わたしの糖尿病奮戦記

とうゆうニュース第79号(平成14年7月1日発行)より

目 次

信頼できる先生が一番の薬

神奈川県 的場内科クリニック mirai 藤田 美香 

「失明していいの?」 これが妊娠したときに受診した産婦人科での言葉でした。主治医が開業し転院していたので、今までの大学病院ではなく、近くの病院の産婦人科に紹介状を持って受診しました。
 私は24歳のとき1型糖尿病になり、30歳で結婚、31歳で妊娠しました。以前から主治医に子どもをつくってもよいと言われていたので、まさか「おろすことを考えておくように」と言われるとは思ってもみませんでした。なぜ産むための協力をしてくれないのだろうと悔し涙が出ました。
 その後、主治医と相談し、以前通院していた大学病院に受診することにしました。「おめでとうございます。予定日は2月11日です」と言われたとき、前医との対応の差に驚きました。初めて産婦人科で「おめでとう」と言ってもらえた喜び! 「主治医が大丈夫と言っているのだから問題ありませんよ」と言ってもらったときの心強さがそれからの支えになりました。そのとき、HbA1cは7.7%。
 その後ホルモンの変化からか、子どもを守りたい意志からか、HbA1cは良くなり妊娠22週目には5.2%になっていました。妊娠前と変わったことは低血糖の自覚症状が鈍くなったことです。その反動で高血糖になってしまうので、血糖測定は頻繁にしていました。低血糖・高血糖のたびに「おなかの赤ちゃんは苦しくなかったか」と心配しました。
 インスリン注射は朝・昼・夕にペンフィルR。寝る前にペンフィルNを打っていましたが、朝食前にもペンフィルNを打つようにしました。私は朝に血糖が高くなるタイプだったので、夜中に目が覚めたときには血糖を測定し、朝高くなりそうな予感がしたときには追加打ちをしていました。
 妊娠中毒症になることなく、予定日の3日前に女の子を出産しました。妊娠中の体重増加は8でした。産後、予期せぬ低血糖に悩まされましたが、これも血糖を頻繁に測定することで乗り切りました。
 出産した病院では通院中から普通の妊婦として接してくれたことが精神的に助けられました(月に1度の栄養指導はありましたが)。最初に受診した病院にあのまま通院していたらストレスからどうなっていたか……。
 今、娘は1歳になりました。私の母乳は甘いかもと心配したこともありましたが、母乳で育ててきました。身長・体重も平均で風邪もあまりひかず丈夫に育っています。気の緩みからか、最近は体重・HbA1cと上昇気味になってきましたが、娘の子どもを元気で抱くのを目標にがんばりたいと思います。
★主治医から一言★
 藤田さんは発病時2型糖尿病と診断されていましたが、実際は1型糖尿病でした。結婚し、妊娠。妊娠時HbA1cが7.7%で心配しましたが、すぐ6%台になり、やがては5%台へ。3718gの女の子を無事出産しました。出産後HbA1cが上昇してきていますが、安心したのでしょうか? 頑張りやさんですから克服してくれるでしょう(子育ても大変ですが)。

(的場内科クリニック 的場 清和


減量に取り組んで1年半

千葉県 八千代糖友会 白川アキイ 

 八千代糖友会では指導医院であるセントマーガレット病院の協力を得て会独自の糖尿病教室を年2回(7月・2月)開催しています。この教室では先生の話や栄養科の管理栄養士の方々を交えて合併症の予防を中心とした知識や合併症の病態に応じた食事療法、運動療法などの勉強をしています。
 主治医から減量するように言われていた私はなかなか減量できず、平成12年7月の糖尿病教室で栄養士の方々と話をしているうちに減量に取り組む決意をしました。私の標準体重は52.5kgですが当時の体重は64kg(標準体重の+22%)もありました。栄養科長さんが減量メニューの作成と結果のフォローのため管理栄養士の一人を選任してくださり、月1回の栄養指導を受けることでスタートしました。
 先生と栄養科長の減量方針は、これまで食事療法と運動療法そして薬物療法(インスリン)で血糖コントロールをしていた私に対して、長い時間をかけて減量することでした。「継続は力なり」と、これについて行く覚悟と努力が求められました。
 スタートから半年後まで体重は順調に減少し続けて60kgまでにおち、その後の半年間は足踏み状態となりました。そこで、これまでに記録してあった食事内容のチェックを行って摂取カロリーを低めに見直し、生ずるであろう空腹感を克服するため栄養指導で提案された食事メニューに加えて自分からも低カロリーの料理やノンカロリーのオヤツなどを工夫して提案し栄養相談のかたちで進めてみました。
 また、運動療法についてはウォーキングの回数と1回の運動量を増やし、朝食後・昼食後・夕食後の3回に分け、開始時間はいろいろ言われているなかから試行錯誤で決めました。幸い住まいの近所に花見川と花鳥公園があり、四季の変化を楽しみながらのウォーキングです。
 その効果は1ヵ月後に現れ、再び体重は減少し始め、その半年後、減量に取り組んで1年半、体重は57kg(標準体重の+9%)になりました。先生からは、この調子で努力すれば食事療法と運動療法だけで血糖コントロールができるようになるだろうと励まされ、標準体重52.5kgに向かって、さらなる努力を自信を持って続け頑張っていきたいと思っています。
 先生を始め栄養科の科長さん、そして栄養相談をしてくださっている管理栄養士さんに感謝申し上げるとともに、これからの指導もよろしくお願い申し上げる次第です。
★主治医からの一言★
 白川さんは64kgから1年半をかけて57kgまで減量に成功されました。インスリン療法中であり、過度の減量の危険性には気を配り、減塩を中心に来院時の血糖結果をフィードバックしながらの減量戦略が効奏したと思います。患者さんの生活様式全体を把握し無理のないところから改善を進めることの大切さを感じています。

