災害に備えて トップページへ メールマガジン無料登録
【東日本大震災3】 避難生活の注意点を公開
2011年04月更新
 東日本大震災は未曾有の大災害となり、被災地でさまざまな健康被害が発生している。今後、避難所での生活が長期に及ぶ可能性もあり、その際にもさまざまな健康への影響が懸念される。糖尿病患者にとってとりわけ健康を守るための対策が重要となっている。
避難生活で注意すべきポイント
 3月15日、厚生労働省は避難生活で注意すべきポイントをまとめ、ホームページ上で一般向けに公表した。

生活・身の回り
  1. 寒さへの対策
     できるだけ、暖房を確保するほか、毛布を確保したり、重ね着するなどして、 暖かく過ごせるようにしましょう。寒い中、外にでる場合は短時間にするなどします。また、乳児や高齢者は特に寒さに弱いので、周囲の配慮が必要です。

  2. 水分について
    (1)水分の確保
    • 様々なストレスや、トイレが整備されないことが原因で、水分をとる量が減りがちです。また、寒冷と乾燥は脱水状態になりやすくします。特に高齢者は脱水に気付きにくく、こうした影響を受けやすいので、しっかりと水分をとるようにしましょう

    (2)飲料水の衛生

    • 飲用にはペットボトル入りミネラルウォーターまたは煮沸水を使用し、生水の使用は避けましょう。
    • 給水車による汲み置きの水は、できるだけ当日給水のものを使用しましょう。
    • 井戸水をやむを得ず使用する時は、煮沸等殺菌することに気をつけましょう。

  3. 食事について
    (1)栄養をとる
    • できるだけ、いろいろな食物を食べるようにしましょう。寒いときにはより多くのカロリーが必要です。

    (2)食品の衛生

    • 食事の前には、流水が使えるときは、手洗いを励行しましょう。
    • 食料は、冷暗所での保管を心がける等、適切な温度管理を行いましょう。
    • 加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱しましょう。
    • 調理器具等は使用後にできるだけ洗浄しましょう。
    • 下痢や嘔吐等の症状がある方は、食品を取り扱う作業をしないようにしましょう。

  4. トイレの衛生
    • 使用後は、流水が利用できるときは手指を流水・石けんで洗い、消毒を励行しましょう。
    • トイレは、定期的に清掃、消毒を行いましょう。

  5. 生活環境
    (1)室内の環境
    • 定期的に清掃を行うことに心がけましょう。
    • 病気の方、ご高齢の方に配慮しつつ、寒冷に十分に配慮して換気をしましょう。また、分煙にしましょう。
    • 避難生活が長期に及ぶと、布団にダニが繁殖し広がりやすいので、定期的な清掃のほか、できれば、布団・毛布等の日干しを行うことが望ましいです。
    (2)屋外の環境
    • 避難所のゴミは定期的に収集して、避難所外の閉鎖された場所において管理しましょう。
    (3)その他
    • こころのケアのためにも、できるだけプライバシーを確保できる空間や仕切りなどを確保しましょう。

病気の予防
  1. 感染症の流行を防ぐ
     避難所での集団生活では、感染症が流行しやすくなります。避難所の生活者や支援者は、こまめに手洗いを励行するよう心がけてください。
     発熱・せきなどの症状がある方は、避難所内に風邪・インフルエンザを流行させないために、軽い症状であっても、マスクを着用しましょう。
     下痢の症状がある方は、脱水にならないよう水分補給を心がけましょう。また、周囲に感染を広げないように、手洗いを励行してください。
     これらの症状がある方は、できるだけ速やかに医師の診察を受けてください。可能であれば、入院を含む避難所外での療養を検討しましょう。
     また、けがをした場合には、そこから破傷風に感染するおそれがあります。土などで汚れた傷を放置せず、医療機関で手当を受けるようにしてください。

  2. 一酸化炭素中毒の予防
     一酸化炭素中毒の恐れがあるので、屋内や車庫などの換気の良くない場所や、窓など空気取り入れ口の近くで、燃料を燃やす装置(発電機、木炭使用のキャンプストーブなど)を使用しないようにしましょう。
     一酸化炭素は無臭無色であり、低い濃度で死亡する危険があります。暖房を使用する場合には、換気に心がけましょう。

