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2007年07月10日

「健康食品」の安全性は大丈夫? 厚労省検討会

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 厚労省は「『健康食品』の安全性確保に関する検討会」の初会合を開いた。錠剤やカプセル状などの「健康食品」の安全性を確保するための方策や、健康被害情報の収集、安全についての情報提供のあり方などについて議論した。

 検討会は、医師、薬剤師、消費者団体の代表などで構成される。検討会で議論された主な内容は次の通り

(1)健康食品の安全性の確保がどのように行われているかを確認する。
(2)錠剤、カプセル状などの健康食品の安全性を確保する方策を探る。
(3)製造段階で危害が発生するのを防ぐ具体的な対策を講じる。
(4)消費者が健康食品についての情報を入手し、安全な食品を選べる仕組みをつくる。
(5)健康被害についての情報を集め、消費者にわかりやすく情報提供する。

健康食品の分類
 ここでの「健康食品」は、健康の保持や増進に役立つ食品として販売されるもの全般を指している。最近では「アマメシバ」、「アガリクス」、「コエンザイムQ10」、「大豆イソフラボン」などが摂取目安量の評価などで話題になった。

 国が定めた安全性や有効性に関する基準などを満たした「保健機能食品制度」も含め検討する。

 そのうち特定保健用食品(トクホ)は、国がそれぞれに安全性の審査を行い表示を許可しており、安全性が確かめられている。この検討会では対象外となる。

輸人食品による健康被害が頻繁に報告

内閣府食品安全委員会調査、2006年
* 食品安全モニター(食品関係業務経験者、食品関係研究職経験者、医療・教育職経験者、その他消費者一般)が回答。
* この調査での「健康食品」は、保健機能食品以外のもので、広く、健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるものを指す。
 健康食品の製造方法が変化したことや、さまざまな輸人食品を購入できるようになったことなど、健康食品をめぐる背景は変化している。これまでになかった成分濃縮などで成分を摂取させる錠剤やカプセル状の製品も販売されるようになった。

 中国製ダイエット食品による健康被害の発生が2002年に報告されて以来、輸人食品による健康被害が頻繁に報告されるようになった。「健康食品」から違法の医薬品成分が検出されたり、栄養素の含有量が許容されている上限値を超えるものなどがみつかっている。

 そこで、2005年には錠剤やカプセル状などの食品について、原材料の安全性の自主点検・適正製造規範(GMP)に関するガイドラインが策定された。

 このガイドラインを基に、民間機関によるGMP認証の取組みが行われている。しかし現時点では製造段階で危険性が発生するのを防止のための確認がすべてにおいて普及したわけではない。検討会では今後、製造段階での危害発生を防止する方策をさらに強化するとしている。

医師や医療スタッフが気付かないことも
 健康食品による健康被害に、医師や医療スタッフが気付かないでいる可能性も指摘された。内田健夫・日本医師会常任理事は「患者の健康被害を疾病としてみているおそれがある」として、医療の現場で認識が十分に浸透していない現状を示唆した。

 日本医師会や東京都医師会では、薬剤師会と連携し、健康食品の情報を収集し専門家により検討を行う体制を整備する考えが示された。

 この検討会では、次回以降の会合で関連団体から意見を聴取し、パブリックコメントも募集する。パブリックコメントは今月31日まで行われる。

第1回「健康食品」の安全性確保に関する検討会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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