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2010年03月02日
インスリン注射をスキップ 患者の不安を取り除くことが大事
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- 医薬品/インスリン
インスリン療法を行っている糖尿病患者の半数が、故意にインスリン注射をスキップした(省いた)ことがあるという調査報告が米国で発表された。患者の5人に1人が「ときどき(sometimes)」あるいは「often(たびたび)」スキップすると答えたという。この研究は、米国糖尿病学会(ADA)が発行する「Diabetes Care」2月号に発表された。
「患者がインスリン注射を故意にスキップする行為は、医師が考えているよりも一般的に起きている可能性がある」と論文著者である米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)医学部教授のMark Peyrot氏は話す。 Peyrot氏らは、インスリン療法を行っている成人の糖尿病患者502人を対象に、インターネットを用い調査を実施した。その結果、1型糖尿病および2型糖尿病患者の57%が故意にインスリン注射をスキップしたことがあり、20%はスキップが日常化していることが分かった。 インスリン注射をスキップする理由はさまざまで、独立した危険因子としては、年齢、低収入、高学歴、2型糖尿病、食事療法が続かない、より多くの注射が必要とされること、毎日の生活での注射のわずらわしさ、注射に伴う痛み、自己注射に対する恐れや当惑などが挙げられた。 1型と2型とでは理由が異なった。1型糖尿病では年齢や、健康的な食生活をしていないという理由が多い傾向があり、2型糖尿病では教育、収入、痛み、当惑といった因子がみられた。 Peyrot氏は「低血糖のリスクを恐れている患者が多い」ことも強調している。インスリン療法には低血糖のリスクが伴う。患者が多忙で食事を抜いたような場合に、低血糖を恐れインスリンをスキップすることがある。「低血糖対策として補食をとる、インスリンの単位数を調整するなどの説明をし、患者の精神的な負担を減らすことが重要だ」とPeyrot氏は指摘する。 「患者がインスリン注射に関連する悩みを相談してくることがある。このことは医師や医療従事者が患者の潜在的リスク要因に気づいている場合に重要だ。より患者と親密になり個々の要望を知り信用を促すことが治療の促進につながる。インスリン療法を行う患者は増えつつある。いかに治療を効果的に管理するかが重要になっている」と述べている。 米国の糖尿病患者の25%以上がインスリンの自己注射を行っている。論説者であるハーバード大学医学部精神医学科およびジョスリン糖尿病センターの研究者は、米国で糖尿病患者がインスリン療法に抵抗し、インスリンの開始が遅れることが多いと指摘。「医師はインスリンを導入するときに、患者のインスリン治療に対する誤解や抵抗に対し配慮しておく必要がある」と述べている。 Skipping Insulin Injections - What are the Risk Factors(米国糖尿病学会)
Correlates of Insulin Injection Omission
Diabetes Care, February 2010, vol.33 no.2, 240-245
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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