  3. 粉じんから身を守る
     家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒子となります。これら粉じん等を吸い込むと気道へダメージを与えます。
     有害な粉じんはとても細かいので、身を守るためには防じんマスクのような特殊なマスクが必要です。解体作業等は、装備を調えた上で行ってください。

  4. エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)に注意
     エコノミークラス症候群は、長時間足を動かさずに同じ姿勢でいて、足の深部にある静脈に血のかたまりができ、この一部が血流にのって肺に流れて肺の血管を閉塞(肺塞栓)してしまう病気です。
     糖尿病や、高血圧、脂質異常症のある人は特に注意が必要となります。
     予防するために、長時間同じ姿勢でいないようにして、「足や足の指をこまめに動かす」、「1時間に1度は、かかとの上下運動(20〜30回程度)をする」、「3〜5分程度歩く」とった運動をすると効果的です。
     また、「適度な水分をとり」、「ときどき深呼吸をする」といった対策も予防になります。

こころのケア
 今回の地震のように大変重いストレスにさらされると、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。これらの不安、心配の多くは時間の経過とともに回復することが知られています。
 不安や心配を和らげる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」行う方法もあります。実践してみましょう。
 しかし、「心配で、イライラする、怒りっぽくなる」、「眠れない」、「動悸、息切れで、苦しいと感じる」などのときは無理をせずに、まずは身近な人や、専門の相談員に相談してみましょう。
 またふだんからお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどして心のケアをすることが大切です。

被災地での健康を守るために(厚生労働省)

日本糖尿病協会が「避難生活Q&A」を公表
 日本糖尿病協会は3月17日、糖尿病患者の避難生活で注意すべきポイントをQ&A形式でまとめた「避難生活Q&A」を、ホームページ上で公表した。
 Q&Aでは、「SU剤を使用している患者は、食事量が半分なら薬も半量から1/3量に大雑把に調節」、「現場で軽作業をするときは、血糖降下薬を使用している人は低血糖に注意」「いつもの薬がないか足りない場合、高血糖になる可能性があるため、水分をできるだけ摂取」などとアドバイスしている。

SU剤、速効型インスリン分泌促進剤は用量に注意

 SU剤(オイグルコン、ダオニール、アマリール、グリミクロンなど)は1日中(24時間)、作用が持続するため、食事がとれない時は低血糖に注意する必要がでてくる。大雑把に「食事量が半分なら薬も半量から1/3量」と調節することを求めている。避難所では砂糖やブドウ糖がなく低血糖への対応が難しいことも考えられるため、「薬は若干少なめにしておいたほうがいい」とも推奨している。

 一方、αグルコシダーゼ阻害剤(ベイスン、グルコバイ、セイブルなど)、ビグアナイド剤(グリコラン、メデット、メルビン、ジベトス、ジベトンSなど)については、休薬しても急に病態が悪化する危険性は少ないので、「あせらないように」とアドバイスしている。

 チアゾリジン誘導体(アクトス)は、「太った人や食べすぎ傾向のある人に使われることが多い」ので、「食事の量を減らすことにより、それだけで血糖値が改善することが多い」としている。

被災下でもインスリン治療を継続する必要

 インスリン分泌が枯渇あるいは高度に低下している患者では、毎日のインスリン注射を継続することが生命を維持するために必要となる。インスリンを入手できなくなった患者のために、日本糖尿病協会は災害対策支援チームを設け、専用フリーダイアルを開設した。また、日本糖尿病協会災害対策支援チームフリーダイヤル、日本糖尿病学会東日本大震災対策本部は緊急の相談先となる医療機関を公開している。

 現場で軽作業をするときは、ふだんより食事量が少ないと低血糖が起こる危険性が高まる。血糖降下剤を使用している患者は低血糖に注意し、「食事量が足りなければ、いつもより血糖は下がるので、長く歩いたりハードな作業は避けて下さい」としている。また、「いつもの薬が無いか足りない人は、高血糖になる可能性があるので、水分をできるだけ摂って下さい」としている。

 また今回の震災では、食事を十分にとれていない、まとまった睡眠がとれない、肉体的・精神的なストレスにおかれている患者も多いと考えられ、血糖コントロールの悪化が懸念される。「血糖コントロールが悪化すると感染に弱くなる。小さな傷でも遠慮せず医療者に診てもらってほしい」と勧めている。

Copyright ©1996-2018 Soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。