(セントマーガレット病院 糖尿外来 多田 紀夫


闘病奮戦記

群馬県 しののめ会 千明 周二

 お題目はたいへん固い言葉ですが、私はいまでは闘病という言葉から離れて糖尿病と向き合い、食事のこと自己注射、自己血糖測定等、あらゆる面で生活の一環として取り組み、抵抗なく毎日を過ごしています。朝は洗顔の延長とし、昼夜は手洗いの延長として考えれば少しの時間を費すだけで注射も血糖測定もできます。
 注射は朝はペンフイルN8単位、昼食時はR3単位、夕食前はN6単位、医師の指示通りに注射し、血糖測定は朝、昼、夜、就寝前の4回実施し、経過に注意しています。外出時にも必ず注射器と血糖測定器は持参し、いつでも使えるようにし、会議や研修会等、また旅行中のバスの中でも、周囲の人にお断りして行います。
 最近では、健常者の方も糖尿病患者はインスリンを注射するということについて理解していますので、抵抗なく実行できます。最初のころはたいへん抵抗を感じ、旅行を中止したり、昼食をはさむ会議を欠席したこともありました。私が注射を始めて14年になりますが、世間からも理解されるようになり心強く思っております。
 私が糖尿病を発症したのは約26年ほど前でした。しかし、糖尿病と診断されたのはその後1年ほど経過してからでした。入院治療するようにと病院から告げられ、その日に入院し、約3ヵ月の入院治療を受けて、退院時には経口薬ダオニール2分の1粒の服用を処方され、その後、通院を続けて治療いたしておりました。しかし、一度検査通院を休んだのを機に通院を止めてしまい、その後約10年経過したころ病状が悪化したことが自分でも分かるほどになり、再度入院いたしました。
 その後は入院中も忠実に努力し、治療に専念し、約3ヵ月の後退院することができました。
 入院時、医師から即注射を言い渡されましたが、驚くことなく素直に受け止めることができました。それもすでに病気が進行していることを医師から告げられ、また自分でも自覚症状もひどく、合併症が発症しないのが不思議と医師から告げられ、唖然とする思いでした。退院時に朝食前注射はN10単位、夕食前6単位でしたが、自己血糖測定の結果、昼食後の血糖値が高い値を示していたので医師にお話ししたところ、朝をN8単位、昼食時にR3単位、夕をN6単位との指示を受け、その後数年間、ほとんど体調にも変化もなく、合併症の発症もなく、現在では通常の生活を送ることができています。
★主治医から一言★
 長年の糖尿病歴にもかかわらず、インスリン注射による血糖安定化を頑張っていただき、合併症の進展もなく、高脂血症など他の生活習慣病もコントロールできています。ゴルフなどの運動時にはインスリン量を適宜調整し、血糖の維持を良好に行えています。今後も血糖自己測定による血糖管理を続けて血糖コントロールを行ってください。

