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2009年08月11日

暑い日に飲みたい清涼飲料 気になる糖分はどれくらい

 糖尿病の食事療法のポイントは「一定のエネルギー量の中でバランス良くとる」ということ。エネルギーがあまりないと思っていた食品に、実はエネルギー量が多くたくさんの糖分が含まれていることがある。暑い時季に特に注意が必要となるのは、コーラやジュース、コーヒーなどの清涼飲料だ。
暑い夏は甘い飲料が欲しくなる
 暑い夏、汗をかいた後に飲む清涼飲料はとても爽やかだ。最近は「カロリーオフ」「カロリーゼロ」という表示をした飲料も増えている。市販されている商品の多くは甘味を強くしてある。

 果物をなま温かくして食べると「甘みをとても強く感じ、あまりおいしくなかった」という経験をおもちだろうか。甘みは体温に近い温度のときにもっとも強く感じる。本来冷やして飲む清涼飲料を、冷やさないでそのまま飲むととても甘く感じるのはそのため。逆に清涼飲料をよく冷やして飲むと、冷やすことで甘みが抑えられるので、あまり甘く感じない。

 また、炭酸飲料と砂糖水を飲み比べると、糖分の濃度が同じぐらいのときでも、「砂糖水は甘みが強くおいしくない」「サイダーは爽やかな味覚で、砂糖水よりも甘みが少ない」と感じる人が多い。炭酸飲料であると炭酸の刺激が甘さを感じる舌先の感覚を鈍らせるので、糖分の濃度が同じでも甘さを感じにくくなってしまう。

 炭酸の入った冷たい飲み物が好きな人は、気づかないうちにたくさんの糖分をとってしまう危険がある。

清涼飲料の砂糖は、角砂糖にすると何個分
 コーラやサイダー、ジュース、コーヒー飲料など、甘い清涼飲料の重量の1割くらいが糖分(砂糖)。ふだん飲んでいる清涼飲料にどれくらいの砂糖が入っているか知る方法がある。食品には「原材料名」と「栄養成分表示」が示してあり、飲料であると100mL当りの表示になっている。それを内容量に換算し、角砂糖におきかえてみるといい。

 米国で公開されている「SugarStacks」というウェブサイトは、食品を種類別に分類しそれぞれの食品のエネルギー量と、含まれる糖分を角砂糖に換算すると何個分に相当するかを写真でみせている。例えば、コーラの350mL当りの糖分はおよそ39g。角砂糖1個の重量は約3gから4gぐらい。つまりコーラ1缶には9個から10個の角砂糖が入っていることになる。米国のサイトだが、日本でも販売されている食品も多く見受けられる。

Sugar Stacks(砂糖がどれだけ入っている?)
500mLの炭酸飲料には角砂糖が平均で16個分、ジュース類には13個分、スポーツ飲料には8個分の糖分を含むものが多い。
 コーラ、ジュース、コーヒーなどの飲料、スナック菓子やクッキーなどのお菓子、アイスクリーム、ドレッシングやケチャップなどの調味料、果物、缶づめの野菜や果物、ドライフルーツなど、さまざまな食品に多くの糖分が入っていることがわかる。「身近な食品に、こんなにたくさんの砂糖はいっていたの!」と驚くかもしれない。

 米国人は甘い食品を好む傾向があり、加工食品も甘くしたものが多い。肥満や2型糖尿病の増加は日本にさきがけて深刻な問題になっており、低糖や低脂肪の食品も増えているが、まだまだ糖分の多い食品が多い。

カロリーゼロの食品を上手に利用
栄養成分表示と原材料名をみてみよう
ノンカロリーやゼロカロリーの飲料が甘いのは、甘味料が含まれているから。
原材料表示をみるとアラビノース、スクラロースなどが記載されている。

日本で市販されている清涼飲料を編集部で調査
 「カロリーゼロ」と表記されているコーラなどの飲料が増えている。食品のエネルギー量に関する表示のルールは健康増進法で決められており、ノンカロリー、カロリーゼロといった表示は、エネルギーを100mL当り5kcal未満に抑えてあれば表示できる。カロリーゼロの表示があってもかならずしもエネルギー量は「ゼロ」ではない商品もあるが、通常のものに比べれば低エネルギーであるには違いない。

 「カロリーオフ」は同じく20kcal未満のエネルギーが含まれるので、ペットボトルの半分ほど飲むと100kcal近くをとってしまうこともある。

 また、食品に使用している甘味料については必ず「甘味料○○○」と表示することになっている。例えば「コカ・コーラ ゼロ」は、カロリーゼロの甘味料であるアスパルテームなどを使用し「エネルギー 0kcal」と表示してある。

 アスパルテームはアミノ酸を原料につくられ、砂糖に似た甘味質がある。500mL飲んだとしてもゼロなので、血糖値には全く影響せず、インスリンの分泌にも刺激を与えない。アスパルテームを成分とする甘味料は厚生労働省が定めた「特別用途食品」となっている。特別用途食品は一定の審査を受け、病者用、妊産婦用、高齢者用などの用途に適する旨の表示をする認可を得ている。

 コーヒー飲料には通常、1缶8〜10gの糖分が含まれる。コーヒーをよく飲む人は糖分のとりすぎを避けようと「低糖」や「微糖」コーヒーを選ぶことが多い。低糖と表示されていても、想像以上の糖分がはいっているものがある。コーヒー飲料も最近は無糖や、甘味料を使い糖分を含まないゼロカロリーのものが増えてきた。

 ただ、カロリーゼロであっても、甘いものに慣れてしまうと、甘味料がないときに「つい砂糖をとってしまう」という人もいる。そのため2型糖尿病の食事療法では、医療スタッフは「基本的には甘いものを控えて欲しい」と指導することが多い。

果糖ブドウ糖液糖
 糖分には多糖類、二糖類、単糖類などがある。多糖類は多数の糖からできている高分子化合物。穀類や芋類に多く含まれるデンプンは多糖類で、糖分の中でも吸収は遅い。もっとも慣れ親しんでいる「砂糖」の多くは白く精製された白砂糖で、単糖類が2個結合した二糖類。一方、ブドウ糖や果糖(フルクトース)は1個の糖からできている単糖類で、糖分を構成している最小単位の物質。清涼飲料に多く使われている果糖は糖の中でも甘味が強く、すぐに吸収される。多量に摂取すると血糖値の上昇や中性脂肪の増加をまねくおそれがある。
低血糖の対策
 薬の作用が強く出すぎたり、食事の時間が遅れたとき、ふだんより多く運動したときに低血糖が起こることがある。α-グルコシダーゼ阻害剤を服用している人は、この薬は食物に含まれている炭水化物・糖分の分解・吸収を遅らせる薬なので、砂糖をなめたりごはんを食べても、すぐには低血糖から回復しない。直接血糖値を上げるブドウ糖や果糖を含む飲料を口にする必要がある。「カロリーゼロ」や「カロリーオフ」は糖分を抑えてあるので低血糖の対処には向いていないのでご注意。
「カロリーゼロ」のは本当にゼロ? 食品の広告表示(糖尿病NET)
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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