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2006年10月06日

早食いは肥満につながる 東京歯科大などの研究

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糖尿病予備群
 食事で早食いする子供は、ゆっくり食べる子供に比べて肥満度が高いことが、石井拓男教授(東京歯科大学社会歯科学研究室)とライオン歯科衛生研究所との共同研究で明らかになった。今回の調査結果について、10月開催の第55回日本口腔衛生学会で報告される。

早食いの子供では肥満が多い
 研究グループは、沖縄県八重山地区在住の小学5年生256名(男子137名、女子119名)を対象に、身長と体重の測定と、食生活に関するアンケートを実施した。肥満の判定はローレル指数(身長と体重から算出=Kg/cm3×107)を用い、双方の関連を調べた。

 沖縄県は近年、食生活など生活習慣が急速に変化し、結果として2型糖尿病などの生活習慣病が急増していることが知られている。今回の調査でも、ローレル指数で「太り過ぎ」と判定されたのは男子12.4%、女子9.2%で、全国平均の男子8.6%、女性6.8%に対して高い傾向がみられた。

 食生活に関するアンケート結果では、「食べる早さ」と「肥満」との強い関連性が認められた。他人よりも食べるのが「早い」と答えた子供のローレル指数は平均141で、標準でも太り気味に近かった。一方、「ゆっくり」と答えた子供は平均125だった。また、一口で食べる量が多いと答えた子供の肥満度は平均139で、少ないと答えた子供の平均129よりも高かった。

 「おやつの回数」や「夜食の有無」「運動する頻度」といった、肥満との関連が指摘されている生活習慣については、今回の調査では関連性がみられなかった。

 同大千葉病院の石井拓男病院長(社会歯科学)は「ゆっくりとよく噛んで食べるといった、正しい食習慣を早くから身につけさせることが必要」と話している。

ゆっくり食べることが大切
 同研究グループは、「肥満と食習慣」との関連性を歯科保健の視点から調査している。これまでに下記の研究成果を発表した。肥満と早食いなどの生活習慣とは関連があるので、咀嚼の大切さを知ることで生活習慣が改善できる可能性があるとしている。

1. 成人(サラリーマン)を対象とした調査を行い、早食いの人ほど肥満が多い傾向がある(2001年 日本口腔衛生学会発表)。
2. よく噛むことでインスリン分泌が抑えられる。少量の食事で満足感を得ることできる(2004年 日本口腔衛生学会発表)。
3. 早食いの人は「子どもの頃からの習慣なので改善しにくい」と考えている傾向がある(2005年 日本口腔衛生学会発表)

●詳しくはライオン(株)のサイトへ(プレスリリース)
 トップページ情報掲載ページ(PDFファイル)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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