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2009年06月29日
いまが旬のトマトとブロッコリー 食事にとりいれたい野菜
- キーワード
- 食事療法
夏が近づいてきた。夏野菜の代表格、トマトとブロッコリーの収穫がピークを迎えている。野菜はビタミンやミネラル、食物繊維を多く含み、エネルギー量は少なく、食事療法に取り入れやすい食品。最近では家庭菜園に取り組む人も増えている。
トマトの赤い色素はリコピン
トマトは1年を通じて収穫されているが、本来の旬は6月下旬から8月。食卓でおなじみの野菜になっており、生産量も多い。2006年度の農業産出額をみると、トマトは米についで2位で、もっともよく食べられている果菜類。市場で出ているのは桃色系トマトが主流だが、近頃では赤色系や調理用の品種も店頭に並んでおり、流通するトマトも多様化しつつある。
トマトの原産はアンデス高原あたりと考えられており、16世紀頃にジャガイモとともに欧州にもたらされた。日本に入ってきたのは明治時代になってから。そのころ栽培されたのは赤色系の酸味の強い品種で、消費はそれほど増えなかった。その後、日本人のし好に合った食味の優れる品種の育成が盛んに行われた。いま主流になっている品種は酸味や臭みの少ない「桃色系トマト」。ミニトマトが1970年代に普及し、桃色系トマトをもとに皮が薄くて柔らかい品種「桃太郎」が80年代に開発された。
トマトの赤い色素「リコピン(リコペン)」はカロテノイドの一種。リコピンは活性酸素を消去する作用が強い。善玉コレステロール(HDL)の酸化を阻害し、動脈硬化の抑制につながる。野菜のリコピンを多くとっている人で、心筋梗塞など心血管疾患、がんなどのリスクが低下したという報告は多くある。
その他にもトマトは、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンや、ビタミンC、ビタミンB群などのビタミン、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、セレンなどのミネラルを含んでいる。
ブロッコリーの栄養がピロリ菌を減らす
ブロッコリーは1年を通じて市場に出ているが、6月から7月頃に流通するのは北海道産や長野産が多い。30年前はあまり食べられていなかった野菜だが、1970年代から食卓に上るようになった。いまでは緑黄色野菜として注目されている。
ブロッコリーにもカロテン(ビタミンA)が多く含まれる。その他にもビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維など、多くの栄養を含んでいる。ブロッコリーは茎にも栄養が豊富に含まれる。花の部分だけでなく茎も刻んで調理したい。
ビタミンCは主に淡色野菜に多く含まれるが、ブロッコリー100gにレモン果汁の2倍以上にあたる120mgが含まれている。ビタミンCは加熱すると失われてしまうので、さっと固めに手早くゆでると効率よくとることができる。脂溶性ビタミンであるビタミンAは油と相性がよいので、油を使った炒め物にすればビタミンCの損失も少なくてすむ。
スーパーの野菜売り場などで、かいわれ大根のような「スプラウト」と呼ばれる発芽野菜を見かけたことがあるだろうか。ブロッコリーもスプラウトのひとつで、他にはマスタード、アルファルファ、レッドキャベツなどが売られている。
ブロッコリー(スプラウト)には、強い抗酸化作用のある「スルフォラファン」が豊富に含まれる。スルフォラファンは、人間の胃の中に住んでいるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に対し抗生作用をもつとみられている成分。ピロリ菌は潰瘍や胃炎、胃がんなどの原因となる。
米国がん研究協会(AICR)の発表によると、ブロッコリーを食べると、スルフォラファンの働きでピロリ菌を抑えられる可毎食に野菜料理をもう1皿加える
厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」では、野菜料理を副菜として毎日食べることを勧めている。野菜はビタミンやミネラル、食物繊維の供給源となる。野菜サラダやお浸しの小鉢が「1皿(サービング)」の目安で、1日に「5〜6皿(サービング)」が適量となる。
特に若い世代の摂取量が低く、20代や30代などでは目標量の7割しか野菜を食べていない。野菜料理は不足しがちなので、毎日の食事に意識して取り入れたい。
野菜類摂取量の平均値
生産農業所得統計(農林水産省)厚生労働省の「2007年国民健康・栄養調査」
いろいろとり混ぜて1日に300gの野菜を、3分の1以上を緑黄色野菜でとることが勧められている。
Cancer Prevention Research 2, 353, April 1, 2009. doi: 10.1158/1940-6207. 関連サイト
社団法人家の光協会
トマト大学(カゴメ(株))
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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