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2010年05月10日

インスリンポンプは精密な医療機器 FDAの専門委員会が報告

 インスリンポンプは、インスリンを自動的に注入する携帯型の小型医療機器。医師によって設定されたプログラムにより、インスリンを24時間を通じて持続的に注入したり、食事や高血糖でインスリンの追加が必要な場合に簡単な操作で投与できる機能がある。

 米国ではインスリンポンプを用いて療法を行う患者数が増加している。成人の1糖尿病患者では、ポンプの利用数は2002年は13万人だったが、2007年には37万5000人に増えた。インスリンポンプを利用している多くの患者で、より細やかで厳格な血糖コントロールができるようになり、低血糖が減少したと伝えられている。

 インスリンポンプ機器の性能も向上しており、最新の機器は扱いやすくなっている。利用者からは「生活での柔軟さがより増した」といった声も多く聞かれる。

 しかし、「インスリンポンプを付けただけで血糖コントロールが良くなる」という訳ではない。ポンプ療法を始める際に、患者にインスリン療法とインスリンポンプの活用法と仕組みを良く理解し、操作できることが求められる。1日に数回の血糖測定は不可欠で、その結果を血糖コントロールに反映できなければならない。

 3日に1回交換すべき部品を交換しなければならず、トラブルが起きた時に対処できる能力も求められる。インスリンポンプ治療に習熟した医療者による医療サポート体制はとりわけ重要だ。

 “ポンプ先進国”ともいえる米国では、ポンプの利用者の増加に合わせてトラブルも増えているという。米国食品医薬品局(FDA)の専門委員会はこのほど、インスリンポンプに関するトラブルは2006年10月〜2009年9月に約1万7000件報告されたと公表した。

 ポンプ自体の問題なのか、患者の使用法の間違いによるものなのかは良く分かっていないが、報告件数に対し機器自体の問題と特定された例は多くなかったと報告された。患者が交換すべき部品を交換していなかったり、設定が合っていなかった、機器の不調に気が付かなかったなど、適切な使用をできなかったことによるトラブルも相当あるだろうという指摘もある。

 報告書ではより詳細な調査を継続して行う必要があるとしている。

General Hospital and Personal Use Medical Devices Panel: Insulin Infusion Pumps(米国食品医薬品局)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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