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2006年06月29日

食物繊維の豊富な朝食が血糖コントロールに好影響

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 米国ミシガン大学の食品栄養学部の研究者らが、サイリウム(水溶性食物繊維)の含まれるシリアルを朝食にとったときの、2型糖尿病患者の血糖値の変動などを調べる研究を行い、結果を「European Journal of Clinical Nutrition(欧州臨床栄養学)」のオンライン版に発表した

 サイリウムは、オオバコ属植物の種子外皮を破砕したもので、粘性の強い食物繊維を多く含まれている。便秘、下痢、高コレステロール血症、2型糖尿病などに対する作用があるとされ、日本にはサイリウムを使った特定保健用食品(トクホ)がある。

 研究では、45人の2型糖尿病の成人を対象に、サイリウムの入ったシリアルと、一般的な朝食の2種類を準備し、それぞれの食後の血糖値、血中インスリン、遊離脂肪酸の代謝を比較した。

 朝食(A)は炭水化物の多い血糖に影響しやすい朝食(約440kcal、炭水化物 78g、サイリウム 0g)。朝食(B)は食物繊維入りの朝食(約370kcal、炭水化物 62g、サイリウム 6.6g)。朝食をとった4時間後に昼食をとってもらい、朝食後から昼食後までに30〜60分間隔で血糖、インスリン、遊離脂肪酸の血中濃度の変化をみた。試験は3週間続けられた。

 その結果、朝食(B)を摂取した群では、朝食後の数時間は血糖、インスリン、遊離脂肪酸に良い効果が現れることが明らかになった。この効果は昼食後まで続くかないことも分かった。

 研究者は次のように結論している。

  • 食物繊維の入った血糖に影響しにくい朝食は、午前中の血糖やインスリン代謝に好影響を与える。
  • 食物繊維の入った食事(シリアルなど)は、炭水化物の消化を抑え吸収を遅らせ、食後の高血糖を抑制する傾向がある。
  • 2型糖尿病患者の脂質や炭水化物の代謝は個々で異なるが、朝食で食物繊維をとることが血糖コントロールを改善する手段になると考えられる。
詳細は「European Journal of Clinical Nutrition」のサイトへ(英文・要約)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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