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2009年10月06日

【新型インフルエンザ対策】 ワクチン接種は糖尿病患者などを優先 厚労省

キーワード
1型糖尿病
 新型インフルエンザ対策で、厚生労働省は2日、ワクチンで優先接種の対象者とした基礎疾患のある患者のうち、「呼吸器疾患」「糖尿病」など優先度の高い患者の基準を示した。基礎疾患があり最優先なら11月から接種を受けられるが、その他の患者は12月以降になる。

インフルエンザを予防する
ために、マスクの利用や
手洗いなどの基本的な
対策も有用

厚生労働省の新型インフルエンザ感染拡大予防ポスター

ワクチン接種の接種方法と優先順位
 厚労省は今回の新型インフルエンザの特徴として、(1) 感染力は強いが、多くの感染者は軽症のまま回復していること、(2) 感染した人では抗インフルエンザウイルス薬による治療が有効であることなどを挙げており、これは季節性インフルエンザと類似している。しかし、新型インフルエンザについては、国民の大多数に免疫がなく感染が拡大するおそれが大きく、また、ぜんそくや糖尿病など基礎疾患のある人で重症化した例が報告されている。

 これを受けて国は新型インフルエンザウイルスに対するワクチン接種の準備を進めており、接種方法や優先順位などの方針を固めた。ワクチン接種の目的は、重症者の発生をなるべく抑え、基礎疾患のある患者などを守るために必要な医療体制を確保すること。10月より医師などの医療従事者を対象に接種を始め、11月からは妊婦や糖尿病などの基礎疾患をもつ人に対象を広げ、12月からは1歳〜小学校3年生など小児、高齢者と順次対象者を広げていく。

 基礎疾患のある患者のうち、優先して接種を受けられる対象者として、▽ぜんそくなど慢性呼吸器疾患のある患者、▽慢性心疾患のある患者、▽透析を慢性的に受けている患者、▽糖尿病患者―などを挙げた。

 糖尿病患者の優先接種の基準については、日本糖尿病学会の見解を参考に厚労省が決めた。見解の主な内容は次の通り―

  1. 糖尿病患者のうち新型インフルエンザに感染した場合に重症化するリスクが高い他の病状(併発疾患)のある人。併発疾患は心疾患、慢性腎不全、喘息やCOPDを含む慢性呼吸器疾患など。
  2. 糖尿病を合併している妊婦。ワクチン接種の基準については日本産婦人科学会の推奨する基準に従う。
  3. 1歳から高校生の糖尿病の人。
  4. インスリンによる治療を必要とする人。
新型インフルエンザのワクチン接種:接種スケジュールの目安
新型インフルエンザのワクチン接種:接種スケジュールの目安
地域によって、若干異なる可能性がある。
ワクチン接種の基本方針(厚生労働省、2009年10月1日)

ワクチン接種を優先的に受けられる対象者
ワクチン接種を優先的に受けられる対象者
ワクチン接種の基本方針(厚生労働省、2009年10月1日)

 年度内に、国内産ワクチン・輸入ワクチンあわせて、約7700万人分を確保できる見込み(2回接種の場合)。インフルエンザウイルスに対するワクチンの接種は一般的に有効な場合が多いが、決して万能なものではなく限界がある。稀ではあるが副作用が起こることもある。国は副作用を迅速に把握する仕組みづくりや、法律に準じた救済制度の創設を予定している。

 ワクチン接種の時期や期間など具体的な内容やスケジュールは、市町村ごとに決められる。希望する人はかかりつけの医療機関や市町村に問合せるよう呼びかけられている。

 ワクチン接種は現時点では2回を前提とし、費用負担(実費)がかかる。接種費用は合計6150円(1回目3600円、2回目2550円)。ただし、1回目と異なる医療機関で接種する場合は、基本的な健康状態の確認が必要となり、診察料が新たに上乗せされるため、2回目も3600円となる。所得の少ない世帯の負担を減らす軽減措置も検討されている。

関連情報

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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