基 調 講 演

 最新のインスリン治療  7.24.1999

東京女子医科大学糖尿病センター
助教授 内潟安子

 インスリン依存型糖尿病(1型)の治療は、ご存じのようにインスリン注射です。将来、吸入式のものや口腔内噴霧式のものも手軽に使えるようになるかもしれませんが、もうしばらくは注射でがまんしてください。
 注射も数年後は食べたあとすぐに注射しても血糖を抑えることのできるインスリン製剤が一般に使用できるようになります。そして、中間型インスリンや持続型インスリンより、もっとよい一定したインスリン作用を示すインスリン製剤も一般に使用できるようになります。そうしたら、食べたいときにインスリンを打つだけで、食後血糖を上昇させないようにできます。
 さて、このように進歩してきているインスリン治療ですが、血糖コントロールはもし、できていないとするなら、原因はなにでしょうか。血糖値はよく知っているように、食事のカロリーとインスリン量と運動量によって決まります。この3つのことだけまず考えればできます。高血糖になったら、低血糖になったら、なぜそうなったかを先生にお話してください。低血糖になった!というのではなくて、こうこうしてこうこうしたら、低血糖になったようだ、とういうように先生に話をしてください。かならず原因があります。自分で原因がわかるようになったら、もうおこしません。
 そして、1週間の自分の運動量の違い、1か月の生活の動きを考えましょう。たとえば、学校へ行く日と、休日は動きが全く違います。同じインスリン量では血糖がおさまりません。
 10歳ごろから、体がみな大きくなっていきます。たくさん食事を食べましょう。そしてそれにみあったインスリン量をしっかりと注射しましょう。インスリン量が増えている間は体が成長しています。成長が止まったら、インスリン量も減ってきます。
 インスリンの打ち方は『さかえ』のつぼみのコーナーによく書いてありますので、参考にしてください。自分がやりたいこと、やってみたい仕事に向かって、合併症などにならずに進んでいくことは、今はたやすいことになりました。
ヤング懇談会
就職・進学|恋愛・結婚仕事・職場普段の血糖コントロール等その他

◆就職・進学について◆

Q.1 友達への病気の打ち明け方について

 打ち明けるタイミングが難しく、友達が理解してくれるかも分からない状態にある中での告白となる。

    A. 先に自分が DM であることを公表する。
    A. 自分が友達などに告白するためには、自分の中で病気を受け止めておく必要がある。
     自分の気持ちが病気に対して前向きな考え方が必要。
     病気に対し引け目の気持ちを取らない。
Q.2 実際の就職での問題は

 実際の就職活動経験より(経験者2人)

    A. それほど問題ではなかった。
     ―病気を理由にしてだけでなく、自分自身の評価の結果
Q.3 生活している上での問題は
  • 友人との外食は
    A. つきあいで一緒に食事などを共にする。
    A. 友人の理解で、自分にあわせてもらっている。
  • 病気のコントロ一ルは
    A. 親が主導で行っている(発症して間もないため)
    A. 親が口をはさむが無視。
    A. 一人で生活するようになると本人主導になり乱れた。
     ―できる限り自身で管理する必要がある。
  • 一般への理解を促していくうえで
    A. 病気に対する偏見は自分の行動から生まれることもある。
     注射(インスリン療法)するという行為は、周りへの気配りも忘れてはいけないと いうこと。
  • いろいろな問題において、患者本人が周りに正しい理解をしてもうらために、自分から主張していく心要がある。
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◆恋愛、結婚について◆

出席者 男性4名(未婚)     
    女性4名(うち既婚者2名)
アドバイサー 既婚者2人

Q.1 恋人に自分が糖尿病だということを、いつ、どのようなタイミングで伝えたらいいのか?
A. 時期を見てなるべく早めに打ち明ける。相手の気持ちを確かめるいい機会と思って!
  • あまり、深刻に言わなきゃいけないと思わず、今の状態がよければしばらく様子を見ながらとかもっと柔軟な考え方であれば時期は自然にくると思う。
  • Q.2 それでは、その告白をどのように相手に伝えたの?
    A.
  • インスリン注射の痕が青アザのようになっているのを恋人が見つけその痕はなんだという事になって打ち明ける事が出来た。
  • 糖尿病って病気しってる?って問いかけから始め、注射器を見せたりして簡単に説明した。
  • 告白した後もそれだけで終わらず一緒に病院に行ったり先生に紹介したり、相手が理解に耳を傾けてくれるならば、少しずつ教えてあげよう、アフターケアが大事、言う方も勇気だが聞く方も勇気。
  • Q.3 結婚へと進展していく上で、本人同士はよくても周囲の理解が得られるか不安。
    A.
  • 相手とその家族には、勇気をもってきちんと病気の事を話すこと。
  • 先生の協力も得る。
  • 彼、彼女の理解があれば大丈夫。自分の幸せを勝ち取る人生最大の大勝負。
  • その意思を伝えるのは健常者にしても同じ事、まず自分が病気というハンディをハンディと思わないことが大事。
  • Q.4 病気が原因というわけでもないが、恋におく手になってしまった。
    A.
  • その人の性格そのものに原因があるのでは?病気は関係ないと思う。
  • まず、普通のように恋をすればいいと思う、そうなったらそうなった時に考えればいい。
  • 病気というマイナス要素を補えるプラス要素を、自分に身につけ、自信を持つ。
  • 恋から即結婚じゃなくて、恋を重ねていろいろ学び経験して自分を磨く。
  • 自分が病気だなんて思っていない!注射を打つか打たないかの違いで他は何も変 わらない。だから負い目を感じる事なく、もっと積極的に堂々と!
  • 誰も最初だけ注目するけど、告白して健常者と同様にこなせると実証すれば周囲も自然と理解してくれて楽になれる。
  • 〈感想〉
     今回話してて、自分を含め、皆さん、事を起こす前に先の事を悪いふうに考えてしまって一歩踏み出せずに立ち止まっている様に感じた。考える前にまず、気の向くままに動いてみる事が大事と思う。
  • マイナス思考をプラス思考に変えて!! 特に、成人して発病した人にこうしたマイナス思考の考え方が多い。たぶん健康だった頃の自分の姿が根強く居着いているせいじゃないだろうか。一方幼い頃から発病した人は、話を聞いているととても前向きで明るく、病気と正面から向き合い上手に付き合っているなぁって印象を受けました。ちょっと病気に対し背を向けていた自分に反省し、またガンバローって気になりました。
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    ◆仕事、職場について◆

