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2008年02月28日

血圧管理をもっと積極的に 国際ワーキンググループ

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 世界の9つの医療関連組織の代表による国際的なワーキンググループが、世界的に高血圧が増加しており、血圧コントロールをより積極的にするべきだという声明を発表した。

 高血圧は自覚症状はあまりないが、適切なケアをしないと脳卒中や心臓病、腎臓病といった死亡率の高い病気の発症が増えることから「サイレント・キラー」といわれる。すべての患者で虚血性心疾患などの病気は、半分から3分の2は高血圧に関連しているという。

 高血圧有病者は増えている。米国では成人の30%が高血圧で、1億人以上が予備群とみられている。高血圧の世界の有病数は10億人、2025年には15億人に増えるという予測も発表された。

高血圧患者の多くが治療目標に達していない
 グループは、高血圧に世界的に取り組むために、患者、医療従事者、産業、メディア、ヘルスケア教育関係者、政府などが互いに協力するべきだと主張し、5項目の行動目標を提唱している。
 (1)高血圧の検診と予防、(2)高血圧の危険性について知る、(3)患者との積極的な協力関係を築く、(4)血圧コントロールの目標指標を達成する、(5)サポート環境を整備する。

 高血圧には、患者の病態に合わせたさまざまな血圧降下薬など、効果的な治療法がある。しかし調査によると、欧州と米国で高血圧の治療を受けている患者の50%が、収縮期血圧・拡張期血圧がそれぞれ140/90mmHgに達していない。血圧コントロールの指標は、糖尿病など危険因子のある患者では130/80mmHgとより厳しくなる *

 グループのメンバーの1人、エルネスト・シフリン氏は、「医療従事者は、血圧コントロールと高血圧がもたらす危険性について適正な知識をもち、血圧値を目標値の近くまで下げただけで満足しないで、目標値や目標値以下まで下げることを考えるべきだ」としている。

 また、患者のコンプライアンス(処方された薬の服用や生活習慣改善を指導通りに行うこと)が悪いことが一因となっている。米国では患者の50%が指示通りに薬を飲んでおらず、生活習慣改善に取り組む人は10%しかいないという報告がある。

 肥満対策、食事改善や禁煙、運動習慣の定着など、生活習慣の改善は血圧コントロールに良好な影響をもたらす。看護師が患者の生活習慣指導で担う役割は大きい。

 エイミー・クーネン氏(国際看護師協会)は「患者やその家族との連携を通じて、運動を習慣として行うことが重要であることや、食生活の重要性を理解してもらうことが望まれる。医療者が日常での生活習慣改善のヒントを患者に提供することは必要だ」と話している。

 この声明は、医学誌「Journal of Human Hypertension」2008年1月号に発表された。
Journal of Human Hypertension, 2008, 22, 63-70.

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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