糖尿病Q&A1000

Q.972 テレビで知ったんですが、膵とう(?)移植のことを言っていたのですが、それは誰でもできる移植なのでしょうか? 何か条件とかあるのですか?(13歳、女子)

 インスリンを作るのは膵臓の中でも膵島(ランゲルハンス島)というところです。糖尿病の患者さんに対する移植治療としては、従来、主に脳死の患者さんから摘出した膵臓全部をまるごと移植する方法がとられてきましたが、その場合、大掛かりな手術になり体の負担が大きいこと、移植後に拒絶反応が強く出やすいといった問題があります。そこでインスリンを作り出す膵島だけを移植する方法の研究が進められてきて、近年、実際に治療に用いられるようになりました。点滴のような感じて移植でき、体の負担がごく少ない方法です。移植後の拒絶反応を抑える免疫抑制薬も少量で済みます。インスリン療法が不要になるまでの自己分泌が得られるようになるには、何回か繰り返し移植する必要があるという課題はありますが、技術的な進歩は早く、課題は徐々に改善されてきています。
「誰にでもできるかどうか」についてですが、まず糖尿病の治療状態を考える必要があるでしょう。確かに移植によって糖尿病が完治する可能性は魅力的ですが、やはり新しい治療法なので想定外の問題が起こる可能性がゼロではないということがあります。インスリン療法による糖尿病治療はもう十分に確立された治療と言えますので、現在行っている治療で血糖値をコントロールできているのであれば、その治療を継続することが、現段階では優先すべき方法だと思います。その他、糖尿病以外に移植治療の妨げになるような病気がないこと、年齢など、いくつか条件があります。
2006年05月24日

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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13 読者の質問コーナー [Q.956-1000]のQ&A

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