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2005年12月02日

糖尿病の視点からみた医療制度改革

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 国が進めている医療制度改革の要旨を、糖尿病医療の関連でまとめると下記の通りになる。治療に重点をおいた医療から、疾病の予防を重視した保健医療体系へと転換を図っていくことが骨子となる。
生活習慣病予防の重視

 今回の改革では、糖尿病などの放置が将来的に透析療法など高額な医療の増加につながることから、糖尿病など生活習慣病とその合併症を早い段階で発見し、予防するための対策が大きなテーマとなった

 厚生労働省の統計によると、糖尿病の医療費は2002年度で医療費の5.8%を占めている。別の調査研究では、健診で血糖値の異常が見つかった人と異常が見つからなかった人を比べると、10年後の医療費に約1.7倍の差が出て、糖尿病の合併症のある患者とない患者の比較では、透析で高額の医療費がかかる場合を除いても5年後に10万円以上の差が出ることが示された。

■ 糖尿病、高血圧症、高脂血症など生活習慣病の予防を国民運動として展開する
 「食育」の推進や運動の習慣化の必要について適正な知識を普及し、被保険者による生活習慣の改善を促進する。

■ 生活習慣病予防のための取り組み体制
 市町村の協力の下に、費用対効果をふまえつつ、被保険者が健康管理についてよく理解し、実行できるようにしていくことが課題とされる。

  • 40歳以上の被保険者では、生活習慣病に着目した健診・保健指導の事業実施を行うなど、効果的で効率的な健診や保健指導を義務づける。

  • 健康診断の受診率や、健康を維持するために必要な毎日の運動量や喫煙率などの目標値を、都道府県ごとに設定。脳卒中が多い地域では塩分摂取についての保健指導など、それぞれの実情に合わせた対策を推進する。
    厚生労働省は達成状況を検証し、達成状況に応じて診療報酬に差をつけるペナルティーなども検討している。
安心、信頼される医療の確保
 
■ 地域医療の連携体制の構築
 質の高い医療を効率的に提供できるようにするため、地域医療の機能の分化・連携を進める。患者が一貫した治療方針のもとに、切れ目ない医療を受けることができるよう、地域の医療機能の連携体制を見直す。
 
■ 患者に対する情報提供の推進
 IT化を活用することで医療保険事務の効率化をはかり、都道府県による医療機関に関する情報提供を制度化する。医療費を支払う患者に、その内容をわかりやすくするために、保険医療機関などに領収書発行の義務づけなどを行う。

診療報酬・薬価改定

 薬価や保険医療材料価格は、市場実勢価格に基づき引き下げる。有効性や安全性の高い新薬をできるだけ早く治療に使えるようにするため、医薬品審査の迅速化をはかる。

  ●詳細は厚生労働省のサイトへ
 第24回社会保障審議会医療保険部会 資料
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/11/s1125-14.html
 医療制度構造改革試案
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/10/tp1019-1.html

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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