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2007年10月03日

運動は少しの努力でも大きな効果を引きだせる

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歩くだけで、本当に筋力を向上できる?
 運動能力を向上するためには一定の法則がある。筋力アップが目的なら、運動の「強さ」を調整する必要がある。一般的には、最大筋力の60%〜80%という運動の強さが求められ、それを繰り返す必要がある。

 相当にきつい運動を続けないと筋力は向上しない。運動経験の少ない人や、体力が衰えている高齢者には難しい場合がある。歩くだけで筋力の向上をえるためには工夫が必要となる。

 そこで、これまで運動をしてこなかった人でも、効果的にからだを鍛えることができるトレーニング法の開発が進められている。


東大生涯スポーツ健康科学研究センター
ホームページ
認知動作型トレーニング
 千葉県柏市と東京大学などが連携事業として、2006年度からはじめた「十坪(とつぼ)ジム」は、地域の市民を対象に運営されている。ここで運動に取り組むのは、地域の高齢者が中心となる。体力の低い人が多く参加しているという。

 基本となる足腰の強化、スタミナやバランス、柔軟性の向上という目標に対して、「少ない努力でも、できるだけ大きなトレーニング効果を引き出す」をコンセプトに、新たなトレーニング法の研究開発が進められている。

 十坪ジムには、小林寛道・東京大学名誉教授(トレーニング科学)が開発した専用の運動器機が置かれている。

 ここで提唱されているのは「認知動作型トレーニング」という考え方。従来の運動やトレーニングは、体の局所を鍛えるだけのものが多いが、このトレーニングでは、脳のはたらきを重視し筋肉を動かす運動を勧めている。

 大腰筋(太ももと背骨をつなぐ筋肉)などの深部筋(からだの深い部分の筋肉)を鍛えることで、脳も活性化し、全身の運動機能が高まると考えられている。

 ゆっくりとした動作で筋肉と脳に刺激を与えることで、これまで運動をしてこなかった人や高齢者でも無理なく運動でき、楽しく続けられるという。

 認知動作型トレーニングはもともと、運動選手向けのトレーニング法として開発されたが、高齢者の高齢者や筋力ない人の健康にも役立つことがわかり、研究が進められた。

 研究の拠点となる「生涯スポーツ健康科学研究センター」が東京大学の附属施設として、2005年4月に千葉県柏市に開設された。小林教授が開発した運動器機を使い約40人を対象に行った研究では、良好な結果を得られたという。


柏市の資料より
運動能力が弱まっている高齢者などでも安全に体力向上をはかれるよう、10坪(33平方メートル)ほどのスペース内に、さまざまな専用の運動器機がおかれている。
十坪(とつぼ)ジム
 十坪ジムはNPO「東大スポーツ健康マネジメント研究会」が有料サービスとして運営している。柏市は今年7月から65歳以上で介護保険料が一定要件を満たした人を対象に、利用料減額制度も始めた。9月末には静岡県伊東市にも開設された。

 東大生涯スポーツ健康科学研究センター、柏市、企業など11団体が連携し、2006年度に経済産業省の「サービス産業創出支援事業」として補助金を得てはじめられた。

 まず柏市内4ヵ所に開設し、現在は8ヵ所がある。同市は今後、40ヵ所に増やす計画だ。

 ジムが身近にあり、気軽に運動できる環境が望ましいと考えられている。近隣住民が集まることで地域コミュ二ティの活性化につながり、ジムの集客力が周辺の商店街での消費をもたらしたり、空き店舗などを活用することで地域の活性化にもつながると期待されている。

●柏市ホームページ
 -十坪ジム
●東京大学 生涯スポーツ健康科学研究センター ホームページ
 http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hss/
●(株)スポーツ・ウエルネス総合企画研究所のサイトへ
 -認知動作型トレーニング システム

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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