫島 浩)

©2007 日本糖尿病・妊娠学会 色ケイ線
        日本イーライリリー
色ケイ線
2007 All copylight by The Japanese Society of Dibetes and Pregnancy
このページへのお問い合せ、ご意見はjsdp@mhlab.jpまでお寄せください。