    構成員 4人(全員会社員)

    Q.1 DM として診断されたのはいつか
    A. 全員、就職後
    Q.2 職場での理解度
    A.
  • ほとんどの人は知っている。
  • 自分の担当内の人には知らせている。
  • 全く知らせていない
     …何故か?きびしい世の中で病気のことを知られると、会社をクビになるかも知れ ない。
  • 職場には同じ DM の人が5人もいるので、十分理解されている。
  • 会社に知らせていないので、会社の健康診断の時ひっかからないようにするため苦労する。
  • 職場の人に知らせておいた方が気楽になると思う。
  • Q.3 血糖コントロールについて

    (1) 食事について
    A.
  • 不規則(接客業なので)
  • タ食は、残業が多いので、ほとんど22時くらいになる
  • いそがしい時は、パンを食べながら仕事をすることが多い
  • (2) 仕事中に低血糖になったらどうするか
    A.
  • 接客中はがまんするしかない。
  • (3) 会社の飲酒は
    A.
  • とりあえず参加するが、アルコールは飲まない。
  • 最初のうちは、ビール等を飲むが、途中からウーロン茶に切り替える。
  • もともと酒は飲めないのでお茶などで参加する。
  • (4) ストレス解消法は
    A.
  • 月に1回程(定期検診の後)好きなものを思いっきり食べる。
  • (5) ストレスで血糖のバランスを崩さないためには?
    A.
  • ストレスが溜まっているときは、食事を取らない。
  • ストレス解消としてパチンコをしていたが、負けた時は、逆にストレスがたまり、血糖も高くなったので最近控えている。
  • たまにはチョコレートパフェなどを食べようと思うが、それを我慢出来たとき、自分で自分をほめる。(やった、と言う自己満足感)
  • Q.4 将来についての不安
    A.
  • 50〜60才まで仕事が続けられるか。(病気が悪化しないか)
  • DM は遺伝しやすいので自分の子供の将来が心配。
  • 今後結婚し、子供が生まれる事などを考えると心配。
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    ◆普段の血糖コントロール・健常者への理解◆
    ストレス・シックディ

    Q.1 普段の血糖コントロール 〜食後の高皿糖を抑えるには?〜
    A.
  • 食前の注射ではなく30分前注射する事が大切。(たかが30分でも効果が全然違う)
  • 食事の量を分ける。(2時間後に2単位取るとか)
  • ベイスンの服用も効果的かも?オナラがでるぞ。
  • 食事をゆっくり取る。30分以上かけて
  • 食前の低血糖に気を付ける。(食後の跳ね上がりにつながる)
  • 超速効型インスリンに期待する!
  • Q.2 健常者への理解
    A.
  • あえて回りの人全てに話す必要は無いのでは?むやみに広範囲にアピールするのではなく、信頼できる友人・知人に理解してもらう事が大切。
  • 自分の意思次第で誰とでも、対等に付き合える。
  • 変に話をして余計な心配や同情も嫌なものである。
  • 話す相手が興味を示したなら、自分を理解してもらうのではなく糖尿病を理解してもらうことから始める。
  • Q.3 ストレスは、ありますか?
    A.
  • 病院に対してのストレスがいっばいある。
  • 病院へ行くことがストレス。
  • Dr. とのコミュニケーションが取れない。
  • Dr. の患者への要求が厳しい。(管理表の提出)
  • 病院へ行くと必ず叱られるという恐怖感がある。
  • Dr. には、よき相談相手であって欲しい。
  • コミュニケーション、よきアドバイスが欲しい。
  • 〈病院への不満〉

