トップページ - 糖尿病臨床現場で行う“ロカボ”のすすめ - 5. 食を楽しみながら健康になろう〜社会全体で支える健康づくり
特別インタビュー
糖尿病臨床現場で行う“ロカボ”のすすめ

北里大学北里研究所病院 糖尿病センター長
山田 悟 先生

5. 食を楽しみながら健康になろう
〜社会全体で支える健康づくり

(2017年03月 公開)

糖質制限は一般生活者のダイエット方法としても注目されています。流行りのダイエットといえば、小麦粉を使わないグルテンフリーなども流行しているようですね。

Dr. 山田:グルテンフリーはもともと、グルテンアレルギーをもつセリアック病患者向けの治療の1つだったんです。恐らくプロテニスプレーヤーのジョコビッチがセリアック病の気があって、グルテンフリーにしたら体調がよくなったというストーリーから、グルテンフリーにすると身体にいいらしいという話になり、欧米の場合、小麦粉をやめたら糖質制限もできるのでそのまま減量になった。そしてグルテンフリーはダイエットだという話になって日本に上陸した。でも日本はもともとお米が主食なので、グルテンフリーにするだけじゃあまり変わらなかった。

お米自体を糖質制限米のような形に変えることはできないんですか。近年、低GIが特徴の高アミロース米なども開発されているようですが。

Dr. 山田:食べても血糖値が上がりにくい、そして美味しいというようなお米の開発も大切ですよね。そういうことを考えてくださっているメーカーさんも現れていて、改良を重ねているようです。やっぱり諦めるんじゃなくて、いかに工夫して食べるかが大切ですよね。

先生がすごいのは、理解者を増やすだけでなく、商品化を促し、市場開拓を行っているところです。多くの人が低糖質にふれられるチャンスを作っておられる。皆が手軽に、健康づくりができるインフラ作りですね。

Dr. 山田:レストランから始まり、食品メーカーさんと商品開発を検討し、その商品がコンビニやスーパーさんの流通で広がり、ノウハウの応用が社食にも広がっています。朝コンビニでちょっと買って食べて、昼は社食、夜はレストランで、、となっても外で全部何とかなる世界です。

糖尿病は治療中断する人や、病院へ行きにくいという人も多くいて問題になっています。それでも、ふだんの生活の中で選択肢さえあれば、それなりにやっていけるようにしていきたいのです。

糖尿病の療養生活は病院ではなく、患者さん個々の実生活が舞台になるわけですし、簡便に商品やサービスを活用することができれば、成功率が上がりますね。最近は便利なIT技術も出てきましたし。

Dr. 山田:そうですね、それでも糖尿病の世界では、Face to Faceが大事だと思っています。いくら医療技術が発達しても、表情とか声色、目線のポジションなどから読み取れる情報があります。診療現場はそこがとても大事。

糖尿病患者さんは、基本的に頑張っている人が多いはずなんです。医者にかかろうとするだけでも、努力をしているわけです。例えば、患者さんには2パターンいます。いろいろと我慢して辛いと思っていても、HbA1cが下がることを喜びにしてがんばれている人と、食生活を楽しみながら療養生活を送れている人(もう1つ食事に対して何もやっていない人というのもありますが)。

うまくいっている人はその2パターン。そして、HbA1cが下がって喜んではいるけど、実は食生活を楽しめていないという人は、どこかでリバウンドする確率が高いんですね。そういう人には何で辛いのかを聞き出し、そこに解決策を早く打つ必要があります。食べたいものとかないですか?何かお悩みはないですか?と質問をしたとき、表情が曇ったりしないか、変化を見逃さないようにしてあげてください。将来的に遠隔医療とか、アプリで管理するとか、いろいろなIT技術が出てくるかもしれませんが、診療が大事なのはそういうところなのです。

食事指導についても、コミュニケーションがキーワードになっていましたが、“ロカボ”は社会を変え、糖尿病の療養指導を大きく変えるきっかけになる力を感じました。 山田先生、ありがとうございました。

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