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2009年09月17日

地中海式の食事スタイルは糖尿病患者にも良い イタリアの研究

キーワード
食事療法
 肥満体型の2型糖尿病患者は地中海式の食事をとると、治療効果が向上するという研究が、イタリアの研究者らによって発表された。

 糖尿病の食事療法は、エネルギー摂取量を適正に調整し、栄養バランスのとれた食品構成にすることが基本となる。「必要なだけとり、とり過ぎないようにする」「食品の種類をできるだけ多く」「野菜や海藻、きのこなどで食物繊維もとる」「腹八分目に」といった食事指導が行われることが多い。

 食事スタイルや、食事での栄養素の摂取状況は、国や地域によって異なる。2型糖尿病など生活習慣病や、がんなどを予防するために、「世界のどの食事スタイルがもっとも理想的だろう」という議論は少なくない。

 地中海式の食事は、新鮮な野菜や魚、全粒粉、ナッツ類、果物を多くとり、牛や豚などの赤肉をあまり食べずに、不飽和脂肪酸であるオレイン酸を含むオリーブオイルをふんだんに使うのが特徴で、南イタリアやギリシアなど地中海地域で発達した伝統的な食事スタイル。この地域の諸国では、他の国や地域に比べ心臓病や2型糖尿病の発症が少ないことが知られており、「健康的な食事」として世界中で人気がある。

地中海式の食事スタイル-「Annals of Internal Medicine」に発表(YouTube)
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 第2ナポリ大学のKatherine Esposito博士(老年医学・代謝分野)らは、糖尿病患者の食事として、低炭水化物の地中海式と、低脂肪食のどちらがより効果的かを調べる研究を行った。研究は、2型糖尿病と新たに診断された215人の患者を対象に4年間続けられた。

 参加者を無作為に2群に分け、低炭水化物の地中海式の食事(108人)と、低脂肪の食事(107人)のどちらかをとってもらった。地中海式は炭水化物からのエネルギーの摂取比を50%未満に、低脂肪食は脂肪からのエネルギーの摂取比を30%未満に調整した。両群で栄養学者や栄養士が食事や糖尿病の治療についてのセッションを、1年目は毎月、続く3年間は隔月で行った。

 HbA1c値7%以上、体重の増加、高血糖や心臓病の危険因子などの変化が認められたときに薬物療法を開始した。4年後に血糖降下薬による薬物療法が必要となっていた患者は、地中海式の食事を行った群では44%、低脂肪の食事を行った群で70%で、地中海式の方が少なかった。地中海式の群ではより体重が減り血糖コントロールも良好で、心筋梗塞などの冠状動脈疾患の危険因子が改善していた。

 肥満や過体重の2型糖尿病患者が体重を減らしたいときに、エネルギーを制限し、低炭水化物・低脂肪に調整した食事が適していることが知られている。研究者らは「優先されるのはより適切な治療を患者が受けられるようにすることだ」としながらも、「地中海スタイルの治療食は、低脂肪食に比べ、血糖コントロールや心臓病の予防において、より良好な結果をもらたした。食習慣を改善し肥満を解消しただけでも、糖尿病の薬物療法の開始時期を遅らせることができる」と述べている。

 この研究は、9月1日発行の医学誌「Annals of Internal Medicine」に発表された。

Effects of a Mediterranean-Style Diet on the Need for Antihyperglycemic Drug Therapy in Patients With Newly Diagnosed Type 2 Diabetes(Abstract)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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