眼科医からみた失明しないためのアドバイス

なぜ失明者がこんなに多いのか

最大の理由は、発見が遅れること

 千葉市内で開業するかたわら、東京の済生会中央病院眼科でも、たくさんの糖尿病の患者さんを診ておられる日比野久美子先生は、糖尿病網膜症による失明者が多い理由を、こう分析する。「やはり発見が遅れるということが、最大の原因ですね。糖尿病網膜症は慢性疾患ですから、交通事故とちがって、一晩で失明するなんてことはありえない。失明に行き着くあいだには、眼科的には打つ手はいっぱいあるんですが、それがほとんど使えない段階になって、初めて眼科に来られる患者さんが未だに絶えません」。

自覚症状が出にくいことも大きい

 発見が遅れる背景のひとつは、自覚症状がないことだ。糖尿病網膜症はかなり悪化するまで、視力低下などの自覚症状がない。「患者さんは、目が充血したり痛くならないと、なかなか眼科には来てくれないもの。
 この病気が発症して、小さな眼底出血が何年間も繰り返されていたとしても、何の自覚症状もないので、本人はまったくわかりません。出血が、黄斑部にまで及べば、視力が低下するので気がつきますが、そうなってからでは、治療しても完全な視力の回復はむずかしい場合が多いですね」。つまり、網膜症の発症や進行を防ぐには、眼科医に目を検査してもらうしか方法はないのである。

糖尿病と診断されたら眼科にも行こう

 ふたつめは、医療者側の意識の問題だ。血糖はしっかり管理するが、目まで配慮する内科医はまだ少ない。「糖尿病網膜症は、糖尿病の発症後7、8年から出やすくなりますが、NIDDM(インスリン非依存型糖尿病)の患者さんの場合、糖尿病の発症時期を特定しにくいので、糖尿病と診断されたその時から、眼科も定期的に受診する習慣をもってください。
 それには、内科医の先生もぜひ一言、糖尿病と診断された患者さんに、眼科にも行くように言っていただきたい。
 また、血糖が大きく変動した時(たとえば治療法を薬物療法に変えた時、妊娠、下痢、心労など)は、網膜症が発症したり進行することがあるので、そんな時も眼科のチェックが必要です」。内科と眼科が連携し、ひとりの患者さんを治療するというかたちが、目を守る最良の方法と先生は考えている。

糖尿病に強い眼科医にかかろう

 また、同じ眼科医でも、糖尿病が得意な場合とそうでない場合では、その後の病状に差が生じる。「とくにレーザーはうまく使うと、とても効果の高い方法で、網膜症の進行予防や視力の回復には欠かせませんが、時期の見極めが非常に大事。する時期、打ち方、回数などが適切でなければなりません」。
 眼科医の先生も、糖尿病の治療の経験が豊富な先生にかかることが、網膜症や失明から目を守ることになる。

意識の高い患者になること

 最後は、患者さん自身の意識の問題だ。多くの患者さんを診てきた日比野先生が痛感することは、血糖コントロールの大切さ。「やはり、血糖コントロールがうまくいっている人といってない人では、その後に明暗の差がはっきりと出ます。糖尿病になると、失明が避けられないように思う方が少なくないですが、これはまちがいです。網膜症や失明を防ぐ方法はいくらでもあり、要はそれを実行できるかどうかなんですよ。
 患者さん自身が、まず、基本の血糖コントロールに努めること。そして、糖尿病や網膜症の知識も深めてください。加えて、糖尿病の経験豊富な先生に診てもらうこと。病院には定期的に通院すること。これらを実行すれば、失明したりひどい視力障害に泣くことは、まずなくなります」。日比野先生はこう断言した。

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