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2008年11月13日

貝類はからだに良い成分が豊富

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食事療法
 日本列島の各地で多くの貝塚が見つかっていることからわかる通り、貝は古くから日常でよく食べられている。貝は動物性食品の中では低脂肪で蛋白質が豊富、ビタミンB群など栄養価が高い。最近では貝の食品作用も注目されている。

 貝類はミネラルも豊富で、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、カリウムなどが含まれる。これらは骨粗鬆症の予防や、鉄欠乏性貧血の予防などに役立つ。カリウムには余分な塩分を体外に排出する作用がある。貝類にはうま味もたっぷり含まれる。アミノ酸であるグルタミン酸や、コハク酸などがうま味の成分。アサリやシジミ、ハマグリなどの汁はうま味が多いので、みそ汁などにしたときはダシが要らない。


 貝は蛋白質を多く含む食品だが、塩分も含まれる。
 貝を味噌汁の具にするときは、塩分のとりすぎにご注意。味噌汁1杯におよそ1.5gから2gの塩分が含まれる。味噌汁を毎食飲むと、それだけで1日に5g以上の塩分を摂取することになる。
 野菜も入れ具だくさんにしたり、薄味に慣れる、減塩味噌を利用するなど、工夫をしたい。
 貝類などに含まれるアミノ酸の一種であるベタインは、うま味や甘味に関連する。貝類のほか、麦芽やキノコ類、ワイン類などにも含まれている。ビタミンB群やベタインはホモシステイン代謝に関係があり、食品からベタインを良くとっている人では血中ホモシステイン濃度が低下する傾向があるという報告がある。

 「ホモシステイン」は「メチオニン」というアミノ酸が代謝されるときに、代謝の乱れからできる。動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などのリスクを増やす要因として注目されている。血中のホモシステインの量が増えると、悪玉のLDLコレステロールと結合しアテローム(脂肪からなるドロドロの粥状物質)ができやすくなり、血栓の形成も進行しやすくなる。骨が弱くなり骨折リスクが増えるという報告もある。

 ホモシステインについての研究は現在も進められているが、年齢が高くなるにつれ増えることがわかっている。このホモシステインを減らすにはどうしたらよいのだろう。ホモシステインの代謝に関係するビタミン類やアミノ酸が不足していて、結果として血液中のホモシステインが高いのであれば、これらの栄養素を補えば良い。ただし、専門家はサプリメントなどの健康食品で補うのではなく、通常の食生活で摂取することを勧めている。

 貝類はただおいしいだけではなく、体に良い作用を秘めているようだ。

(生100g中)蛋白質脂質炭水化物ビタミンB6ビタミンB12
シジミ5.6g1.0g4.3g0.09mg62.4μg
あさり6.0g0.3g0.4g0.04mg52.4μg
ほたて貝13.5g0.9g1.5g0.07mg11.4μg
はまぐり6.1g0.5g1.8g0.08mg28.4μg
五訂日本食品標準成分表
 貝類のエキスが健康食品やサプリメントとして売られており、「肝臓に効く」「疲れにくい」などといった宣伝文句が付いている。健康食品で特定の成分を濃縮して過剰に摂取すると、逆に健康を害する場合もあるので注意が必要。

関連情報
魚の多い食事が日本人の心疾患を減らす 米国人の半分以下に

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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