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2004年10月25日

お酒をよく飲む男性は糖尿病の発症率が高い

 お酒を飲む頻度の高い人では1日に飲む量がビール大びん1本相当を越えると糖尿病を発症する比率が高くなることが、厚生労働省研究班が日本人のアルコール摂取と2型糖尿病の関連について調査した研究で分かった。
 この傾向はBMI(肥満指数)22以下の男性で確かめられたもので、飲酒量が増えるにつれて糖尿病リスクも高くなるという。

 この研究は、厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)によるもの。対象となったのは岩手県、秋田県、長野県、沖縄県の4つの保健所管内の、糖尿病や心血管疾患などの疾患発症のない男性1万2,913人と女性1万5,980人の、計2万8,893人。調査開始時の年齢は40〜59歳だった。

 調査では、開始から5年目と10年目に対象者に調査票を送付し、体重、身長、健康状態、喫煙習慣の有無、アルコール摂取状況、糖尿病や高血圧など医師による診断の有無、生活習慣について、自己申告で回答してもらった。

 アルコール摂取については、摂取頻度、アルコール飲料の種類、1回当たりの摂取量について回答してもらい、対象者をアルコール摂取状況から「全く飲まない/たまに飲む(1カ月に3、4日)」群と、「よく飲む」群に分けた。「よく飲む」群では、飲酒量をアルコール量に換算し、1日当たりのアルコール摂取量によって3つのグループに分けた。

 10年の期間中に男性703人、女性482人が糖尿病を発症した。男性の「よく飲む」群では、BMIが22以下だと、全く飲まないか、たまに飲むグループに比べて、エタノール換算で23.0gより多く46.0g以下のグループで1.91倍、それより多いグループで2.89倍、糖尿病を発症した比率が高かった。エタノール換算で23.0gは、ビール大びん1本、日本酒1合に相当する。

 一方で、BMIが22より大きい男性群では、1日のエタノール摂取量と糖尿病発症との間には関連は認められなかった。ただし、飲酒によって糖尿病のリスクが減少するというわけではないという。

 女性ではアルコール摂取の糖尿病発症に対する影響は認められなかった。男女ともに、BMI、糖尿病の家族歴、喫煙、高血圧歴が糖尿病の危険因子になることも確認された。

Diabetic Medicine, 22(3), p323-331, 2005.
飲酒と2型糖尿病の発症について-概要-(JPHC研究)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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