インスリンポンプ情報ファイル
インスリンポンプ療法体験談 体験者の声 PART2
血糖値にふり回されない生活
投稿者:K さん
主治医:大倉 毅 先生(鳥取大学医学部付属病院学部内講師)
作品テーマ
SAP・CSIIと私
Kさんのプロフィール
年 齢
38歳
性 別
女性
職 業
介護士
病 態
1型糖尿病
糖尿病歴
10年
CSII療法歴
6年
使用製品
ミニメド 620G

 私は平成17年に1型糖尿病を発症した、現在38才の介護職員です。

 発病した当時は、1日4回のインスリン注射を行っていましたが、周りからは注射を射つ姿を見て、怖いと言われたり、介護の仕事をしたいと思い面接を受けた時には、介護する側の人が介護されるような体では困ると断られたりもしました。実際、日中の低血糖も多く、病気だからと諦める気持ちもありました。

 それでも、普通の人と同じような生活がしたい、自分のやりたい仕事がしたい、と思い発症5年目、主治医にも勧められていたインスリンポンプを使用する事にしました。

 ポンプにしてからは、周りを気にして隠れて注射をしなくてもいいし、ボタンを押すだけで注入出来るので、周りから見ればスマホの操作をしているのと変わりない気がします。ベースのインスリン量も細かく設定出来、一時停止する事も出来るので、日中の低血糖が大分改善されました。

 それでも、やはり自己管理する為には血糖自己測定が必要です。忙しいと、なかなか測定する事が出来ず、高血糖状態で、HbA1cが下げられない状況が続いていました。そんな時、今か今かと待ち望んでいた、CGM機能を搭載したポンプに、やっと切り替えることが出来ました。

 現在、まだ1カ月程の使用期間ですが、常にグルコース値が表示されるので、より細かな血糖管理が出来るようになり、とても感動しています。食事内容や運動量の違いによる、血糖値の変動を知る事で、これからの血糖管理に、随分役立っていくと思います。特に夜中の低血糖時のアラームには、本当に助かっています。CGM機能を搭載したポンプを使用する事により、血糖値に振り回されない生活が戻ってきて本当に良かったと思っています。

主治医より
大倉 毅 先生
鳥取大学医学部付属病院学部内講師

 患者さんの体験談を読むと良くわかりますが、どうしても1型糖尿病の患者さんは血糖値に振り回される、もっと言うと血糖値に支配された生活になってしまいがちだと思います。

 私は糖尿病ではありませんが、1型糖尿病の患者さんが出産前で入院されている時などには毎日同じような食事をしていても血糖値が非常に上下してしまい、出産に必要な厳格コントロールを達成するためには四六時中血糖の事を気にしていないといけません。二人分の命を預かっているので、糖尿病の専門医としてはひと時も気が抜けない状況になりますが、これが1型糖尿病の疑似体験かと思っています。

 これが自分の体でずっと続くと考えるととても大変だと思います。ある程度細かい事は気にしない事も必要かと思いますが、あまり適当にコントロールしていると後々合併症が出てきてしまいます。特に血糖値というのは測らないとわかりませんし、人間は見えない物に対して恐怖を持ちやすいと思います。さっき食べたけど、今の血糖値は高いのだろうか、今日の夜は低血糖にならないのだろうか、と気にしながら生活していくのはストレスかと思います。

 リアルタイムCGMになると、ずっと血糖値が表示されるストレスはあるかと思いますが、血糖を見ながら高い、低いに対して対応すれば良くなりますので、生活の一部として付き合っていきやすいと思います。

 SAPはとても良い機械だと思いますが、あまりにも医療費が高すぎるのが最大の問題点かと思います。毎月3万円も医療費に支払うのはとても大変だと思います。私たち医療者は国の決めた値段でやっていくしかありませんので、すぐに安くするのは難しいとは思いますが、全額免除ではないにしても1割負担などの特定疾患にできないか、などの運動ができないかと思っています。糖尿病ネットワークなどのコミュニティーを使って、このような運動をしていただけると嬉しいです。

医療機関 データ
鳥取大学医学部付属病院
CSII導入患者数(年間)
6名
CSII療法導入歴
8年
どのような患者さんに導入を勧めますか? 選択のポイントを教えてください

■CSII:
持効型インスリンでは暁現象のコントロールができない場合。仕事などで日中に低血糖を起こしてしまう場合

■SAP:
血糖の変動が大きく、頻回の血糖測定が必要な場合

CSIIやSAPでメリットに感じていること、また、CSII導入手順等を教えてください

CSII療法はインスリン皮下注射法に比べて基礎インスリンの微調節が可能であり、特に暁現象の強い症例に有効と考えています。SAPについてはリアルタイムで血糖値の把握が可能であり、低血糖や高血糖の対応が非常に容易になっています

導入に際しての課題、悩みなど

SAPの有効性は間違いないものだと思いますが、最大の問題点は非常に高額になる事です。月々3万円の支払いは相当な負担になると思います。20歳以上では特定疾患になりませんが、患者会で署名などを集めて、1割負担などにできないか運動をしていきたいと思っています

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2015年07月 公開

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