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アフリカ・ウガンダの糖尿病事情(1)

2015年01月

 今回は、青年海外協力隊員として、東アフリカにあるウガンダ共和国で糖尿病の医療活動に関わった、成田祐子さんにウガンダの糖尿病事情を含めた医療事情について、レポートしてもらいました。

 日本の自治体病院で14年勤務した後、2012年6月〜2014年8月末まで、青年海外協力隊(看護師)として、アフリカのウガンダ共和国、ムベンデ県地域中核病院にて勤務しました。

 「5S」(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ の頭文字をとったもので、この手法を医療現場で用いて、きれいな病院作りと環境向上を目指す)の導入による病院環境の向上、患者サービスへの提言、看護技術と医療機器の指導を中心に、病院だけにとどまらず、村落部での衛生活動や雨水タンク建設への支援も行いました。
 活動後半には、日本での糖尿病療養指導の経験も活かし、外来での活動も行いました。

成田祐子さん(写真中央)


1.ウガンダ共和国について

 ウガンダ共和国は東アフリカに位置しており、東にケニア・南にタンザニア・南西にルワンダ・西にコンゴ・北にスーダンとの国境をもつ内陸国です。首都はカンパラです。 旧イギリスの植民地の影響もあり、公用語は英語ですが、多民族が属しており現地語は多数あります。

 「Pearl Of Africa」と呼ばれており、赤道直下ですが高地のため気候も比較的過ごしやすく、緑豊かな土地です。

2.ムベンデ県の病院のについて

 私が勤務していたムベンデ県は首都カンパラから西に160キロ、約3時間の場所に位置しております。
西部地区の拠点病院として、周辺4県の医療をカバーしております。2009年に群病院から格上げした、中核病院の中では比較的新しい病院です。

 病床数は約200床、外来・外科・内科・小児科・産科・歯科・耳鼻咽喉科・婦人科外来・HIV外来・救命センター・結核病棟を持っております。日本の自治体総合病院をイメージしていただければよいと思います。

 2012年に日本の政府開発援助(ODA)の採択を受け、無償資金協力による新病棟の建設と医療機器の供与が行われました。2014年7月に引き渡し式を行いました。

新しい病棟

(左)最新の設備を備えた手術室
(右)旧病棟では、水道水を汲んできてタンクに補充しなければなりませんでした

3.ウガンダではどのように糖尿病治療が行われているのか

 ウガンダの糖尿病患者さんの約97%が2型糖尿病と診断されます。
1型糖尿病もいるとは思うのですが、日本のように血液検査・OGTTなどの検査システムが発達しておらず、また糖尿病診断のガイドラインも明確なものがありません。

 特に小児1型糖尿病の場合、発見を前に死亡してしまうケースも少なくないと言われております。1型糖尿病の場合、ケトアシドーシスの症状が出現して1型糖尿病と診断されるケースがあると思いますが、ウガンダでは原因不明の扱いで死亡してしまう事が多いです。診断がきちんと出来れば1型糖尿病の割合も増えると思います。

 1型糖尿病に関してはインスリン投与による治療となりますが、バイアル型の速効型インスリン(R)1種類のみしかありません。それを数名の患者さんで分け合いながら使います。
インスリンに限らず、薬剤の多くは先進国からの寄付で賄われており、NMS(National Medical Store)が一括管理し、各自治体病院に搬送します。

 公的病院は診療費や薬代が無料ですが、薬剤の在庫がない場合は自費購入となるため、インスリンや注射器を購入できず、退院後に未治療になる方もおります。そういう場合はケトアシドーシスになり救急搬送される場合もあります。血糖測定器は病院にしかなく、自費購入ができない患者さんが大半なため、自宅で自己血糖管理が出来ないのが現状です。


血糖や血圧測定をうける患者さん



 2型糖尿病に関しては、内服薬治療が一般的です。内服は公的機関であれば無料で処方してもらえます。
しかし、薬剤不足が深刻で時には必要な薬を確保するのが難しく、一部を自己負担で購入してもらわなければならない場合もあります。生活習慣とも大きく関連するため、食事・運動療法も取り入れたいのですが、日本のように糖尿病療養指導士をはじめとした、知識豊富なスタッフがおりません。検査をして薬を処方して帰宅していただくという流れになっています。患者さんの待ち時間の間に、食事内容の見直しや運動の必要性に関して説明するようなヘルストーキングが出来ればと思い、看護師や医師に提案し、企画し始めたところです。

 検査についても、日本のように十分な事はできません。外来診察のときにFBS・身長・体重を測定し、そのあと医師からの簡単なコンサルテーションがあり、内服処方となります。HbA1cやその他の採血については、重症事例の場合は検査を行いますが、非常に稀です。

 ムベンデ地域では、2010年に内分泌医師が中心となり、糖尿病のケアチームを結成しました。患者さんから入会金と検査料の一部を負担してもらう事で、糖尿病手帳の作成、血糖測定器のチップ補充、不足薬剤の購入資金にあてています。

4.活動している病院の糖尿病患者数 について

 2010年から患者名簿をつけており、累積で約400名です。
糖尿病外来は毎週木曜日に行われており、1日に診察できる患者数が60名程度ですので、振り分けをして患者さんが毎週平均して来院できるように調整しています。
毎週、新規の患者さんが2〜7名の割合で受診してきます。
小児糖尿病の割合は5%未満です。疾病が確定する前に原因不明扱いで死亡してしまうケースも多いと言われています。

糖尿病外来でのヘルストーキング。多数の患者さんが熱心に耳を傾けています

5.糖尿病の患者は富裕層が多いのか

 富裕層・貧困層に限らず、2型糖尿病の割合は増加していると思います。
当院は公的病院ですので、富裕層が来ることは少ないのですが(富裕層はプライベート病院で設備やサービスの整った診察を受ける事が多い)、それでも糖尿病患者数は増えています。

世界糖尿病デーのイベント 沢山の人達が参加し、糖尿病への関心の高さがうかがえます

アフリカ・ウガンダの糖尿病事情(2)へ続く


©2015 森田繰織
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