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2006年12月20日

1型糖尿病の発症に妊娠期の食事が影響

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 第22回日本糖尿病・妊娠学会年次学術集会が11月24日より東京で開催され、同学会の研究奨励賞にあたる「大森賞」受賞者が発表された。

 大森賞は妊娠期の糖尿病の予防と治療について、(1)続けて研究が行われる可能性が高い、(2)精魂を傾けて日夜臨床、研究に打ち込んでいる姿が推察される、(3)日常臨床に貢献しうるなどの条件を満たした研究が対象となる。

 受賞者の1人は、島根県立島根女子短大(松江市)家政科の籠橋有紀子氏。研究では、必須脂肪酸であるが、1型糖尿病への影響についてよく分かっていない、n-3系、n-6系脂肪酸に着目した。

 不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、さらに多価不飽和脂肪酸はn-3系とn-6系に分けられる。n-3系、n-6系不飽和脂肪酸は、からだの成長や健康維持に必要な必須脂肪酸であり、「動脈硬化、高脂血症、痴呆などの予防や改善によい」、「アトピー、アレルギーなどによい」などといわれている。ハマチ、イワシ、マグロ(トロ)、サバなどの青魚に多く含まれている

 実験では、1型糖尿病を自然発症する遺伝子を持つ妊娠期のNODマウスに、n-3系、n-6系脂肪酸が多い食事と、少ない食事をそれぞれ与え続け、生まれた子の成長を比較した。

 その結果、母乳中と子の血中の脂肪酸の比率は、食事とほぼ同じになった。さらに、n-3系、n-6系脂肪酸を少なく与えたマウスの子では生後30週で70%だったのに対し、多く与えた子では膵島炎の発症率は8%に抑えられた。インスリン自己抗体は、n-3系、n-6系脂肪酸を多く与えた群で、生後早期に有意に現れた。

 1型糖尿病の発症が母体環境の影響を受け、子の発症に妊娠期の食事が関与している可能性が示唆された

詳しくは日本糖尿病・妊娠学会のサイトへ

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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