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2006年08月09日

地中海型の食事が2型糖尿病患者の心疾患を予防

キーワード
食事療法
 先進国を中心に狭心症や心筋梗塞などの心疾患で亡くなる人は増えているが、地中海の国や地域では心疾患の死亡率が少ない傾向がある。オリーブ油、ナッツ類、野菜、果物をたくさんとる地中海型の食事が、心疾患の予防に役立っているのではないかと考えられている。

 地中海型の食事が本当に心疾患の予防に役立っているかを調べるため、多施設共同研究「PREDIMED」がスペイン保健省の支援を受け実施されている。対象となった約9,000人のうち、第一段階として、2003年10月から翌年3月に登録された2型糖尿病で心疾患の危険因子(喫煙、高コレステロール、高血圧)が3つ以上ある55歳から80歳の患者772人を対象に調査が行われた。

 ふだんの食事の内容を評価し、体重、血圧値、血糖値、コレステロール値を測定した上で、低脂肪食をとってもらう群(257人)と、地中海型の食事をとってもらう群に分け、さらに地中海食群を、オリーブ油を1週間に1リットル摂取する群(257人)と、くるみ、アーモンド、へーゼルナッツなどのナッツ類を1日30グラム摂取する群(257人)に分けた。

 3カ月の介入期間が終了した後に、地中海食群と低脂肪食群を比べたところ、地中海食群では血糖値、血圧値、コレステロール値などほとんどの検査値が改善していた。低脂肪食群に比べて、オリーブ油群とナッツ類群ではそれぞれ血糖値は7mg/dL、5.3mg/dL、血圧値は5.9mmHg、7.1mmHg低下し、「善玉コレステロール」と呼ばれる高比重リポ蛋白コレステロール比は0.38、0.26だった。また、地中海食群(オリーブ油)では低脂肪食群よりCRP(C反応性タンパク)値が0.54mg/L低下した。脂肪分の摂取量が増えたにもかかわらず、体重の増加は少なかった。

 オリーブオイルやナッツ類は高エネルギーだが、オレイン酸などの不飽和脂肪酸(一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸)が豊富に含まれている。飽和脂肪酸は血清脂質を上昇させて動脈硬化を促すのに対し、多価不飽和脂肪酸は血清脂質を低下させたり、血小板の凝集能を抑えて血栓(血液の塊)ができにくくする作用などがある。

 また、ナッツ類に含まれる食物繊維には、食後の血糖値上昇や、コレステロールの増加を抑える作用がある。不飽和脂肪酸と食物繊維が豊富に含まれる食事をとることで血糖やコレステロールが改善し、心疾患の発症を予防できるのではないかと考えられている。

Effects of a Mediterranean-Style Diet on Cardiovascular Risk Factors(Abstract)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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