(利根中央病院 水間 春夫


信頼なくして正しい療養なし

埼玉県 あけぼの会 高橋 一

 私の欠点の一つに、「ストレスを溜め込む」というのがあります。今までは、日々の活動や、好きな本を読むことで気持ちを切り換え、何とか乗り越えることができていました。
 乗り越えると言っても一時しのぎなので、すべてがよい方向に向くわけはなく、仕事など、何としてもしなければならないことだけこなす、という状態です。
 で、どうなるかというと、私の机のまわりには整理しなければならない書類や手紙などが次第に貯まり、次第に、部屋の中まで浸食していきます。当然の結果として妻や家族からは、「早く片付けて」と催促され、仕方ないので「とりあえず」といって机の周りに積んでいきます。
 こうして、ストレスだけでなくその他諸々も一緒に溜まっていくという悪循環です。こういう私の性格も療養にはマイナスだと気づいてはいますが、どうにもなりません、今のところ…。
 今、私のコントロール状態は、ベイスン0.3を1日3回、ダオニール1.25mgを朝2錠と夕食後1錠に増やして7.8%のHbA1c値を下げていこうと主治医の井合先生と話し合っています。
 最近、気づいたことがあります。ストレスや、その他溜まってしまったものは自分の中だけで処理するには当然のごとく限界がある、何らかの方法で減らしてやらないと、いかにノー天気の自分でもどうにかなってしまうということです、当たり前のことですが。
 では、どうすればよいのでしょう。
 私たち、糖尿病の患者は、定期検診でお世話になる主治医の先生の協力が欠かせません。主治医とどう向き合えるかが療養の決め手の一つです。
 今回、自分のカだけではどうにもならないストレスの原因を先生に告白しました。話したからといって解決するわけではありませんが、療養するうえではとてもプラスになっています。それは、自分でコントロールできない部分を、薬やその他の処方で補ってもらえるからです。そうでないと、これからも背負い続けねばならない問題を少しでも軽くする手立てが見つかりません。
 私のコントロールは今後もどうなるか予断のできない状態が続いていくかもしれませんが、今のような主治医との信頼関係があるかぎり、どうにか頑張っていけるのでは、と感じています。
★主治医から一言★
 何事も頼まれるといやとはいえずに引き受けて、またしっかりやり上げてしまう高橋さん、健康診断で糖尿病がみつかって教育入院してからずっと母上といっしょの通院です。はじめはよかったコントロールも、最近は乱れがち。薬の量も増えてきました。このへんでしっかり下げましょう。健康は人生の目的ではないけれど、大切な要素ですから。

(さいわい診療所 井合 文子


一病息災 すべてに感謝

新潟県 中央とうゆう会 平澤 正雄

 私は、昭和42年4月、職場での成人病検査で糖尿病かと診断されて、はや30有余年。現在80歳です。
 このときの血液検査では、多少血糖値が高いので病院での再検査を指示され、早速、検査を受けました。結果は、職場の検査とほぼ同様で、ごく普通の生活でよいという通告でした。当時のことで一つ言えることは、時折飲む酒が妙に旨く、焼石に水と感じた時期が暫く続いたことです。以後2年を経過して再び職場での検査があり、今考えると一番悪いときでした。結果は、当初の数値よりはるかに上昇しているという理由で検査入院を勧められました。
 入院となると、職場内の仕事の調整をしなければならず、大変でした。
 熱があるわけでもなく、体が動かぬわけでもなく、入院と言ってもだれにも本気にされず、懸命に説明したところ、皆さんによく理解していただき、入院が実現、大感謝でした。入院後は、糖尿病について種々な合併症の怖さ、対処方法等を学び、これから先が大変怖く、注意を怠ることのないよう心しての行動でした。
 食事療法については、生活の基本であるだけに厳しく守らねばと思うが、思うようにいかず、他力本願ではあるが、栄養士の長男の嫁さんに食品交換表の使い方、見方等を教えてもらう猛特訓でした。併せて食事内容を記録しました。入院の日数が経つにつれ、指示事項によると、運動、食事、薬物の三つの療法を使わなければならなくなり、摂取カロリー2000kcal、薬物療法で経口剤(ダイアビニース)1日1回と決まり、3週間での退院となりました。
 それ以後、指示カロリーを忠実に守ることを肝に命じてきました。時が経つにつれ、特に食事療法が手ぬかりになり、月1回の通院はしているものの、血糖のコントロールが乱れ、このまま経口剤を継続というわけにはいかず、インスリン注射に切り換えました。当時は、今日のような方法でなく、そのつど、ガラスの注射器や針の煮沸消毒で大変でした。さらに注射の結果が安定せず、決まった時間に低血糖が起こり、常に砂糖を携帯しての待機が続き、元の経口剤に改めたものの長続きしませんでした。
 そんなとき、昭和62年、八幡先生に出会い、詳しく説明を聞き、私に合うインスリンを見い出していただき、現在ペンフェルN300を朝16単位、夕4単位をうち、HbA1cも6%台とコントロールは安定しています。この間、家族の絶大な協力、特に妻との歩け歩けの強力な励行に感謝しています。
★主治医がら一言★
 平澤さんは病歴30年の大ベテラン。当時のインスリンは発赤や腫脹のアレルギーで大変だったそう。経口剤でもコントロールできず紹介入院となり、ようやく本人に合ったインスリン治療を導入できました。その後、友の会を一緒にたちあげることができ、大変感謝しています。よいコントロールを続け、来年は名誉会員をお祝いしましょう。

(長岡中央総合病院 八幡 和明


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