インスリンポンプ情報ファイル
インスリンポンプ療法体験談 体験者の声 PART2
CSIIは自分の体の一部
投稿者:N.Oさん
主治医:野原 栄 先生(製鉄記念八幡病院糖尿病内科部長)
作品テーマ
やりたいことに挑戦できるようになった
N.Oさんのプロフィール
年 齢
63歳
性 別
男性
職 業
会社員
病 態
1型糖尿病
糖尿病歴
37年
CSII療法歴
23年
使用製品
パラダイムインスリンポンプ MMT-712

 私は1型糖尿病歴37年。26歳の時に発症し、現在63歳の男性患者です。現在、CSIIを使用して糖尿病治療を先生方に指導していただいております。

 発症当時26歳から40歳までは注射器を使っての治療を行ってきました。会社の勤務体系は常昼勤務ではなく、三交代という変則勤務。朝出5日、休日2日、昼出5日、休日1日、一番キライな夜出5日、休日2日の繰り返しで、血糖コントロールも思ったようにうまくいきませんでした。当時のHbA1cは8〜10%の間でした。

 41歳になった時に、主治医からCSIIを使っての治療を勧められ、現在に至っています。HbA1cは6.8〜7.6%の間を行ったり来たりしています。

 CSIIを使って22年、新旧タイプを比較しました。

注射を実施
  準 備 時 間 場 所 針の
素材
痛 み 入浴・シャワー 入浴後
旧タイプ なし 30秒 どこでも 金属製 あり 身体から針を抜きCSIIを外す また刺す
新タイプ なし 20秒 どこでも ナイロン樹脂 ほとんどなし クイックセットを身体から外してキャップをつける キャップを外し、クイックセットを付ける

 CSIIにしてからは、注射をする前の準備、時間、場所等、ほとんど気にかけることはなくなりました。

 こんなことも経験しました。休日は大分県の別府へ車で遊びに行く途中、お腹がすいたのですが高速道路でハンドルから手を離せない。そこで助手席の妻がCSIIの操作方法を勉強していたのでインスリン量をセットしてもらい、自分で注入スイッチを押してサンドイッチを食べることができました。CSIIは自分の体の一部だと確信しています。

 最近、主治医からカーボカウントの勉強をするよう指示があり、やっています。詳しくは説明できませんが、コンビニやレストランの食事に炭水化物量が含まれている量がわかると、インスリン量も自分で決定できるというものです。カーボデータをスマートフォンにインストールすることで、炭水化物量がわかるのです。自分はまだ勉強中です。

 最後にCSIIと治療法が変わって、趣味、社会的、会社勤め、家庭生活等、健常者と同じタイミングで行動ができることが実感でき、幸せだなと感じています。私はCSIIを使った治療法を若い方へお勧めします。

主治医より
野原 栄 先生
製鉄記念八幡病院糖尿病内科部長

 N.O さんは、ポンプ歴23年のベテランさんです。ポンプ導入後は、HbA1c7%前半をキープしておられており、7.5%を越えたことは数えるほどしかありません。

 導入当初にみられた単純網膜症・微量アルブミン尿もほとんど進行せずに経過しています。それでいて低血糖による救急搬送もありません。これは素晴らしいことです。

 私が担当医になったのは、N.O さんが61歳の時。私がこれまでインスリンポンプを導入してきた患者さんはほとんどが50歳以下でしたので、60代でポンプを使いこなしている方がおられることに驚きました。

 N.O さんが現在使用のポンプに切り替えたのは58歳の時だったとのこと。英語のメニュー表示に若干戸惑いつつも、持ち前の好奇心とやる気により、2泊3日の入院で操作をマスターしたそうです。こまめな血糖測定でベーサルの微調整を自ら行い、良好なコントロールを維持しておられます。受診時にも質門を積極的に投げかけ非常に熱心な方であり、主治医としても「もっと勉強してK. Nさんの熱意に応えたい」と心地よい緊張感をもって診療にあたらせていただいています。

 N.O さんはこの春、皆に請われる形で患者会の会長に就任されました。就任スピーチの歳、趣味のバンド活動のことを目を輝かせて語り、1型糖尿病があってもいろいろなことに挑戦できると力強く語る姿が印象的でした。

 SAPに大いに関心を示され、すでに導入した方から情報を集めたりしているとのことです。60歳を過ぎて新しい治療法に取り組むのには勇気がいるものですが、N.O さんならきっとできると確信しています。

導入医師データ
野原 栄 先生
製鉄記念八幡病院糖尿病内科部長
CSII導入患者数(年間)
1名
CSII療法導入歴
6年
どのような患者さんに導入を勧めますか? 選択のポイントを教えてください

■CSII:
暁現象のため早朝高血糖の是正が困難な患者。1型糖尿病合併症妊娠。血糖測定を頻回に行い、血糖コントロールへの意欲が高い患者。

■SAP:
無自覚性低血糖。生活が不規則で従来のCSIIで血糖コントロール困難な患者。経済的に余裕のある方。

CSIIやSAPでメリットに感じていること、また、CSII導入手順等を教えてください
 運動やシックデイなどのインスリン需要が変化する場面でインスリンレートを自由に調節できることがメリットです。導入は10日前後の入院で行っています。DVDを提供し、入院前に予習していただいています。
導入に際しての課題、悩みなど
 適応症例は多いが高額な医療費が導入のネックになっています。SAPはレポートの説明、フィードバックに時間がかかるため、医師だけで対応することが困難です。自己負担が高額だからこそ、多職種(外来看護師・栄養士・薬剤師)で協力して、患者さんに満足してもらえるような指導体制を構築していかなければならないと考えています。
ホームページURL
製鉄記念八幡病院糖尿病内科 ▶

2015年08月 公開

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