第11回 ヤングトップセミナーに参加して

川原 靖広

 

 11月17日から3日間、愛知県岡崎市で行われました第11回ヤングトップセミナーに参加しました。参加者のほとんどがT型 DM の方と治療に関わるスタッフの方でした。このトップセミナーの目的は、全国から集まった地域の代表者が情報交換をして、新たな知識・情報を地元に伝えるということです。今回は東海地区の方の参加が多かったのですが、遠くは九州からの参加がありました。内容は、いろんな分野の先生方の講演会が4回、グループ討論会が2回、そして医療メーカーによる展示がプログラムの合間に行われました。予定のプログラムが終了した夜は遅くまで「交流」という名の飲み会に終始しました。
 講演会のテーマは DM に関係する妊娠・眼・自己管理・食事の4つと重要なことばかりで、特に自己管理について講演された東京女子医大の内潟先生の講演は多くの質問が飛び交い予定時間を大幅に過ぎて行われました。
 私はこの3日間でグループ討論会などを通じて、いつもの数倍の時間にわたって多くの方と話すことができました。このような経験をさせて頂いた多くの関係者にこの場を借りて心から感謝致します。
 そして、このトップセミナーの目的から、参加して得た物を今から書きたいと思います。いろいろと、伝えたい情報はありますが、ここでは自己管理についてというテーマで書きたいと思います。これには、個人的な気持ちも含まれていることも、先に書いておきます。
 まず、糖尿病という[体質]は本人とサポートする家族の気持ちが一番大事だということです。私はここで敢えて[体質]という言葉を使います。というのは、一日にその人独自の時間でインスリンを注射すれば、通常の生活ができるのですから。目が悪い人が眼鏡を使うのと同じことです。合併症を併発してしまって初めて、[病気]ということになります。今、自己管理して生活している本人もしくはサポートする家族の方が〈糖尿病〉というものを自分の中で受容していない人が多いと感じます。インスリンを注射して血糖をコントロールしなければ生きていけない。そのために、〈糖尿病〉のコントロールだけで、生活のほとんどを費やしていないでしょうか? 東京女子医大の内潟先生の言葉で、
「自分の中から糖尿病のコントロールを取り除いた時に何も残らない人間では困る」というものでした。
 果たして、この文章を読んでいる皆さんで、コントロールに人生を捧げている人いませんか? 完璧なコントロールをする為に、自分の生活を捨てていませんか?
 私はインスリンを注射して来月で17年になります。お陰様で合併症になっていませんが、コントロールは良くありません。何時、眼に、腎臓に、末梢神経に、弊害が来るかはわかりませんが、それを受容できる気持ちではあります。昨今の糖尿病に関する情報を鵜呑みにして、合併症に怯える生活をしている方がいらっしゃいましたら、少し気持ちを前向きにするとコントロールも良くなると思いますので、元気に生活しましょう。
 それに関係して、糖尿病に関わっている皆さんに言いたいのですが、この体質は、自己管理する本人によって治療が成功するか否かが決まります。つまり、本当の主治医というのは糖尿病という体質を持ってしまった本人だということです。あくまでも、医者や家族の方は本人をサポートする立場だということです。これは、一つの意見ですが、医者はコントロールをうまくいくようにテクニックを伝えること、家族の方は緊急事態が起こったときに本人の力になってあげるということです。
 私は、富山小児・ヤング合同サマーキャンプに実行委員として、2年間参加させて頂きました。今年の 2000年のキャンプで富山での実状をやっと把握できました。
 それは、自己管理する本人、サポートする家族の方、そして、専門的知識を持っている医療スタッフの方でこの体質について知らない事が多すぎるのではないかということです。
 これに対しては、異論が多いと思います。当然、個人差はあります。ただ、情報源が医者から患者への一方通行であることが現状ではないでしょうか。医療スタッフの方でさえT型とU型と区別して、治療方針を示さない方がいる中で、その医者に全てを預ける本人も問題だと私は思います。つまり、今の富山県での常識では、最初に関わった医者の技量によって、その人の人生が左右されかねない、という面を持っていないでしょうか。
 この、セルフケアという問題は、糖尿病という体質が、肉体的なダメージよりも精神的なダメージのほうを重要視しなければならないということを暗に示しているのではないでしょうか? このような視点が軽視されないことが今の治療に必要と思います。
 話は変わって、もう一つ。富山で行われている合同サマーキャンプというものが、とても必要だということが参加してわかりました。というのは、トップセミナーの存在意義が以前のものと変わってきたということです。地域の代表を育成するという従来の立場から大人になってから発症したヤングといわれる方を対象とした交流する場というものに変化しています。これは、セミナー参加者の多くが存在意義を知らずに参加していたという事実からも言えます。これには、ヤングの方が集まれるイベントというものが日本には少ないということがあると思います。2年に1回、ジャンボリーがトップセミナーと隔年で行われていますが、それほど多くはないということです。つまり、小児対象のキャンプはあっても、ヤング対象のキャンプは数少ないということです。そして、合同という形態を取っている富山のキャンプが珍しいことは言うまでもありません。しかし、富山のキャンプは、歴史が浅く現在は形成期です。私は 21世紀1回目のキャンプを通じてこのイベントが少しでも確立させることができればと思います。
 この2つがトップセミナーに参加して得られた事の大きなものです。この経験をセミナーの目的に沿って、多くの方に伝え、少しでもこの体質と苦楽を共にする方が、元気で生活出来ますように、常に努力するつもりでこれからの生活に生かしたいと思います。

2000.12.20
川原 靖広



 

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