  • 待ち時間が長い。(予約をしていても2時間以上待たされる)
  • 診療代が高い。(薬代も)
  • 駐車場がいつもいっぱい。
  • 1か月分しか薬を出してくれない。(月1回の病院の検診の為に学校や会社を休んで行く事が苦痛である)
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    ◆ そ の 他 ◆

    〔1〕

    1 健常者への理解

    • TVやマスコミの影響で、健常者の DM に対する理解はかなり偏っている。
    • 周囲の人は、偏った知識のままで色々話掛けてくるため、煩わしく感じる事がある。
      間違った知識のまま色々言われるのは嫌?だったら、その知識を訂正して理解してもらおうとは思わない?
    • いくら言っても無理。なかなか理解してもらえない。
    • 実際のところ、なったものにしかわからないと思う。
      実際に何か努力してみた?このままだと何も変わらないと思わない?
    • 身近な人ならともかく、単なる近所の人ぐらいなら理解してもらおうとは思わない。
      どちらかと言うと、詮索されたくないし、DM と書いてあると入りにくい。周りの人 に DM だと解ってしまう。ただの相談窓口にしてほしい。
      DM である事を受容しきれていないのが一番の問題の様に感じた。
       周囲の人に理解してもらうには、まず私達自身が DM に対する正しい知識を持ち、 周りの人にアピール出来なくてはいけないのだが、そこまでの意識付けには至らなかった。
    2 日常のコントロール
    • たまに外食する時は、インスリンを多目に打つ。
    • 食前の SMBG の値によってインスリンの量を加減する。
    • 基本的には食事療法を守る。
    • 知り合いに、食事療法をきちんと守っていても合併症が出てひどくなった人がいるので、気にせず食べている。
      DM に対する知識不足を感じた。1型と2型の区別をはっきり知らなかったり、肥満とインスリン抵抗性の関係について知らなかったりと、知識として知っている人とのレベルの差が目立った。
    〔2〕

    1 血糖値について

    Q 高い場合どうするか?
    A.
  • 食事の量を減らして調節する
  • 注射の量を増やす(2単位程度)
  • Q 高いと症状はある?
    A.
  • だるくて口の中が変な味になる
  • 500〜600mg/dL ぐらいにならないと症状がひどくならない。
  • 突然ひどい吐き気に襲われた事がある。(血糖値は 350mg/dL ぐらいだった)
  • Q 低い場合どうするか?
    A.
  • ジュース(コップ1杯ぐらい)を飲む。
  • ペットシュガー(6g)を摂る。
  • 60〜70kcal 位のジュースをとる。
  • バランスアップ1個 30kcal×2コ。
  • カロリーメイトは効きが遅い。
  • クッキーを食べるが後に血糖値が高くなってしまう。
  • Q 症状については?
    A.
  • あまりない事がある。
  • 夜中に低血糖で覚醒する。
  • 朝(5:00頃)に目が覚める。
  • Q その他
    A.
  • 低血糖の時は食べ過ぎてしまうので気を付ける。
  • 夜中の低血糖は、睡眠が妨げられるので困る。
  • 食生活では間食も含め、自分のペースを見つける事が大切。
  • 血糖値はストレスで上がる。
  • 身体の調子が悪いと上がる。
  • 間食などして血糖値が上がる分、注射の量を増やすと→繰り返しているうちに→ 体重が増え、インスリン感受性の低下など悪循環に陥る
  • 2 社会に対して

    • 偏見が多い。
    • インターネットで情報を収集し、ファイルにとじて周りに見せる。
    • DM である事を隠していたが、今はそんな事はない。
    • DM である事を隠す必要は無いが、宣伝する(こちらからわざわざ言う)必要もない。
      聞かれたら答えるだけであり、自然で良いのでは?
    • 近い人(親しい人)には伝えている。
    • 依存型(IDDM)は理解されにくいので、仕事など実績を積んで信用を得た。
    • 今後、これからの人達の為にも DM が地域社会に理解してもらえるよう道を開いていく。
    3 自由なテーマ
      (1) 運動について→1日に30分〜1時間程度の歩行運動は薦めたい。
      (2) 食事前に腹が減った場合
      • (15:00〜16:00ぐらいに)少し食べる。
      • 食欲との戦いである。
      • シュガーレスのもの(アクアブルガリアなど)、カロリー0→飲み物に比べ食べ物はカロリーオフは少ない。
      • 低血糖の時など、堂々と食べられる。
      • アイスクリームは食べないようにしている。
      (3) 車に乗る時
      • 低血糖に気を付けた方が良い(事故につながる可能性有り)。
      (4) 就寝前の血糖値が高い場合
      • あまり気にしない。
      • そのまま朝まで血糖値が高いと、昼まで血糖コントロール悪い→HbA1C良くならない。
      (5) 出張した場合
      • 出張の予定が変更(長くなった時)、余分な薬がなくて困った。→少し多目に持って行く。
      • 当地で薬をもらう事も可能なので、DM 手帳や DM カードは持っていた方が良い。
      (6) 未来の治療薬
      • 超速効型のインスリンが2〜3年後に登場?
      • 時間計算(30分前)が確実にできない状況が時々ある。→超速効型に期待。
      • 今後、色々な良い治療方法が出来る事に期待する。


     

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