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海外の糖尿病事情 4 [ 韓国 ]

2004年11月

DITN 2004年11月5日発行号掲載:「海外糖尿病事情」より

医療スタッフ向けの情報紙『DITN(DIABETES IN THE NEWS)』(発行所:メディカル・ジャーナル社)に連載された「海外糖尿病事情」よりご紹介します。
 ワールドカップサッカーの日韓共催、昨今の韓国ドラマブームで以前に比べ、非常に身近となりつつある韓国ですが、糖尿病事情については意外と情報が無いのが実情と思われます。

 入手可能な資料によれば、同国の1型糖尿病有病率は0.013%、成人糖尿病有病率は6.1%で、1型糖尿病有病率については、診断漏れが多いと問題視されている一部のアフリカ諸国を除けば、パプアニューギニアと並び世界一低い水準であるにもかかわらず、成人糖尿病有病率は近年上昇傾向にあると言われています。一人あたりの酒消費量が世界第3位とも言われており、事実、焼酎や地酒を大量に一気飲みしている光景をよく見かけました。

 同国の医療制度については、日本の制度を手本としているため、国民皆保、企業主体の健康保険組合の健康保険・国民健康保険など日本の保険制度とほぼ同じです。従って、余程の貧困層ではない限り、経済的に事情で糖尿病治療が困難と言う状態は無いといえます。

 糖尿病治療で一番気に掛かるものの一つ、インスリンについては、基本的には保険が効くものの、ペン型については保険が利かず全額自己負担になってしまうとのことです。

 日本の社会と一番大きな違いの一つに兵役制度があります。18歳以上の男性は、全員徴兵検査を受け、身長150cm以下の者、健康上の理由で兵役に就けない者を除き、逃れることはできません。女性は志願し、検査に合格すれば兵役に就けます。因みに、ほとんどの男性は、大学2年次を終えた時点で休学し、2〜3年兵役に就き、復学するため、大学を卒業するために通常8年かかります。

 インスリン注射をしている者が兵役に就けるかということについては、インスリン注射をしている者が一律に兵役に就けないということではなく、「集団生活を営むことが可能」ならば兵役に就けるのです。“運良く”兵役検査に合格できても、上官の命令には絶対服従を強いられる軍隊、そして、「たまに生じる北朝鮮との“小競り合い(小規模な軍事衝突)”において、兵役中の死も覚悟しなければならない」(兵役経験者談)状況下で、インスリンを注射しながら兵役を成し遂げることが非常に困難であることは、想像に堅くないところです。先日、多数のプロ野球の選手が兵役を逃れるために尿検査で腎臓病を患っているように偽装したとして、逮捕者も出るほどの大問題になりました。できれば兵役から逃れたいという本音がある一方、兵役に行っていない男性は一人前と看做されず、就職の面でも非常に不利な立場に立たされるという社会の暗黙の了解もあります。糖尿病を理由に兵役に就くことができなければ、やはり、社会的に不利な立場に立たされることは否めません。\\

 日本以上に集団主義的志向が強い韓国では、欧米諸国と比べると、日本と同様、患者は自らが糖尿病であることを公表することは稀といえるでしょう。ソ\\\\ウル大学の小児糖尿病教室のHPの内容からもそのことが伺えます。


©2004 森田繰織
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