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2008年02月08日

たばこの害は深刻 WHO報告書「年間540万人が死亡」

キーワード
糖尿病合併症
 世界保健機関(WHO)は、喫煙による健康被害についての報告書をまとめ、7日に発表した。世界179カ国の喫煙に関するはじめての包括的な調査となる。
 喫煙が原因で死亡する人は、有効な対策を施さないと、21世紀中に10億人に達すると予測している。
たばこを吸うのは病気と同じ
 喫煙は心疾患や脳血管障害、肺疾患など多くの病気を発症させたり悪化させる要因となる。たばこを吸うことで、肺がんをはじめほぼすべての部位のがんの発症が増え、また動脈硬化が進行が早まる。
喫煙はさまざまな病気の
発症や悪化を招く危険因子
その多くは死亡率の高い深刻な病気

喫煙はさまざまな病気の発症や悪化を招く危険因子
世界の喫煙により死亡者は年間540万人

男性の喫煙率の国際比較
男性の喫煙率の国際比較

WHO報告書(2008年)より

WHO報告書 2008-The MPOWER package
WHO報告書
2008-The MPOWER package

 報告書によると、喫煙を原因とする病気で20世紀には約1億人が死亡し、現在も世界で毎年推計540万人が命を落としている。喫煙人口は途上国を中心に増加しており、2030年までに死亡数は800万人以上に増え、その8割以上は途上国に集中している。

 糖尿病患者にとって喫煙は、血管が収縮し血圧が上がる、心拍数が増える、酸素不足を引き起こすといったさまざまな弊害がある。こうした要因がからみあい動脈硬化の進行がさらに早まる。喫煙習慣のある人は、ただちに禁煙することが望ましい。

喫煙人口 日本はワースト6位
 世界の喫煙者の3分の2以上は10カ国に集中している。喫煙人口がもっとも多い国は、(1)中国、(2)インド、(3)インドネシア、(4)ロシア、(5)米国と続き、日本は6位だった。

 先進国では、日本の男性喫煙率は43.3%で、米国の20.7%や英国の27.0%に比べ目立って高い。

 2005年2月にWHOが主導し「たばこ規制枠組み条約」が発効し、日本を含む150カ国以上が締約した。しかし報告書では、規制が十分に整備されているのは「5%に過ぎない」という。

 調査した179カ国のうち74カ国で、病院などの医療機関で禁煙が徹底していなかった。学校でたばこが吸える国は74カ国に上り、さらに完全にたばこ広告を禁止しているのはわずか20カ国だけだった。

 喫煙による健康被害を防ぐために、たばこの価格を引き上げるのは有効な対策だとしている。たばこによる税収入は世界全体で毎年2,000億ドル(およそ21兆円)に達しているが、たばこ規制に使われているのはその0.1%未満に過ぎない。

 WHOは各国政府に対し、たばこ規制に関する6つの対策、「価格と税の値上げ」「広告の禁止」「受動喫煙の対策」「喫煙の危険性の啓発」「禁煙支援の充実」「たばこによる疾病の調査」を実施するよう呼びかけている。

関連情報
日本の禁煙対策は不十分 日本禁煙学会
糖尿病でたばこを吸う人の腎症発症率は2倍に
糖尿病Q&A1000-たばこやアルコール
情報BOX&Net. アンケート「喫煙習慣」

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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