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2010年03月26日
HbA1c検査は糖尿病と心血管疾患リスク予測に有用 米研究
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- 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病の診断基準
HbA1cの測定は、米国で糖尿病診断に用いられ一般的に行われている空腹時血糖値の測定に比べ、将来の糖尿病や虚血性心疾患などの罹患リスクを予測するのにより適しているという研究が米国で発表 された。
空腹時血糖を上回る長所がある
HbA1c値は、将来の糖尿病の発症や、脳卒中、心疾患など死亡率の高い病気を予測するのに、より有用だという。米Johns Hopkins大学のElizabeth Selvin氏らによるこの研究は、「New England Journal of Medicine」3月4日号に発表され
* HbA1c値は、日本糖尿病学会が定め国内で広く使用されているJDS値と、米国を中心に世界的に普及しているNGSP値とでは、算出方法と値が異なる。日本のHbA1cは米国よりも0.4%低値であり、米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)によって設置された国際委員会が勧告しているカットオフ値6.5%は、日本の基準では6.1%になる。
HbA1c値が高いほど、将来に糖尿病を発症するリスクが高い
研究の対象となったのは、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に登録された、糖尿病の罹病歴のない1万1000人以上の白人または黒人。ヘーガーズタウン、ミネアポリス、ミシシッピ、フォーサイスの4つのARIC研究センターで、1990〜1992年の受診時に採血した全血サンプルを冷蔵保存し、HbA1cを測定した。加えて、血圧、脂質値、体格指数(BMI)、ウェストヒップ比、飲酒量、喫煙歴、学歴なども調べた。
ベースラインのHbA1c値に基づき対象者を5群に分け、その後の糖尿病と心血管疾患の発症との関連を調べた。その結果、ベースラインのHbA1c値が高いほど、追跡期間中の糖尿病の罹患率が高くなることが分かった。
糖尿病と診断されたハザード比は、HbA1c値が5.0%未満の群では0.52と有意に低かったが、5.5%〜6.0%で1.86、6.0%〜6.5%で4.48、6.5%以上で16.4と、HbA1c値が上がるにつれ高くなった。一方、冠動脈疾患のハザード比も、それぞれ0.96、1.23、1.78、1.95と、HbA1c値が上がると高くなった。
次に、空腹時血糖値に基づいて対象者を3群(100mg/dL未満、100〜126mg/dL、126mg/dL以上)に分け比較したところ、糖尿病の発症予測では有意な値となったが、冠疾患、脳卒中、全死因死亡との関係はみられなかっGlycated Hemoglobin, Diabetes, and Cardiovascular Risk in Nondiabetic Adults(NEJM)
New England Journal of Medicine, Volume 362: 800-811, March 4 2010, Number 9 関連情報
米国糖尿病学会で新たな診断基準にHbA1cを推奨(糖尿病NET)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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