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ケニア(1)ケニアの糖尿病事情

2011年06月

map_kenya.gif  日本人がイメージするケニアというとマサイ族が槍を持って、野生動物を追いかけているシーンや箱根駅伝で活躍する留学生、オリンピックで多くの長距離走メダリストを輩出しているイメージで、いずれにしても、細身で健康的な人たちというイメージだと思います。しかしながら、近年、ライフスタイルが変化し、糖尿病も2型を中心に増加しているという現実があります。

  

ケニアの総人口約4,200万人(首都ナイロビに人口は約300万人)のうち糖尿病人口は200万人いると推定され、総人口の5%に相当します。そのうち子供は約2万5,000人とされています。しかしながら、医療事情に地域差があり、また、国民皆保険でもなく、全国的な公的保険制度も未発達なことから、診断されていない糖尿病患者が多数いると推定されています。

 

 保険制度が未発達なためなのか、日本では処方箋が無いと入手できない薬も、薬の名前さえ分かれば、処方箋なしで、薬局で購入可能なのです。もちろん、インスリンも処方箋なしで、薬局に在庫さえあれば購入可能です。在庫がなくても取り寄せてもらうことも可能です。因みに私が使用しているインスリンについて薬局で尋ねてみたところ、在庫があるのは、ペン型注射器用のカートリッジのみで、ランタスは5本パックで70〜75米ドル、ノボラピッドは5本パックで50米ドル、ヒューマログは5本パックで50米ドル、注射針は100個で30米ドルでした。

 

 

ペン型注射器自体はケニヤッタ・ナショナル・ホスピタルでは無料で提供してくださるそうです。

 患者さんを紹介させていただくときに、詳しく述べますが、ケニア人の所謂、日雇い労働者の平均日当が1米ドル前後(100〜150円)、公立学校の教師の平均月収が100ル(1万円)、外国人家庭の運転手の平均月収が200ドル(2万円)という事情を考えるとインスリンは非常に高価なものと言えるでしょう。

 

  ケニアでは、日本のように皆保険ではないため、医療を受けるためには、自由診療の高額の民間医療機関や開業医・開業看護師のもとで受診するか、比較的安価で受診できる公的な医療機関で受診するしかありません。しかしながら、公的な医療機関は数が限られており、また受診希望者が多数いるため、正直なところ、質が良いとは言えない状況です。

 

 

 ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタルは、その数少ない公的な医療機関・総合病院の一つです。公的な病院とはいえ、60%が政府出資、40%が民間出資であるため、日本の感覚で言えば、半官半民と言ったところでしょうか。規模としては1,856床、従業者数6,000人です。糖尿病を担当している医師は6人で(うち2人が糖尿病専門医、4人は内分泌医)大人の外来は毎週金曜日の午前中、小児糖尿は毎週火曜日です。金曜日の午前中に毎回150人もの患者が来院するため、糖尿病患者の定期健診は年に2回が限度ということです。

 

 インスリンについては、上述の市価よりも割安で1本約700円(市価の約10%)で入手可能ですが、6ケ月に一度350円程「インスリン処方料」がかかり、病状に関係なくMixTard30のみの取り扱いとなります。

注射器は10本パックで約150円ですが、本来使い捨てなければいけない注射器を何回も使い回さなければいけない状況だそうです。

 

 

   

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ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタルには、10台の血液透析機があり、1台あたり約100万円相当しますが、商業銀行から寄贈されたそうです。現在、他の医療施設では顕在的な理由で透析を受けることに出来ない患者150人が無料で透析を受けていますが、実際には30人の患者が透析を必要としています。また、HIVや肝炎の感染の問題も抱えています。透析が必要な患者の多くは糖尿病も抱えています。腎臓移植もスペインの医療関係者の協力の下、行われていますが、その多くは生体移植で、身内から行われています。 

 

  話は、少々、糖尿病からは、横道に逸れますが、HIVについて、日本とは事情が異なることを知ったこととして、申し上げます。

日本では今ひとつ馴染みがないものと思われますが、ケニアでは全国紙レベルで日曜版に「彼氏・彼女の募集広告」が掲載されます。年齢に関係なく、結婚相手を求めるものから、性関係を中心に求めるものもあります。募集広告の中で、ほぼ全員が「条件」の中に「HIVに感染しています(「それを承知でお付き合いしてください」という意味が含まれています)」「HIVに感染していない証明を求めます」といったものがあります。HIVというものが、人々の生活の中に非常に身近なものであることが伺えると思います。


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